親子での人形遊び、子どもの心の発達に好影響

 パイロットインキと慶應義塾大学文学部赤ちゃんラボ主宰の皆川泰代教授が2017年より共同で行っている「人形遊びとこころの発達」に関する実験・調査の中で、人形を使ったごっこ遊びが子どもの心を育むことが明らかになった。

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親子での人形遊び、子どもの心の発達に好影響
  • 親子での人形遊び、子どもの心の発達に好影響
  • 慶應義塾大学文学部赤ちゃんラボ主宰の皆川泰代教授
  • なぐさめ行動の各課題平均点
  • 共同注意課題の得点
  • お人形遊び課題の結果
 パイロットインキと慶應義塾大学文学部赤ちゃんラボ主宰の皆川泰代教授が2017年より共同で行っている「人形遊びとこころの発達」に関する実験・調査の中で、人形を使ったごっこ遊びが子どもの心を育むことが明らかになった。

 パイロットインキと慶應義塾大学による共同プロジェクトで、2.5歳から3.5歳の人形遊びの経験が多い(週1時間以上)100名(以下「High」)と、経験の少ない100名(以下「Low」)を対象に認知能力を測る質問紙調査を実施。また、各郡100名のうち25名のコア群をランダムに抽出し、2018年に行った「利他行動」「心の理論」「共同注意」の3つの実験に加えて、「お人形遊び課題」「NIRS脳機能計測」の2つの実験を実施した。

 「利他行動」の実験では、実験者が子どもの目の前で「ゴホゴホとせき込む」「手を挟む」「肘をぶつける」行動をとった場合に、なぐさめてくれたり、手を撫でたりしてくれるかを調査。その結果、なぐさめ行動は「High」群が統計的に有意な傾向にあり、特に手挟みの課題では「High」群が高い結果となった。このことから、人形が考えていることを共有しようと、自然に気持ちを想像する中で「相手を思いやる気持ち」が育まれると考えられる。

 「共同注意」の実験では、母子で遊んでいる場面で仕掛けぬいぐるみが出てきたときに、子どもが「見て!」「かわいいよ」などと対象を母親に教え、その気持ちを視線などで共有するかを観察。その結果、「High」群は共同注意の生起が有意的に多く、コミュニケーションの意欲や共感性が高いことがわかった。このことから、親が人形を使って話しかけることで子どもも話したい気持ちになり、言葉を上手く喋ることができない時期でも身振りや表情、視線で相手に自分の気持ちを伝えようとする中で、「他者とコミュニケーションをとろうとする心」が育まれると考えられる。

 「お人形遊び課題」の実験では、人形を使ってごっこ遊びを母子で10分間行い、生起する母子の発話(感情、要求)や行動をコーディング。その結果、人形の代弁、人形向け発話ともに「High」群が多く、母子別でみると人形の代弁は「High」群母、人形向け発話は「High」群子どもに多い傾向にあることもわかった。この結果から、母親が人形の見立てが上手くできており、上手に人形役をこなしていることがわかる。このように人形遊びの中で親が人形の気持ちを代弁することで、子どもが自分と他者が違う気持ちであること、同じではないことを理解するようになる足掛かりとすることができる。

 調査結果を受け、慶應義塾大学文学部赤ちゃんラボ主宰の皆川泰代教授は「お人形に心があるように見立てることができることだけでもすごい能力ですが、その『他者』の心が自分の心と違ってどのような状態であるか想像する遊びは子どもの社会情緒的スキルを育てます。パパもママも余裕があるときはお子様とお人形で遊んでみてください」とコメントしている。

 なお、この研究結果については6月13日より東京ビッグサイトで開催される「東京おもちゃショー2019」のパイロットインキブースにて一般公開される。
《桑田あや》

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