ゲーム業界で働く魅力、TOPANGA就活準備講座レポート

 2018年2月25日、東京・中野のRed Bull Gaming Sphere Tokyoにて、TOPANGAによる「TOPNAGA就活準備講座」が開催されました。各講演の模様をお届けします。

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ゲームと共に生き、働くとはどういうことか?「TOPANGA就活準備講座」聴講レポート
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2月25日、東京・中野のRed Bull Gaming Sphere Tokyoにて、格闘ゲームのイベントやネット配信を精力的に展開するTOPANGAによる「TOPNAGA就活準備講座」が開催されました。「ゲームとともに働く」、「プロゲーマーとして生きる」とはどういうことなのか? 活躍中のプロゲーマーによる生の声も聞けた、各講演の模様をお届けします。

司会は声優の鈴木美咲さんと「Evo Japan」運営委員長としても知られる、ハメコ。こと金子紀幸氏
◆講演「e-Sportsとメディアビジネス」
登壇者は、CyberZ OPENREC事業部取締役の青村陽介氏、同じくCyberZ 執行役員/RAGEプロデューサーの大友真吾氏、AbemaTV ウルトラゲームスチャンネルプロデューサーの竹原康友氏。それぞれのサービスの概要紹介を終えると、金子氏が聞き手を務め、以下のような回答が挙げられました。

写真左から青村氏、大友氏、竹原氏
■e-Sportsに力を入れることになった経緯は?
青村対戦ゲームを好む方は大勢いますが、みんなでそれを見て楽しむという文化は、未成熟であるといえます。これは言い換えれば(事業として)大きな将来性があるということで、取り組まない理由がありませんでした。社内に大勢のゲーマーがいたのも後押しになりました。

大友「RAGE」は、有名な配信者の方々にご協力いただくコンテンツのひとつとして始まりましたが、(RAGEが始動した)2~3年前は日本におけるe-Sportsはまだ黎明期という感じで、自分たちが大々的に展開すれば動画メディアでのトップを目指せるのではと考えました。

竹原今日、e-Sportsをご存知ない方もまだ大勢いらっしゃいます。そんな方たちに、e-Sportsが持つおもしろさや熱を伝えたかった。そのために、メディアとして貢献できるところがあるのではないかと思いました。

■それぞれの仕事におけるやりがいや苦労は?
青村プレイヤーのみなさんが楽しいと思ってもらえることを提供し続けるのは、何にも勝るやりがいです。その過程でさまざまなゲームのおもしろさに触れられるのも楽しく、「ゲームの仕事=ゲームメーカー(に就職する)」というだけではないのだなと感じています。流行っているゲームの移り変わりは相当速いので、それをしっかり見極めていく必要もあります。

大友「RAGE」は三か月に一度くらいのペースで開催していますが、大会の本番はたった1日の数時間で終わります。その一瞬に凝縮された感動や演出のためにチーム一丸で臨みますので、メンタリティや体力にタフネスさが求められます。ですが、大会で優勝者が決まった瞬間の達成感は何にも代えられません。

竹原AbemaTVでは、2018年1月26日~28日に「EVO Japan」の模様を配信させていただきました。配信では、コメントからみなさんが楽しんで、興奮してくださっているのが伝わってきて、意義のあることをさせていただいていると実感しました。ただAbemaTVはTV番組のような演出を旨としておりますので、(TVでいう)生放送に備えて、色々な想定をしておくのは大変でもありました。

◆講演「スマートフォンゲーム『FIGHTCLUB』ができるまで」
登壇者はポノス 大江戸開発部部長の板垣護氏。全世界で3400万ダウンロードを突破した『にゃんこ大戦争』で知られる同社ですが、2017年からはe-Sports関連領域にも事業を拡大。板垣氏はその経緯を「ゲームで遊んでいると「いつまでそんなことをしているの」と言われることが多かった。だから、ゲームがうまいことに価値があり、すごいねと言われる世界にしたいと思ったんです」と語りました。


そんな思いで同社が2017年から始めたのが「ゲーマー社員制度」。出張という形でプロゲーマーとしての活動を行い、e-Sportsの大会でよい成績を出すことが主な業務で、セカンドキャリアとしてゲーム開発に携わることもあります。

一般的な企業になぞらえるなら、ゲーマー社員のキャリアは「広報」からスタート。自身の実力と知名度を宣伝し、プロゲーマーとして活躍して名が知れ渡ることで、ポノスや、同社のタイトルの実績・知名度も上積みされていくという仕組みです。


次に、同社のスマートフォンゲーム『FIGHTCLUB』の制作過程を例に、ひとつのタイトルが完成するまでにどのような職種がどのような業務をするのかを解説。大まかな人数や必要とされる職種は、以下のようなものだったそうです。

■閃き~計画立案
 板垣氏1人でのスタート。「スマートフォンアプリはプレイ人口が多いのでe-Sportsに向いているはずe-Sportsに適した"見ているだけでもおもしろい"ゲームを」をコンセプトに、開発資金を得るため各社にプレゼン。

■プロトタイプ開発
 考えたゲームが本当におもしろいかを確認するため、ポノスでプロトタイプの制作をスタート。開発チームは板垣氏を含む5名。


■本開発
 プロトタイプで手ごたえをつかみ、本格的な開発に着手。プロジェクトマネージャーやプランナーを加え、チームは約20名に。


■プロモーション
 開発を進める一方で、作品の知名度上昇、ひいてはe-Sports業界全体の勃興の一助ともなるようなプロモーションをスタート。広報のために動画(の制作やアップロード)担当や、前述したゲーマー社員がカスタマーサポート担当チームに加わり、規模は40名ほどに。


最後に板垣氏は「弊社にかぎらず、ゲーム制作にはこのようにさまざまな職種があります。ただ漠然と「ゲームメーカーに入りたい」と思うよりは、そこで具体的に何をしたいのか、その作業は制作過程におけるどのタイミングで発生するのか……そういうところまで考えられれば、就職する際に武器になると思います」とまとめました。

◆講演「Ask me anything:メディアのお仕事なんでもお答えします」
登壇者はAetas 代表取締役社長にして、ゲーム情報サイト4Gamer.netの編集長でもある岡田和久氏。「できるかぎりみなさんの疑問にお答えします。回答はあくまで僕個人の考えで、4Gamer.net、ならびにAetasとしての見解ではありませんのでご了承ください」とし、聴講者からの質疑応答が行われました。


――e-Sportsをどう定義していますか?

岡田今後、二つに分かれていくのではと思っています。ひとつは『League of Legends』のような"ひたすら競技性を追求していく"タイプ。そしてもうひとつは格闘ゲームのように"魅せて楽しむ"タイプです。

格闘ゲームは見せてナンボ、楽しませてナンボという部分もあり、純粋な競技というよりはプロレスに近い性質があると考えています。今は過渡期といえますが、ゆくゆくは、それぞれのタイプによい着地点が見つかるのではと思います。

――編集部ではさまざまな情報をどう得ていますか?

岡田4Gamer.netでは、編集者とライターが明確に分かれています。編集者がいわゆる裏方で、記事の企画をしたり、さまざまなネタを引っ張ってきたりします。記事は書くとしてもニュースくらいで、執筆はライターに発注するのが普通です。ずっとTwitterを追いかけたり、海外サイトで情報を追ったり。地道な仕事ですよ。

書きあがった記事は掲載前に社内で校正に見せますし、執筆前に僕が掲載可否の判断をすることもあります。だから、ウチは他のメディアさんに比べると少し掲載が遅かったりするんですよ。

――今e-Sportsがなにかと話題ですが、盛り上がりの方向性をどう見ますか?

岡田あくまで個人の見解ですが"土台がないところに建物だけ建てようとしている"ようには見えます。e-Sportsは、選手やコミュニティという土台から着々と盛り上げていき、その結果として何かが起こるべきものだと思っていて、僕たちが「EVO Japan」を開催したのも、そういう思いに基づくものです。今は、ちょっと浮ついている感じがあるのは否めないですね。

――今勢いがあると感じているゲームを教えてください。

岡田僕たちの感覚では、ゲームタイトルの隆盛の移り変わりは2週間くらいで起きると思っているので、今ここでタイトルを挙げてもあまり意味はないかなと思っています。もう少し間隔を広げるなら、やはり今勢いがあるのはSwitchでしょうか。

――仕事をしていてよかったこと、やめたいと思ったことがあったら教えてください。

岡田メディアの仕事という意味では、やめたいと感じたことは一度もありません。社長をやめたいと思ったことはあります(笑)。メディアは読まれてナンボだと思っていますので、公開した記事が読まれないと辛いですね。いい意味でも悪い意味でも、まずはとにかく読んでもらうこと。そこに一番カタルシスを感じます。

――4Gamer.netの将来的なビジョンを教えてください。

岡田今はゲームを題材にしたコンサートや大会の開催にも力を入れており、ゆくゆくはWebから飛び出した方向に事業を伸ばしていきたいと思っています。みなさんとゲームメーカーをうまくつないで、業界の盛り上がりに貢献したいですね。

◆講演「ゲームの視聴率」
登壇者はスクウェア・エニックス 第7ビジネス・ディビジョンプロデューサー/マネージャーの門井信樹氏。入社3年目から『LORD of VERMILION』シリーズにかかわり、以来10年近くアーケードゲームに携わってきたという門井氏ですが、2016年に「ゲームを観て楽しむ文化を創る」飲食店ストーリアを立ち上げ、2017年からはスクウェア・エニックス一社提供によるTV番組『勇者ああああ ~ゲーム知識ゼロでもなんとなく見られるゲーム番組~』をスタートさせます。

アーケードゲームの制作からは連想しづらい、思い切った方向転換ともいえる事業に着手した理由を、門井氏は「近年はスマートフォンアプリの隆盛もあり多くの方がゲームに親しんでいますが、その一方で、根本的な部分ではまだ支持されていない……市民権は得られていないと感じたんです」と語りました。


フィジカルスポーツ観戦と同様に、ゲーム観戦シーンをより一般的なものにしたいという思いで始めたストーリアですが、オープン当初は「ゲームを観戦する要素がジャマ」というような苦情もあったとのこと。「ゲームは自分一人で遊ぶもので、まだ人と見て楽しさを分かち合うものではないのだなと痛感しました。同時に、そこの部分を醸成できないものかと」。

「市民権を得るというのは、今話題の将棋やスケートのように、"その競技を自分でするわけではない人も番組は見てくれる"ということ。ゲームにも興行化のチャンス、伸びしろはまだまだあると思っています。いつか、東京ドームをゲーム大会で満員にできたら……そう思うと、非常にやりがいがありますよ。そして、ゲームメーカーにいながらにしても、こういう仕事もあるのだと知っていただければと思います」と講演をしめくくりました。

次のページでは現役プロゲーマーによる鼎談も!

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《蚩尤@INSIDE》

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