【センター試験2017】(2日目)アオイゼミ、「理科1・2」講評…物理基礎・生物やや難化

 1月14日(土)と15日(日)の2日間にわたり実施された平成29年度(2017年度)の大学入試センター試験。リセマムでは、スマホ学習塾「アオイゼミ」を展開する葵の協力を得て、「理科1(化学、生物、物理)」と「理科2(化学基礎、生物基礎、物理基礎)」を講評する。

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センター試験2017 アオイゼミ
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◆理科2「化学」

【難易度】変化なし
計算問題および計算を含む問題が多く、問題の文章も長めのものが増えたが、内容自体は標準的であり、難易度は昨年並だった。

【出題分量(前年度比)】増加
大問数は6題。設問数は27で昨年と同じ、マーク数は35で増加した。

【出題傾向分析】
・全体概観
昨年と同様の大問構成で、昨年と同様に高分子化合物が必答問題になった。
語句選択問題の数が例年より増加している。
長い文章の問題が増加したため、問題を正確に理解する読解力が求められた。選択問題の難易度や量に大きな差はなかったため選択する問題による有利不利はなかった。問題量が増加しているため、素早く問題を解く力が求められた。
実験をもとにした問題や考察を必要とする問題があり、思考力を要するものが新たに出題された。なかでも、状態図をもとに二酸化炭素の状態変化を考察するもの、電流の向きからイオン化傾向をもとに金属の種類を決定する実験、ジペプチドの電気泳動結果と構造を比較する問題などでその特徴が顕著に見られた。
以前よく出題されていた正誤組合せ問題が出題された他、凝固点降下度から溶媒の密度を求める問題などは今までにないものであった。新しい傾向にある問題が目立つ一方で、三年間連続で出題されている酸化還元の量的計算などもあるため、この内容はしっかりと押さえておきたい。

◆理科2「生物」

【難易度】やや難化
昨年と比べ問われている知識の難度に大きな変化はなかったが、単語を埋める問題や選択肢の少ない問題が減少し、選択肢の多い文章選択問題が増加したため、解答する時間を考慮するとやや難化したと考えられる。

【出題分量(前年度比)】増加
問題数、マーク数ともにやや増加。
文章選択問題が増加し、第1問・問5や第4問・問1など、問題文や実験内容の整理が複雑な問題がやや多い。
選択肢の数も昨年と比較して増加した問題が多く、単語選択問題より文章選択問題が増加したため、試験中に処理が必要な文量は増加した。

【出題傾向分析】
・全体概観
昨年同様、第1問~第5問の出題範囲は変わらず、「生命現象と物質(第1問)」「生殖と発生(第2問)」「生物の環境応答(第3問)」「生態と環境(第4問)」「生物の系統と進化(第5問)」の分野の問題が、いずれも必答問題として出題。「生態と環境」と「生物の進化と系統」は教科書の最後に記載されている分野であり、昨年度に引き続き幅広い分野での学習が必要と考えられる。
また、選択問題となった第6問(DNAの複製、細胞小器官)と第7問(分類、行動、発生)は、複数の分野にわたる複合的な問題であった。
上記の通り全体的に出題傾向に大きな変化はなく、求められる知識は昨年と同様か、やや細かかったと考えられる。
基本的な知識を問う問題に関しても、昨年と比較して単純な単語選択が減少し、文章選択問題が増加。選択肢数も同様に増加し、文量も増加したことを考えると、素早く文章を処理する能力が求められた。
第1問・問5の実験結果を予想する問題(遺伝子の転写)では、2つの調整領域と調整タンパク質の関係性を理解した上で、図を読み解く力を求められ、また第2問・問5の考察問題(形質遺伝)では全ての遺伝子型を求めた上で文章選択問題を取捨選択する力が求められるなど、基本的な知識があれば解答することは可能だが、問題や図を読み解く過程で時間を取られる問題が多かった。
また、第3問ではフィトクロムについて、第4問では中規模撹乱説、第5問ではハーディ・ワインベルグの法則に関する知識の有無が難易度を左右したと考えられ、全般的に基本的な知識を確実に押さえる力が求められる。
選択問題に関しては、第6問は実験の考察を求められる問題が出題されたのに対し、第7問は基本的な知識を問われる問題が出題されており、第7問の方が簡単だったと思われる。

◆理科2「物理」

【難易度】やや易化
問題数は増加したものの、一問あたりの難易度は例年より下がったので、総じてやや易化したと言える。

【出題分量(前年度比)】増加
大問1から4までが必答で、5・6は選択。全体の解答数は問題の選択に限らず23で昨年の21に比べ増加した。

【出題傾向分析】
・全体概観
第1問のBが波動から熱力学に変わり、今まで選択問題であった熱力学が必答となった。その代わり選択問題は波動と原子物理となった。
小問集合の配点が高くなり、全体の問題量は増加したが、その分組み合わせ問題は減少した。定量的な問題が多かった。第1問:小問集合(運動量保存、モーメントのつりあい、電気力線、レンズ、音波) 
各分野から幅広く出題されたが、いずれの問題も基本的な内容であった。
第2問:電磁気(A.コンデンサー、B.電磁誘導) 
A.は金属板が等電位になることがポイント。金属板を挟んだ方のコンデンサーは二つのコンデンサーの直列つなぎとみなせる、
B.は電磁誘導の基本問題。A.B.とも例年とあまり変わらず標準的な問題が出題された。
第3問:A.光の干渉、B.熱力学 
A.は光路差を正しく求める必要がある。
B.は熱力学の基本問題。
いずれも教科書にでてくるような典型的な問題で、受験生には馴染みがあったのではないだろうか。
第4問:A.円錐面上での物体の運動、B.加速度系 
A.は面上での運動なので、位置エネルギーに注意が必要。
B.は系の運動方向に注意すれば難しくはない。例年に比べ計算量が少なめであった。
第5問:ドップラー効果 
教科書レベルの基本問題で、受験生はこのような問題に接したことも多いだろう。確実に正解したい。
第6問:放射線と原子核 
基礎的な放射線の知識を問う問題と結合エネルギーの計算問題であり、平易。
総じて今年度の問題は計算量が少なく、一問あたりの負担が軽い。また、問われている知識も基本的で、素直な問題が多かった。

(協力:葵「アオイゼミ」)
《編集部》

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