子どもの新年度スタート、親ができる3つのこと

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子どもの新年度スタート、親ができる3つのこと(画像は著者撮影)春休みには「昼寝をしない」という宿題を出した
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 いよいよ始まる2018年度。子どもの胸は、新しいクラスや学校への期待と緊張でいっぱいだろう。なめらかな滑り出しを応援するため、保護者はどのように振る舞えばよいだろうか。

 神奈川県と埼玉県で計22年、小学校教諭として教壇に立ち、クラス担任としての経験も豊富な鈴木邦明氏に、クラス替えの方法や保護者ができることについて聞いた。

スタートダッシュ応援、親ができる3つのこと



 子どもがスムーズに学校生活に馴染んでいくために、保護者の方々にお伝えしたいポイントは大きく3つあります。それは、「教科書に目を通す」「担任の悪口を言わない」「生活リズムを整える」です。これらはすべて、親がちょっと配慮するだけで、随分と変わってくるものです。具体的にどのようなことか、ひとつずつ見ていきましょう。

1、教科書に目を通す



 まず、保護者は教科書に目を通す」ことで、子どもが学校でどのようなことを学ぶのかを把握してほしいと思います。親が子どもの学習の内容を知ることは、とても重要です。学校での「学び」と日常生活をつなげることで、学びの質を深めていくことができるからです。

 たとえば、算数の授業で小数を学習することがわかっているとします。知っていれば、スーパーなどで買い物をしている時、子どもにスーパーの中にあるたくさんの小数の存在について気付かせてあげることができます。牛乳の乳脂肪分の3.6、ジュースなどが入ったペットボトルの1.5リットルなどです。

 買い物だけでなく、ニュースにおいてもキャスターが「今日の最高気温は26.8度でした」などと述べた場合にも、小数について話題にすることができます。こういったことが、実際に学校で小数を学ぶ際の学びのハードルを下げると同時に、学びを深くすることにつながります

 小数の例で説明しましたが、ほかの教科・単元も同様です。事前(学習前)に知っていれば、スムーズに学習に取り組むことができます。学習中や学習後に習った内容を話題にしていくことで、机上の話ではなく、実際の問題として理解することができます。これを、専門的な言い方では「実感を伴った理解」と表しています。

「リットル」表記に見る今昔、親子間ギャップに注意



 また、親が教科書を見ることで、昔の指導との違いを発見することもあります。何年生で扱われるかなどは、約10年に一度の学習指導要領(国で決めた学習する内容などを示すもの)の改訂によって変化がありますし、国際的な決め事の変更などによっても変わります。

 たとえば、「ℓ(リットル)」の表記についてです。親の世代が小学校で習った時は「ℓ(小文字の筆記体のエル)」だったはずです。しかし、現在は「L(大文字)」と習います。国際的な規格にあわせるという理由で、2011年の文科省による教科書検定からこのようになっています。こういった事実を知らないと、親子でちぐはぐなやり取りがなされてしまう場合もあります。親と教員で違ったことを伝えてしまうと、子どもが混乱する可能性もあるため、まずは親が教科書に目を通し、学校では何をどのように教えているのかを把握しておくとよいでしょう。

 ちなみに「ミリリットル」は「mL(小文字のエムに大文字のエル)」と表記します。小文字のエルは、「1(いち)」と間違えやすいということから変更になりました。「m:千分の一」「c:百分の一」「d:十分の一」は、従来と同じで小文字のままです。

2、担任の先生の悪口を言わない



 「担任の先生の悪口を言わない」ということは、よく言われていることなのですが、少し丁寧に説明をしたいと思います。前提として、担任の先生と子どもの関係には、相性のようなものがあることを述べておきたいと思います。それは子ども個人との相性もありますし、集団としての子どもたちとの相性もあります。

 子どもと担任の先生の関係には、親の担任の先生への評価が影響している場合があります。SNSなどの発達により、親同士はたくさんの情報をやり取りしています。始業式の日、子どもが学校から帰ってくる前にすでに親たちの間で回っている情報から担任の先生が誰かわかった…という現象も、最近ではよくある話です。先生が誰かだけでなく、そういったやり取りのなかでは「あの先生は当たりだ」「今年ははずれだ」などの感想も交わされているものです。

 そういった際、親が参考にしているのは前年度のその先生の学級経営です。しかし、私の経験では、前年度にうまく学級経営をできなかった担任でも、次の年はうまくいくということは往々にしてあります。もちろん、その逆もあります。

子どもは色眼鏡なしで担任を見ている



 あれこれと情報をやりとりする親と比べ、子どもはわりとフラットな感じで新しい担任を見ていることが多いです。どちらかというと「今年の先生はどんな先生だろう?」という楽しみや期待を抱いていることが多いようです。

 そういった状況なのに、親が担任の先生を「今年ははずれだ」などと言っているのを見ると、子どもは新しい先生のことを良く思えなくなってしまいますよね。これでは、子どもと担任が正常な人間関係を築けなくなってしまいます

 もし担任の先生に何か問題や気になるところがあった場合、それは自分の子どもに対してではなく、状況によって担任に直接話をしたり、上の立場の学年主任、教頭・副校長、校長などに伝えたりしていただければよいと思います。担任がどういった状態(良くも悪くも)であれ、担任の先生と子どもの関係は良いほうが絶対に"得"ですから、その関係性を阻害することのないよう努めたいですね。

 親が子どもに対して担任の悪口のようなことを言うのは「百害あって一利なし」です。親としては、もし子どもが教師の問題点などを言うようなことがあった場合は「先生は違った考えがあるのではないの」や「大人には子どもからはわかりにくい事情があるのよ」など、担任の先生をフォローする発言をすることが望ましいです。もちろん、これは常識範囲の場合です。非常識(体罰など)な場合は事実確認をして、早急に行動をする必要があるのは当然です。

3、生活リズムを整える



 春休みは生活リズムが崩れやすい時期です。学年の切替りの時期ということもあり、宿題は多くない学校がほとんどです。そういったことが影響し、生活リズムを崩しやすい時期と言えるでしょう。

 生活リズムが崩れたまま新年度がスタートしてしまうと、新しいクラスでうまくいかないことも出てきてしまいます。体調不良で休みや早退・遅刻が重なると、ルールの確認やグループ作りなどの場面で、ほかの子どもたちから少し出遅れてしまうことがあるからです。

始業式までに整える2つの生活ポイント



 「生活リズムを整える」ポイントは2つあります。1つは、学校が再開する数日前から学校の生活を意識しながら生活リズムを整えることです。長期休業(長い学校の休み)になるとどうしても起床時間が遅くなりがちです。そういったことに配慮しながら、学校が再開するまでの数日間はもちろん、学校が始まってからの数日間も、生活リズムを意識して過ごさせることが重要です。

 もう1つは、昼寝をさせないことです。新年度の学校が始まって数日間は、午前中授業の学校が多いです。給食なしで12時ごろ、給食ありで13時過ぎに学校が終わります。その後、油断をすると昼寝をしてしまいます。久しぶりの学校生活で疲れていることなどが原因です。そうなると、寝る時間が遅くなり、起床時間にも影響を与えてしまいます。学校が始まった数日間は肉体的にも少し辛いのですが、昼寝をさせないということは案外重要なことです。私は小学校の学級担任をしている時、長期休業明けの日には「昼寝をしない」という宿題を出していました。

小さいけれど大きな影響、親としてフォローを



 以上のように、今回は新年度に保護者が少し配慮するだけで、子どもの新しい一年が充実したものになる可能性が高まることについて書きました。具体的な「教科書に目を通す」「担任の先生の悪口を言わない」「生活リズムを整える」は、どれもそれほど難しいものではありません。ちょっとしたことなのですが、大きな影響力を持っていることもまた事実です。より良い新年度のスタートダッシュができるよう、親としてもできるだけのフォローをしてあげたいものです。

著者による記事
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鈴木 邦明(すずき くにあき)
平成7年 東京学芸大学教育学部 小学校教員養成課程理科専修卒業。平成29年 放送大学大学院文化科学研究科生活健康科学プログラム修了。神奈川県横浜市、埼玉県深谷市で計22年、小学校教諭として勤務。現場教員として子どもたちの指導に従事する傍ら、幼保小連携や実践教育をテーマとする研究論文を多数発表している。こども環境学会、日本子ども学会など、多くの活動にも関わる。平成29年4月からは小田原短期大学特任講師、平成30年4月からは帝京平成大学講師として、子どもの未来を支える小学校教諭、幼稚園教諭、保育士などの育成や指導に携わる。

《鈴木邦明》

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