五月病とは
日本生活習慣病予防協会によると、「5月の連休明け頃から、なんとなく気分が落ち込む、仕事などに集中できない、眠れないといったスランプ状態に陥る」のが、通称「五月病」だ。具体的な症状は、食欲がない、1日中気分が落ち込んでいる、何をしても楽しめない、眠れないなど。
「五月病」について注意が促されているのはおもに社会人だが、新年度を迎えたばかりの子どもも無関係ではない。
まずは生活リズムを整えて
実際に、子どもにも「五月病」はあるのだろうか。また、どのような症状が表れるのか。
22年間小学校教諭として勤務し、2018年4月から帝京平成大学で講師を務める鈴木邦明氏は、自らの現場体験から「子どもにも五月病はあるだろう」と述べる。
特に、連休明けは教師がうまく学級をまとめられていない、子どもが登校をしぶる、などの問題が表面化する時期であることから、心身に変調をきたす子どもがいるという。
長期休業明けという点では夏休みや冬休みも同様に注意したい時期だが、4・5月の不調には特徴がある。鈴木氏によると、「4月は親も子も気が張っていることが多く、(体調や心のバランスが)崩れることは少ない」。その分、連休がきっかけとなり、5月に体調を崩す子どもが出るのだろう。
子どもの「五月病」を防ぐため、親や周囲はどのようなことに配慮すべきだろうか。
鈴木氏は「生活リズムを整えること」だと強調する。ゴールデンウィークに限らず、同氏は春休みや夏休み、冬休みなどの長期休暇前に必ず子どもたちとその保護者に生活リズムを整えるよう伝えていたそうだ。たとえば、新年度を控えた春休みには「昼寝をさせないこと」などのアドバイスを送ったという。
不調を感じたら
慢性的な不調が続く場合は、医療機関での受診を検討したい。健康を推進する団体や企業による情報も参考にできそうだ。
たとえば、日本生活習慣病予防協会はWebサイト内「『五月病』に対策するための5つの方法 今日から始めるストレス対処法」で、精神療法士であるサンドラ・ジェイン氏によるアドバイスなどを掲載している。
「五月病」だけでなく、沢井製薬のWebサイト「サワイ健康推進課」は「六月病」についても言及。Webサイト上でできる「ココロの状態チェック」や「体の状態チェック」を掲載し、気をつけたいポイントをまとめている。
「病は気から」「健全な精神は健全な肉体に宿る」との言葉があるように、心と身体は切っても切れない関係にある。子どもの生活リズムが乱れている場合はまず、家族総出で規則正しく残り少ない連休を過ごしてみてはいかがだろうか。