SAPIX小学部に聞く【中学受験2018】首都圏入試の傾向と合格へのアドバイス

教育・受験 小学生

サピックス小学部教育情報センター本部長・広野雅明氏
  • サピックス小学部教育情報センター本部長・広野雅明氏
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 中学入試本番まで残りわずかとなった。2020年度の大学入試改革や進むグローバル化の流れを踏まえて、中学入試の志願傾向は年々変化している。SAPIX(サピックス)小学部 教育情報センター本部長の広野雅明氏に、2018年度中学入試の傾向や、入試に向けたアドバイスを聞いた。

人気高まる大学附属校の魅力



--2018年度の首都圏中学入試の傾向について教えてください。

 志願者数の増加が予想される学校は大きく2種類あり、1つが大学附属校で、2つは結果を出している進学校です。

 以前より大学附属校人気は注目されていますが、今後さらにその傾向が強まっていくと予想しています。一般的な進学校では大学入試に向けて早いスピードでカリキュラムが進みますが、附属校では1年ごとに着実にカリキュラムを進めるため、じっくりと授業に取り組むことができ、学習の理解がしやすいという利点があります。

 また、近年さまざまな大学や学部が新設され、生徒はどの大学・学部を選択すればいいのか判断しづらい状況になっています。しかし、附属校では大学の学部長が説明をしにきたり、教授が実際に授業をしたりする機会があるため、大学に入ってからのイメージがしやすいです。また、大学の単位を先取りできることや、学習環境が充実していることも魅力のようです。

--大学附属校ではどのような学習が行われているのでしょうか。

 最近は生徒にしっかりと勉強させる学校が多いです。たとえば明治大学付属明治では、高校進学条件を英検準2級の取得にするなど、内部進学に必要な水準が以前と比べて厳しくなっている傾向にあります。また、グローバル化が進んでいることを背景に、保護者は子どもを留学させたいという意識もあるようです。その点でも、進学校と比較して時期を問わず留学しやすい附属校は注目されています。

 部活動においては、進学校では高校2年生で引退するパターンが多いのですが、附属校では高校3年生まで活動を続けることもできます。このように、勉強以外の活動にも、時間をかけて取り組むことができるという点は魅力的だと思います。

サピックス小学部教育情報センター本部長・広野雅明氏
サピックス小学部教育情報センター本部長・広野雅明氏

結果を出している進学校、本郷・洗足学園・広尾学園が人気



--進学校の中ではどの学校の人気が高いですか。

 男子校では、年々難化している本郷に注目をしています。本郷はここ数年の大学合格実績が伸びており、校舎も新しくなり魅力的なキャンパスになっています。以前は併願校として受験する生徒が多かったのですが、現在は入試日の変更などもあって、第一志望校として受験する生徒が多くなっています。勉強面のフォローも充実していることや部活動が盛んであることが、保護者からも評価されているようです。

 女子校では、洗足学園が進学校として定評あります。英語教育を重視していて、模擬国連などの学外の活動も盛んです。それらの活動を積極的に情報公開していることや交通の便の良さ、充実した設備などが人気の理由ではないかと考えています。

 共学校では広尾学園が人気です。2017年度に東大と京大の推薦入試合格者が出たことや、医学部をはじめとした難関大学への合格実績が高いことに注目が集まっています。学習面では、一人一人の学力に応じたテストを実施するなど、きめ細やかな学習環境が整っていることも保護者から評価を得ています。また、特に英語の授業に力を入れており、インターナショナルコースでは、ネイティブの先生によってほぼ全教科をAll Englishで行われるグループもあり、海外大学進学を視野に入れています。他には、医学部を中心とした理系に特化した医進・サイエンスコースがあり、本格的な論文を書かせたり、さまざまな大学や企業と連携したりするなど、先進的な取組みをしています。

 これらの学校以外では、三田国際と鴎友学園の人気にも注目したいです。三田国際は偏差値が急上昇している学校の一つで、英語教育に力を入れていることや、アクティブラーニングなどの積極的なコミュニケーションを行う授業で人気を集めています。鴎友学園は、入試の回数を3回から2回に変更したことで、御三家志望者が併願校として受けるケースが減り、数字上では偏差値は低くなっています。しかし、第一志望として受験する生徒層のレベルは変わっておらず、むしろ来年の志願者数は増えるのではないかと予想しています。

御三家では開成・女子学院、共学校では渋幕・渋渋が人気



--難関校の志願者の傾向について教えてください。

 男子校では開成の人気が高まっています。2017年度の海外大学合格者数は20名と飛躍し、着実に海外大学への実績を伸ばしています。また、1学年の人数が中学生は300人、高校生は400人と多いため、気の合う仲間を見つけやすい環境であることや、卒業後は開成会で縦のつながりが強いことが魅力のようです。そして、開成らしい自由闊達な校風は残しつつも、勉強でフォローが必要な生徒には補習を行うような面倒見の良さも保護者から評価されています。

 女子校では女子学院の人気が高まっています。授業の質は高く、英語教育にも熱心ですし、東大などの難関大学進学に特化している進学校と比べて、さまざまな進路を選択する生徒が多いことが、伸び伸びと過ごしやすい学校という印象を与えているようです。

 その他の御三家の麻布・武蔵・雙葉・桜蔭の人気については、前年並みだと予想しています。

 また、共学校ではトップ校である渋谷教育学園幕張と渋谷教育学園渋谷が、男女ともに志願者数が増えています。東大や医学部などの難関大学や海外大学への合格実績が高く、英語教育に力を入れている点が評価されているようです。

--御三家をはじめとした難関校にはどのように対策をすればいいでしょうか。

 入試問題の傾向や形式の違いはそれぞれ違いますが、問題の根幹で求められているものは実は共通していて、まずは4教科の基礎をしっかりと固めることが重要です。6年生の9月以降に塾で開講する志望校別講座などで、学校別の形式に慣れていくとよいでしょう。また、基礎固めが完璧にできたというゴールはありません。覚えてもすぐに忘れてしまうこともあるので、繰り返し定着させていくつもりで、入試前日まで基礎固めを続けてほしいと思います。

早めに合格校を確保、気分転換も必要



--受験校の組合せ方についてアドバイスをお願いします。

 1月入試を含め、2月2日入試(2月は午後入試も含む)が終わるまでに、ここなら進学してもいいと思える学校に最低でも1校は合格しておいてほしいです。合格している学校があるかないかで、次の入試に臨むときの気持ちが変わります。中学受験は早い段階で合格して受験を終えたいという志向が強く、受験率は2月3日には5割未満、2月4日以降は3割未満というように、後の日程になるほど減っていきます。

 1月入試の段階で志望校に合格して、受験を終える生徒もいます。もちろん第一志望校に向けて最後まで頑張っていただきたいのですが、安定した精神面で入試に臨むためにも、午後入試を含めて早めに合格校を確保できる受験校の組合せ方を考えてほしいと思います。

--受験に成功するお子さんはどのような心構えで入試に臨んでいるのでしょうか。

 自信をもって取り組めるかどうかがポイントだと思っています。この時期はマイナス思考に陥りがちですが、保護者がいかに子どものモチベーションを保ち、気持ちよく勉強できる環境作りをするかが大切だと思っています。たとえば気分が乗っていないときには無理やり勉強させるのではなく、勉強に関わりそうなテレビや本を見せるなど、うまく気分転換させることも必要だと思います。

早い時期からの志望校選定と通塾が合格への鍵を握る



--中学受験を目指すには、いつ頃から通塾を始めればいいでしょうか。

 サピックスでは、カリキュラムが新4年生の2月から5年生の1月までで一通り終わり、新6年生の2月から総復習に入るため、新4年生の2月からの通塾がお勧めです。ただ、子どもは環境に慣れるまでに時間がかかるので、その前から通い始める方もいます。サピックスでは低学年の通塾は週1回から始められますし、なるべく早めに始めた方が集団授業には馴染みやすいと思います。

--志望校はどのように決めればいいのでしょうか。

 第一志望校はできるだけ早い時期に決めるといいでしょう。3年生や4年生のうちから決めている方もいますし、具体的な志望校があれば勉強のモチベーションも上がります。志望校を確定させるのは、6年生の夏休みの前くらいまでが目安で、併願校も合わせると1人平均のべ7校程度に出願しています。

今までやってきたことを信じて入試に臨もう



--6年生は入試本番に向けてラストスパートの時期に入ります。これからの過ごし方についてアドバイスをお願いします。

 生活面と勉強面でそれぞれ意識してほしいことがあります。まずは生活面では、入試直前の時期もできるだけ生活リズムを変えないでほしいと思います。保護者からよく「学校には1月も通った方がいいですか」と相談を受けますが、学校に通っていた方が生活のペースが乱れず、勉強にも集中できると思います。ただし、特に直前期は風邪をひいたり体調を崩したりしないように最新の注意を払って過ごしてほしいです。お子さんはもちろん、家族全員が病気にかからないように気を付けて、万全の対策をしていきましょう。

 また勉強面では、今から新しいことに手を出さないでほしいと思います。継続的な勉強が身を結ぶので、迷ったときには今までやってきた勉強や教材を信じて、今までのやり方で勉強に臨むことがお勧めです。

--ありがとうございました。

 学校を取り巻く環境は年々変化しており、学習環境が充実している大学附属校や先進的な取組みをしている学校の注目度が高まっていることが伺えた。これから志望校を決める方は、個性豊かな私学の校風や教育特徴をそれぞれ比較検討したうえで、早めに受験勉強に向けた準備を進めていってほしい。
《佐田優佳》

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