中大院生ら、高校進学にともなうポジティブな発達の性質を精微化

 中央大学文学研究科博士後期課程に在籍する飯村周平氏と米国オークランド大学の宅香菜子Associate Professorは、高校移行期に生じる生徒のポジティブな発達的変化について明らかにした。研究成果は「Journal of Youth and Adolescence」に掲載される予定だという。

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 中央大学文学研究科博士後期課程に在籍する飯村周平氏と米国オークランド大学の宅香菜子Associate Professorは、高校移行期に生じる生徒のポジティブな発達的変化について明らかにした。研究成果は「Journal of Youth and Adolescence」に掲載される予定だという。

 高校進学にともなう環境変化などにより、不安や抑うつの増加といった心理適応上の問題が生じることは「高1クライシス」と呼ばれている。そのため日本の教育政策では、中学校卒業と高校入学のギャップを少なくするよう中高一貫校の設置を推進している。

 中央大学文学研究科博士後期課程に在籍する飯村周平氏(日本学術振興会特別研究員、文学部教授・都筑学研究室所属)と米国オークランド大学の宅香菜子Associate Professorは共同研究で、高校移行期での心理的奮闘を通して、中学校のときよりも良好な対人関係を築いたり、ストレスに対処する内面の強さを獲得したり、将来の展望をよりはっきり見出したりするようなポジティブな発達(成長)を遂げる生徒の特徴を明らかにした。

 ポジティブな発達を遂げた生徒は、高校移行期の5月において、「高校進学に関連したネガティブな思考が生じている」「高校進学が自分にどのような意味があるかなどの建設的な思考が生じている」「周りの人からサポートが得られていると実感している」といった特徴が確認された。

 また、ポジティブな発達には「進学経験を振り返り自身の成長を知覚する側面(知覚された成長)」と「進学前後での実際の変化としての側面(実際の成長)」があり、高校進学を自分自身にとっての重大な転換点であると評価した生徒は、2つの側面が正の相関関係にあることが確認されたという。

 共同研究により、国内外で初めて高校進学にともなうポジティブな発達の性質を精微化し、そのメカニズムが実証的に示された。中高一貫校を設置し高校移行の機会を減らすことが、必ずしも生徒にとっての望ましい発達につながるとは限らないため、今後、高校移行にともなうポジティブな発達という新たな視点による議論の機会を開くことが期待されるとしている。

 共同研究の成果は、思春期・青年期の発達心理学領域における研究雑誌「Journal of Youth and Adolescence」に掲載される予定で、オンライン版は2018年2月14日付で公開された。
《外岡紘代》

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