魅力再認識、関東高校アメリカンフットボール大会準々決勝レポート

 思わぬ形で今、アメリカンフットボールが注目されている。

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思わぬ形で今、アメリカンフットボールが注目されている。

事の発端は、大学アメリカンフットボールの伝統の春の定期戦「関西学院大ファイターズ・日本大フェニックス」との試合で、日大の選手が危険な違反タックルを関学のQBに仕掛けたということから端を発して、その記者会見の対応などから、いつしか違う方向へ進んでいってしまい、日大の組織論にまで発展。日本全国を巻き込む議論となった。

そんな状況となって、これまでアメリカンフットボールをほとんど見たこともなければ、興味もなかったような人たちまでが、テレビなどでしたり顔で語っている。いずれにしても、日大と関学というのは、日本のアメリカンフットボールの歴史を背負ってきた両雄であり、日大・篠竹幹夫、関学・武田健という東西の偉大なるフットボール指導者の歴史でもあるのだ。

それはさておき、これを機に現在アメリカンフットボールの現場はどうなのか、ということを改めて見直してみるのもいいであろうと思った。正直言って、アメリカンフットボールの競技人口そのものは必ずしも多くない。それでも、1チームの選手はOFとDFの2プラトーンを敷くだけでも、22人以上は必要となる。

もっとも、競技としては各ポジションでの専門性も高いため、大学などでも高校の経験者ではなくても積極的に勧誘して、選手として仕立てていかれる構造になっている。実際、そういう形で多くのアメフト選手が作られている。

それでは、高校世代はどのような勢力構図になっているのかというと、関西では大学系列校の関西学院と関大一、立命館宇治、立命館守山などが強豪となっている。また、関東地区でも、日本大系列校の日大三や日大鶴ヶ丘などに加えて早大学院、慶應義塾といった、やはり大学系列校が強かった。ただ、ここへきて近年は佼成学園が強豪となってきており、昨年も暮れのクリスマスボウル(高校王座決定戦)を制して日本一を獲得している。

去る3日は、この春の関東高校アメリカンフットボール大会準々決勝の開催されているアミノバイタルフィールドに足を運んでみた。

緑に囲まれたアミノバイタルフィールドで駒場学園と千葉日大一の攻防

アミノバイタルフィールドは、味の素スタジアムに隣接する球技場で、大学アメリカンフットボールの試合なども多く開催されている。スタジアムと違ってトラックがないのでスタンドからも非常に見やすい作りとなっている。すぐ近くに調布飛行場があり、小型機がかなり低空で飛んでいくのも特徴である。

昨年度の王者佼成学園は、この大会も東京都1位校として出場しているが、安定して強いなという印象だった。アメフトの鉄則ともいえる、確実にファーストダウンを奪っていく確かな戦い方だ。そして、ランプレーを中心として上手に時間を消費しながらも、ここというところでは飛び道具のロングパスも出る。また、DF陣も着実に相手の攻撃を止めている。それでも、神奈川県2位で進出してきた鎌倉学園も、その佼成学園から3本のTD(タッチダウン)を奪ったのだから、その攻撃力は高いと言っていいのではないだろうか。

東京都4位の駒場学園と埼玉・千葉・茨城1位の千葉日大一は、駒場学園のキックオフで始まったが、レシーブの千葉日大一はWR後藤君がキャッチすると、そのままスルリスルリと走り抜けていき96ヤードランのキックオフリターンTDを奪った。見事な快走だったが、野球で言えば先頭打者本塁打が出たというところであろうか。

TDを決めて喜び合う千葉日大一

ただ、これで激しいTDの応酬の試合になっていくのかと思われたが、そうはならなかった。その後は、お互いがのスクリメージでの当たり合いから、10ヤードを巡る攻防となって、1Qは駒場学園がFG(フィールドゴール)で3点を返すのみだった。そして、2Qはお互いに一本ずつのTDを奪って、千葉日大一リードのまま前半を終えた。

後半に入って、最初のTDは駒場学園が奪い逆転。QB金澤君からRB中川君にわたり、そのまま15ヤードを走り切ってのTDとなったものだった。4Qはお互いに1本ずつのTDを奪ったものの、結果としてはスコア上はFGが効いたという形になった。こういうことになるから、第4ダウンで狙えるFGは無理にギャンブルをしないで、しっかりと奪っておかないといけないのだということも納得した。

静岡の知徳は東京都2位の足立学園と対戦したが、1Qは0対0のままでロースコアの接戦となった。最初のTDは知徳で2Q2分34秒にQB小泉君からWR大里君への鮮やかなTDパスが決まった。足立学園は2Q残り48秒というところでFGで3点を返す。そして、3QにQB石原君が自らキープしてのランでTDを決めて逆転。さらに4QにもRB花宮君が75ヤードのTDランを決めた。そして、残り5分を割ったところでの知徳のQB小泉君からリバースされた大里君のパスを足立学園がインターセプト。これで、知徳の反撃体制を止めたビッグプレーとなった。

結局ベスト4は佼成学園に駒場学園、足立学園と前日に進出を決めている日大鶴ヶ丘とすべて東京勢となり、準決勝は東京大会の様相となって10日に駒澤大に球技場で開催される。

足立学園と知徳の攻防

この日は暑さもあって、各クォーターではプレー時間が5分を経過したところで健康管理のための給水タイムを取ることを義務付けていた。こうして、アメリカンフットボールは常に体調のことを考慮しながら競技が進行されているということも再認識された。それだけに、意図的反則行為、危険なタックルに関しては厳しい対処がされているということで
ある。

改めて、アメリカンフットボールの安全性と面白さも確認できた時間でもあった。今回の騒動を経て、アメリカンフットボールに興味を持っていく人が増えていけば、連盟としても今回の報道は、必ずしも負の印象だけではないということになるだろう。是非、そのようにつなげていってほしいものである。

【THE INSIDE番外編】今こそ、アメリカンフットボールの魅力を再認識しよう…関東高校アメリカンフットボール大会準々決勝

《手束仁@CycleStyle》

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