全日本バレーボール大学男女選手権大会〈後編〉中央大・石川祐希は2020年の鍵

今年は関東地区に集約され、男女同時開催となった全日本大学バレーボール選手権大会(スーパーカレッジバレー2017)は、男女ともに決勝は関東連盟所属の学校で争われた。

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石川君を中心に優勝候補筆頭の中央大だったが、3位に終わった
  • 石川君を中心に優勝候補筆頭の中央大だったが、3位に終わった
  • 試合前に整列した鹿屋体育大
  • 鹿屋体育大の控え選手たち
  • 3面コートが張られた大田区総合体育館
  • サーブレシーブ体制の東京学芸大
  • ベスト4に進出した東海大
  • ベスト8に進出した中京大選手たち
  • メイン会場の大田区総合体育館
今年は関東地区に集約され、男女同時開催となった全日本大学バレーボール選手権大会(スーパーカレッジバレー2017)は、男女ともに決勝は関東連盟所属の学校で争われた。

男子は早稲田大が筑波大をストレートで下し、全勝で完全優勝を果たした秋季リーグ戦に続いての優勝となった。今年初頭の春の高校バレーでも大活躍して駿台学園の初制覇の原動力となった村山豪君が、1年生ながらフル回転の活躍を見せた。女子は、フルセットの末に青山学院大が筑波大を下して9年ぶり5度目の優勝を果たした。こうした結果を踏まえても、やはり現在の大学バレーボールは関東勢を頂点として動いているということが再認識できた。

とはいえ、男子はベスト8のうち、関西学院大を除く7校が関東学連だったが、女子では関東学連は3校。九州は福岡大と鹿屋体育大の2校で、他にも京都橘大、広島文化学園大、中京大といったところが残った。

ベスト8に進出した中京大選手たち
東海学連から健闘した中京大は、高相みな実さん(3年・都市大塩尻)が切れ味のいいスパイクで光っていた。また、セッター中條美月さん(3年・古川学園)のトスワークも冴え、1回戦では関東リーグ6位の日本女子体育大に、2回戦では東北連盟2位の尚絅学院大に、そして3回戦では関西リーグ1位の龍谷大をいずれもフルセットで下すという粘りのバレーを見せた。

今季も東海リーグでは圧倒的な強さを示して東海学連の雄となっていたが、全国ではなかなか勝ちきれないという現実があったが、格上とも思われた龍谷大に競り勝った粘りは見事と言っていいであろう。その中京大を準決勝で下したのが、昨年の優勝校・鹿屋体育大だった。鹿屋体育大は鹿児島県鹿屋市にある国立大で、水泳のオリンピック金メダリストとなった柴田亜衣なども輩出している。全国でも唯一の国立の体育学部の単科大学である。

今大会は、準決勝で筑波大のパワーに屈したが。過去3度インカレを制している強豪である。毎年、セッターを中心としたスピードのあるコンビバレーが持ち味となっているが、今年も山形理沙子さん(4年・延岡学園)のトスワークでチームをまとめていた。連覇を狙っていたが準決勝で敗退し、3位決定戦でも嘉悦大にストレートで敗れ、結果的には4位となった。

筑波大の試合前のスパイク練習
関西勢では京都橘大がベスト8に残ったが、青山学院大には1対3で敗れ、関東勢の壁に阻まれた。広島文化学園大も初のベスト8進出で健闘したが、筑波大にはストレートで敗れ、力の差を感じさせられた。九州勢では、鹿屋体育大に並んで伝統校の福岡大もベスト8に進出していた。毎年、好チームであり、地味ながらインカレでは上位の常連になっているのはさすがと言っていい。

男子で注目したのは、2015年秋季リーグで二部2位となり、入れ替え戦も制して38年ぶりに一部昇格を果たして4季目となった日大だ。名門復活の兆しを示しているのだが、実はかつての強かった時代から含めてインカレの優勝がない。

それだけに、今大会ではその悲願も目指したのだが、東海大との準々決勝はお互いに1セットずつを奪い合った第3セット、20点まで競り合いながらも、東海大は新井雄大君(1年・上越総合技術)が前でも後ろからでも決めるフル回転ぶりを示し、このセットを奪う。結局、第4セットも東海大が小野寺大志君(4年・東北)のABクイックなどセッター龍一誠君(4年・東福岡)のトスワークも冴えて、最後は18点に抑えた。東海大は秋季リーグでは7位とやや不本意な結果だったが、インカレでは4強に進出してくるあたりは、やはり勝負強いといっていいであろう。

日大は1年生セッターの谷越陽介君(とわの森三愛)が巧みな判断で、195cmの郡浩也君(4年・都島工)や菅原幸紀君(3年・福岡大大濠)といった上級生スパイカーを使いこなしていたが、もう一つ及ばず4強進出はならなかった。

日本の男子バレーの期待を担う石川祐希君(4年・星城)を擁する中央大は、4連覇を目指す優勝候補の筆頭だったが、準決勝でフルセットの末に筑波大に競り負けて決勝進出はならなかった。3位決定戦では東海大をストレートで下して面目を保ったものの、石川君は大学最後の試合を3位で終えることとなった。

(右)中央大・石川祐希君(4年・星城)
イタリアリーグのラティーナというチームに所属して、そちらのリーグに参加してより高いレベルでの刺激を得ているのだが、それを中断してのインカレ参戦では日本一に届かなかった。やはり、チーム練習としての絶対量が不足していたことが、総体的に影響したというところもあったのかもしれない。とはいえ、本人はすぐにイタリアに戻って、またラティーナに合流してリーグ戦に参加するということである。

いずれにしても、2020年の日本男子バレーの浮沈を握る男だということは間違いない。海の向こうでの修行に、さらなる期待が高まる。

【THE INSIDE番外編】全日本バレーボール大学男女選手権大会〈後編〉…関東勢上位だが、女子では地方学連勢も大健闘

《手束仁@CycleStyle》

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