1918年、新渡戸稲造と安井てつ、A.K.ライシャワーらが建学した「東京女子大学」。同大学は2018年の創立100周年を前に、現行の4学科12専攻から5学科12専攻へ改組する。リベラルアーツ教育を支える全学共通カリキュラムも改め、英語教育の強化や実践的な学びを導入する。 改組は2018年度から。国際性、女性制、実践的な学びを重視し、建学以来続く「学ぶことを学ぶ」教育を全学に展開する。具体的には、「国際英語学科・国際英語専攻」を新設し、従来の国際社会学科に「コミュニティ構想専攻」を新設。また、これまでの「人間科学学科」は「心理学専攻」と「コミュニケーション専攻」を擁する「心理・コミュニケーション学科」へ変更される。 新設の「国際英語学科」は、教育のグローバル化を推進するため、2年次後期から半年間の留学を必須化。東京女子大学副学長の唐澤真弓氏によると、同大学の留学は「ただ送り出すだけではなく、学生ひとりひとりに合った留学を丁寧にサポートする点が特徴」。ネイティブ英語教師による学内での授業や文化教育、通訳・翻訳といった実学を交え、学生の留学前後をきめ細やかに支える。 「心理・コミュニケーション学科」は、多様化する共生社会の視点から国際関係や経済学、社会学、コミュニティ構想について学ぶ。「国際社会学科」内に新設された「コミュニティ構想専攻」では、観光やまちづくりに女性ならではの視点を生かす力を養えるという。 単なるビジネス英語や資格英語ではなく、教養に裏打ちされた実践的な英語を身に付ける環境の整備は、「国際社会学科」のみの施策にとどまらない。全学科を横断する「全学共通カリキュラム」にも手を入れ、「挑戦する知性」科目を新設。ケンブリッジ教養講座やニューヨーク国連研修、国内の企業や自治体と連携した学びなど、国際的視野と外国語の運用能力を生かして自己発信する力を養うねらい。 副学長の唐澤真弓氏は、新設学科での学びを通し「学生らには単なるビジネス英語ではなく、『ホンモノ』の英語力を身に付けてほしい」と語る。現代教養学部学部長の原田範行氏も、国際社会の共通語として英語を実践的に活用するためには「ビジネスのためだけに(英語を)学ぶのではなく、英語で“心を語る”ための英語学や文学、経済や文化などの教養が必要」と説く。 学長の小野祥子氏は「進化したリベラルアーツ教育により、知識を行動力にする『リーディングウーマン』を育成することが東京女子大学のグランドビジョンです」と述べる。なお、「建学の精神からすると、次の100年での共学化はない」(小野氏)。今回の改組を通し、建学から続く「自立した女性」像を強め、グローバル社会で活躍する女性を育みたい考え。 東京女子大学は2018年度入試から、入試要項に外部英語検定試験を利用する。学部全体の入学定員に変更はないが、改組に伴い各科・専攻定員は変動する見込み。詳細は、今後公開される入試要項で確認したい。