大学授業料「出世払い」と「教育国債」、政府“あわせ技”に賛否両論

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  • 首相官邸ホームページ 第97代内閣総理大臣 安倍晋三
 議論を呼んでいる「高等教育の無償化」。無償化に必要な費用の案として、大学卒業後の「出世払い」方式を導入し、初期投資として「教育国債」の活用を見込むとする策が話題だ。就職後の給与から徴収した資金の一部を教育国債の償還に充て、残りは次の大学生の授業料分に回す仕組み。

 安倍晋三首相はこれまで、幼児教育から高等教育を範囲とする教育無償化の実現に向けた取組みを推進してきた。高等教育の無償化を支えるのは、大学卒業後に一定の収入を得た場合、授業料を「出世払い」で返済する後納制度と、大学などの高等教育の無償化に必要な財源を国債発行で賄う「教育国債」制度の2つ。この2つを組み合わせ、政府は年内に具体案を取りまとめる予定だという。

 ただし、教育国債の発行については起案当初から疑問視する声も多く、財政制度等審議会は5月25日、「『経済・財政再生計画』の着実な実施に向けた建議」を麻生太郎財務大臣に提出。高等教育の無償化を「慎重に検討する必要がある」とする一方、教育国債発行には否定的な考えを明示していた。

 また、日本経済新聞は8月14日に再燃する高等教育の無償化に関する議論を取り上げ、「公債残高は2017年度末で900兆円に迫る」と報道。そもそも日本では高等教育機関(大学・短期大学・高等専門学校・専門学校)進学率は約8割と高く、「これ以上、巨費を投じて大学教育まで無償化を進める必要があるのか」としている。

 「出世払い」とする案については、弁護士の荘司雅彦氏は5月、アメーバ内の公式ブログで「大学授業料の“出世払い”は大学自身がやるべきだ!」と題した意見を投稿。「大学の学費を『出世払い』にするという案は、国が立て替えて就職後給料を貰うようになったら返済するという案のようです」としたうえで、「これは極めて奇妙な考えで、モラルハザードの温床となりかねません」と批判。出世払いという考えは各大学の責任において実施すべきもので、大学が主導する出世払い方式であれば、「将来働いて授業料を返済することのできる学生を大学側は入試段階で真剣に選別する」というメリットも生まれると指摘した。

 同じく「出世払い」についてはこのほか、「制度の費用対効果を冷静に議論することが重要だと思う」「良い案」「国債での無償化よりは現実的」「出世払いもいいけど、返済の必要がない奨学金を拡充すべき」「ローン的な発想を捨てて」「学校法人を整理して、無償にすれば良い」「赤字国債に比べれば負担がない」「いまのローン(あえて奨学金でなくこう呼ぶ)の仕組みと何が違うのか」などの声があがっている。

 「将来の子どもたちに“ツケ”を回すだけ」とされ、一度は頓挫したかのように見えた教育国債の発行。出世払いと組み合わせた具体案について、その必要性や具体案の明示が求められている。
《佐藤亜希》

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