トヨタ社会貢献活動映像3作Webサイトで公開…海外の子どもたちの支援も

トヨタ自動車が社会貢献活動の一端を紹介するために立ち上げた冊子『sMiLES』が従業員や取引先など関係者の間で注目を集めている。

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トヨタの社会貢献活動を伝える「sMiLES」
  • トヨタの社会貢献活動を伝える「sMiLES」
  • トヨタ 朽木英次社会貢献推進部部長
◆地道な草の根活動だが、広報の重要性に気づく

トヨタ自動車が社会貢献活動の一端を紹介するために立ち上げた冊子『sMiLES』が従業員や取引先など関係者の間で注目を集めている。

同社のホームページでは冊子で掲載したエピソードを動画でも視聴できるようにしており、発行元の社会貢献推進部には従業員らから「こんなことにも取り組んでいたのか」、「誇りに思える」といった反響が多く届くようになってきた。

トヨタは2017年度には243億円(連結ベース)の社会貢献活動費を支出しているが、かつては、活動の詳細を表立って公開することには消極的でもあった。「隠徳」、つまり徳のある行いは密やかにという日本ならではの価値観を重視していたからだ。

しかし、米国でのリコール問題を契機に、草の根の社会貢献活動は普段からもっと広報し、社会にも認知してもらう必要があるとの考えに傾いたという。加えて、「当社の取り組みを発信することは、さまざまな社会課題を広く世の中にお伝えすることにもなる」(社会貢献推進部の朽木英次部長)との観点からも、近年は積極的な広報へと舵を切っている。

◆ヒューマンストーリーにして社会課題の存在も伝える

17年3月創刊の『sMiLES』は、そうしたタスクをしっかり担いつつある。A4版・20ページ前後で発行されており、毎号、トヨタの幅広い社会貢献活動のなかから海外案件も含み5、6分野ほどのエピソードを紹介する。国内の全従業員や取引先企業、株主総会に出席の株主らに約6万部を配布している。

今のところは年1回のペースなので、発行はまだ2号だけ。しかし、冊子と連動したストーリー仕立ての上質な映像が好評であり、視聴者によるSNSを通じた発信などによって情報の拡散も進んでいる。18年11月には第2号の映像で紹介されたインドでのトイレの整備に関する活動を、中部圏の大手紙が現地取材してリポートした。

sMiLESのサブタイトルは「闘う笑顔に出会いたい」であり、貢献活動の対象になる人々を主人公に映像を制作している。sMiLESの立ち上げから携わっている社会貢献推進部グローバル企画室の宮本明子主任は「ヒューマンストーリーとしていくことで、視聴される方の心を動かすことができれば、社会課題や当社の活動も伝わりやすい」と、映像の積極採用を考えたという。

従来も活動紹介の映像自体は年間30本程度を制作していた。だが、「記録」を主体にしたものなので、情報発信のパワーはいまひとつ。そこで「情報発信や制作のノウハウは広報部門の協力も得て、しっかりしたものを作り上げることに集中した」(同部の岩崎三枝子グローバル企画室長)という。従前の記録映像の本数は大幅に削減して予算措置でも一点集中とし、感動作に仕上げている。

映像化されたエピソード3本を以下に紹介する。

◎中国の助学金プログラムを受け、今は韓国で活躍する中国人女性……このプログラムは就学機会に恵まれない中国内陸部の人々を主体に、2006年に立ち上げた奨学金制度で返済は不要。これまで支援した学生は2600人にのぼり、リーダーシップ研修や日本訪問などの機会も提供している。


◎インドの小学生たちとトイレの物語……インドでは今も2億5000万人の人が野外で用を足す環境にある。トヨタの現地法人は2014年から小学校へのトイレ設置やそれをきれいに使ってもらう習慣づけなどのプログラムを開始、約200校に展開している。子どもたちは親を説得するなど家庭にもトイレを設置するムーブメントも起こしている。


◎障がいの壁を超えるスペシャルオリンピックス(SO)への挑戦……SOは知的障がいのある人々へスポーツトレーニングと競技会を提供する国際スポーツ組織。トヨタは2016年にSO日本パートナー、18年からは本部のグローバルパートナーとして振興を支援している。従業員ボランティアも活発で、18年9月に愛知県で開催の「日本夏季ナショナルゲーム」には約900人が参加して運営を支えた。

トヨタ社会貢献活動の映像が胸熱くする…情報誌『sMiLES』の3作をウェブで公開[動画]

《池原照雄@レスポンス》

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