算数・数学を7倍速で学習!人工知能型教材「Qubena」ができるまで

 AI(人工知能)を活用し、生徒ひとりひとりの理解度・進度にあわせるアダプティブラーニングを実現化したタブレット型学習「Qubena(キュビナ)」。現在1万7,000人以上のユーザーがQubenaで算数や数学を学んでおり、学校での導入も決定し、注目が集まっている。

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COMPASS CEO 神野元基氏
  • COMPASS CEO 神野元基氏
  • 「社会が加速度的に変化していくこの時点で、教育自体は100年以上変わっていないことに非常に危機感を覚えた」と語るCOMPASS CEOの神野氏
  • Qubenaで算数の学習に取り組んでいる結翔君はこの夏「算数検定」に挑戦する
  • 神野氏とQubenaで算数の学習に取り組んでいる結翔君
  • 「タブレットでの学習は間違いがすぐにわかるので楽しい」という結翔君
 AI(人工知能)を活用し、生徒ひとりひとりの理解度・進度に合わせるアダプティブラーニングを実現したタブレット型学習「Qubena(キュビナ)」。現在1万7,000人以上の小学生から高校生のユーザーがQubenaで算数や数学を学んでおり、中学や高等学校での導入も決定。家庭でもより気軽に月額1,950円で利用できる新サービス「Qubena Wiz Lite(キュビナ・ウィズ・ライト)」が2018年7月31日にリリースされるなど、その展開が注目されている。

 Qubena Wiz Lite(キュビナ・ウィズ・ライト)は、まずは3日間の無料体験が可能

 Qubenaが誕生したきっかけから、活用方法、今後の展開までを、Qubenaの開発から塾の運営までを手掛けるCOMPASSのCEO、神野元基氏に聞いた。

Qubenaは忙しい子どもたちに時間を作るための新しい学習方法



 「Qubenaで、1人でも多くの子どもを救いたい」。そう語るのは、Qubenaを運営するCOMPASSのCEOを務め、自ら開発を手掛ける神野元基(じんのげんき)氏だ。2010年、シリコンバレーで起業した際に「シンギュラリティ」(*1)に出会った神野氏は、社会が加速度的に変化していくこの時点で、教育自体は100年以上変わっていないことに非常に危機感を覚えたという。
*1 シンギュラリティ:AIが人間の知能を越すとする技術的特異点

 「当時はまだEdTech(*2)という言葉もほとんど普及していない時代でした。しかし、シンギュラリティが遠からず訪れると言われている現在において、子どもたちがこれらの未来を生き抜くためのスキルや力を、早急に身に付けなければいけないと感じたのです。とは言っても、日本の子どもたちは、学校だけでなく、毎日のように塾やお稽古があって非常に忙しく、新しい事を始めるような時間がありません。」
*2 EdTech(エドテック):Education(教育)とTechnology(技術)を組み合わせた造語で、進化するテクノロジーで教育に変革をもたらすものとして世界が注目をしている領域。

 そのためには何をすればよいか考えたとき、神野氏が着想したのが、勉強の効率化だった。

 「実は、集団指導の60分の授業のうち、子どもたちが本当に理解しているのはたったの6分だと言われています。残りの54分はすでに知っていることだったり、逆にまったく理解できないことだったりする。しかし、集団指導では、全生徒の理解度をひとりずつ考慮することはできません。

 そこで、ひとりひとりの進度・理解度に沿ったアダプティブラーニングを最適化させるため、AI(人工知能)を活用し、効率化を図った学習システムを考えました。Qubenaを使うことで、無駄な54分がなくなり、最大10倍の学習を進められる。そうすれば、残りの時間を使って、未来を生き抜く力を身に付けることができると考えたのです。」

COMPASS CEO 神野元基氏
「集団塾のように統率しなければならないイメージとは違うフラットな場を作りたかった」と神野氏が語るように、Qubena Academy(キュビナ・アカデミー)のエントランスは木目の温かい雰囲気だ

AIが生徒のつまずきを解析し最適な問題を出題



 AIといっても、その用途や内容はさまざまで、たとえば「アルファ碁」などに使われているAIとQubenaのAIはまったく異なる。

 「Qubenaでは、生徒ひとりひとりの解答だけでなく、解答にいたるまでに、どのような操作を行ったか、というところまで解析し、どこでつまずいたのかを調べます。そのうえで、数万問の中から生徒に最適な問題を選び出していく。このシステムを実現するための最先端のテクノロジーのひとつが、AIだったのです。この学習方法を具現化させていくのは大変複雑なため、AIを使ったのは必然の選択でした」と、神野氏は語る。

 開発にあたっては、まずその前段階として、学習塾でプリントによるモニター授業を実施し、アナログでの実証実験を行った。この実証実験により、人力で行ったこの学習方法で十分な学習効率を上げることが証明され、世界初となる人工知能を活用したタブレット教材「Qubena」が誕生した。

 Qubenaでは、現在小学1年生から中学3年生までの算数と数学をカバーしており、数万問以上の問題が用意されている。「数 IA、IIB」も新たにリリースされ、今後はほかの教科にも対応させていく構想もある。

 Qubenaの教科として最初に算数・数学を選んだのは、学校教育においてもっとも子どもたちがつまずきやすい、苦労する教科であったからだと神野氏は話す。

「社会が加速度的に変化していくこの時点で、教育自体は100年以上変わっていないことに非常に危機感を覚えた」と語るCOMPASS CEOの神野氏
「社会が加速度的に変化していくこの時点で、教育自体は100年以上変わっていないことに非常に危機感を覚えた」と語るCOMPASS CEOの神野氏

 「算数や数学は、一度つまずくとそれ以降が難しくなって、苦手意識を持ち続けてしまいます。Qubenaでは、生徒に合わせて大体70点とれるラインの問題を出題するようにしているため、今まで算数の問題でバツしかつかなかった子が、マルをもらえる機会が増えます。こうして成功体験を重ねることで、苦手意識を持っていた算数が次第に好きになってくるのです。」

 現在、Qubenaによる学習効率は、学校の勉強と比較して平均で7倍となっている。理論上は10倍まで効果を高めることができるとうたっているが、それは決して理想ではない。ほぼ予想どおりであると神野氏は語る。

「算数がより好きになった」 小学生の家庭からも好評



 今回、Qubenaを実際に活用している小学生と、その保護者にも、Qubenaの利点や学習効率について話を聞いた。

 小学3年生の結翔(ゆうと)君は、2年生の春にクラスメイトから誘われてQubenaのモニター体験に参加したのがきっかけでQubenaを始めた。現在は週に1回50分の授業を受けに、目黒の「Qubena Academy」に通塾している。1歳から「公文式」に通っていた結翔君は、もともと算数が好きだったこともあり、すぐにQubenaに夢中になったという。

 家庭でも、塾や「公文式」の宿題と並行しながら、週に1時間半ほどQubenaで学習している。Qubenaの勉強で特に効果的だと感じたのが、解答した問題の正誤が瞬時にわかり、目だけでなく音としても知らされる点だったと、母の麻里さんは話してくれた。

 「子どもはどうしても、いい加減にマルつけをやってしまいます。Qubenaは、解答してすぐに正しいかどうか、親も音でわかってしまうのですが、最初の頃はバツの音ばかりが聞こえてきましたね。でも、そのおかげで、答えをきちんと確認する習慣がつき、スピードと正確さが増したように感じています。」

「タブレットでの学習は間違いがすぐにわかるので楽しい」という結翔君
「タブレットでの学習は間違いがすぐにわかるので楽しい」という結翔君

 また、ほぼ毎日習い事や塾が入っている多忙な結翔君にとっては、「すきま時間」でもいつでも学習できるQubenaのシステムはとても有用だという。

 「家で塾と同様の勉強ができるうえ、解いた結果はデータで先生のところに送られているので、よい意味で常に緊張感があります。計算用紙などにグチャグチャに書くよりも、タブレットの学習のほうがきちんとやっている印象を受けます。」

 Qubenaを始めたことで、もとから得意だった算数がさらに好きになったという結翔君。特に気に入っているという機能は、タブレット上で使用できるバーチャルな定規やコンパスということで、画面で定規を器用に使いこなすようすを披露してくれた。一方で「文字を書きやすいのは鉛筆とノート」と、デジタルとアナログの使い分けをしているあたりは、デジタルネイティブといわれる世代の特徴ともいえる。

 神野氏も「実は、この定規やコンパス、分度器は、Qubenaの問題の一部でしか使用しません。しかし、そういった細部もとことん作り込んでいます。子どもたちは、一瞬でタブレットの操作を覚えるので、タブレットで学習することはまったく障壁になりません」と話すとおり、体験会で初めてQubenaに触った子どもでも、タブレットでの学習を楽しく進めている姿が印象的だった。

 Qubenaでは、学習の目標のひとつに「算数検定」「数学検定」の受検を掲げている。結翔君も、7月に初めての「算数検定」に挑戦することをキラキラした目で嬉しそうに話してくれた。

Qubenaで算数の学習に取り組んでいる結翔君はこの夏「算数検定」に挑戦する
Qubenaで算数の学習に取り組んでいる結翔君はこの夏「算数検定」に挑戦する

月額1,950円、家庭で使える新コース「Qubena Wiz Lite(キュビナ・ウィズ・ライト)」登場



 Qubenaで学習するためには、東京目黒にある直営スクールの「Qubena Academy(キュビナ・アカデミー)」、Qubenaを導入した学習塾、2018年から始まったフランチャイズの「Qubena Room(キュビナ・ルーム)」といった通塾で利用する方法と、オンライン家庭教師サービス「Qubena Wiz(キュビナ・ウィズ)」(月額9,800円)を利用する方法がある。「Qubena Wiz」は担当のサポート講師がリアルタイムで進捗管理するほか、チャットによるサポートも行われる。そのほかにもドローンを使ったワークショップなど、STEM領域の教育も積極的に行っている。

 さらに手軽に、そして効率よく、家庭でも取り組めるよう、2018年7月31日に登場したのが、低価格で家庭で利用できる新サービス「Qubena Wiz Lite(キュビナ・ウィズ・ライト)」だ。「Qubena自体の体験者を増やし、その良さをわかってもらえたら、学習スタイルに合わせて学習する場所を選んでもらえれば良いと思います」と神野氏が語るように、月額1,950円という、従来よりも手軽な価格でQubenaを利用できる。これまで遠方で塾に通えなかった家庭や、価格の面で利用に至らなかった家庭にも、幅広く利用してもらうよう意図したという。

 「Qubena Wiz Lite」では、学習の進捗を随時保護者が確認できるようになっており、学習を進めていくことで、苦手分野や正答率の低い単元などが非常にわかりやすくなっている。

 また、COMPASSでは地域格差、貧困による教育格差についても考慮しており、一部のNPOに対して無償でQubenaを提供している。

神野氏とQubenaで算数の学習に取り組んでいる結翔君
神野氏とQubenaで算数の学習に取り組んでいる結翔君

公教育でもQubenaの採用が始まる



 Qubenaは公教育での導入も始まっている。2018年5月から、岡山県立和気閑谷高等学校で数学の指定教材としてQubenaが採用された。さらに9月には、経済産業省「未来の教室」実証事業の一環として、東京都千代田区立麹町中学校において、Qubenaを使った数学の授業が開始される。麹町中学校ではQubenaによって従来の授業時間を短縮し、残った時間をSTEM領域の教育にあてていく予定だという。

 「教育において、国としてできることは、未来を見据えたスローガンを出すことだと思います。すでに、日本では2020年からの教育改革をはじめとして、さまざまな提言を行っており、それだけでも素晴らしいと思っています。あとは、いかに先生や、自分のような教材などを作っている現場のプレイヤーたちが頑張るかにかかっているのです」と神野氏は話す。

 「Qubena Wiz Lite」の登場で、一挙に普及化が期待されるQubena。そこで効率的に学んだ子どもたちは次に何を目指すのか。未来を生き抜く力をつけるための新しい学びの形を、保護者そして指導者たちは改めて考えていく必要がある。

Qubena Wiz Lite(キュビナ・ウィズ・ライト)


まずは3日間の無料体験からチャレンジ。月額1,950円で人工知能型教材を使い放題
《相川いずみ》

教育ライター/編集者 相川いずみ

「週刊アスキー」編集部を経て、現在は教育ライターとして、ICT活用、プログラミング、中学受験、育児等をテーマに全国の教育現場で取材・執筆を行う。渋谷区で子ども向けプログラミング教室を主宰するほか、区立中学校でファシリテーターを務める。Google 認定教育者 レベル2(2021年~)。著書に『“toio”であそぶ!まなぶ!ロボットプログラミング』がある。

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