【自由研究】雲の観察マスターへの道…観察方法の基本とウラ技

 「子供の科学2019年7月号」より、気象予報士・空の探検家である武田康男さん直伝の「雲」の観察方法をご紹介する。巻積雲(けんせきうん)、積乱雲(せきらんうん)…「10種雲形」(じゅっしゅうんけい)を覚えてみよう!

教育・受験 小学生
子供の科学 2019年7月号「めざせ!雲の観察マスター」(写真・文/武田康男)
  • 子供の科学 2019年7月号「めざせ!雲の観察マスター」(写真・文/武田康男)
  • 巻雲(写真・文/武田康男)
  • 券層雲(写真・文/武田康男)
  • 高層雲(写真・文/武田康男)
  • 巻積雲(写真・文/武田康男)
  • 高積雲(写真・文/武田康男)
  • 乱層雲(写真・文/武田康男)
  • 層積雲(写真・文/武田康男)
 「雲」は外に出て見上げるだけで観察できる身近な自然。気温や風、地形の影響を受けながら変化していくので、自然観察のテーマにぴったりで夏休みの自由研究のテーマとしても選びやすい。特に夏は雲の観察のベストシーズン。わた雲がにゅうどう雲に変化したり、台風が過ぎたあとには多彩な種類の雲が現れたり「雲の展覧会」と呼ばれるほど。

 長年にわたり日本の子どもたちの知的好奇心を刺激し、良質なサイエンス教材を提供している「子供の科学」。2019年7月号より、気象予報士・空の探検家である武田康男さん直伝の「雲」の観察方法をご紹介する。

雲の観察マスターへの道1:雲の種類を知るべし



 雲の観察マスターになれば、雲の量や動きから天気の変化を予測できるようにもなります。観察方法の基本とウラ技を習得して、この夏、すごい自由研究に挑戦しましょう!

 (※観察するときは、太陽光や大雨、雷などに充分注意しましょう。)

観察の基本は「10種雲形」



 以下、写真・文/武田康男(気象予報士、空の探検家)

 雲は、その形と雲ができる空の高さで10種類に分けられます。それらを「10種雲形(じゅっしゅうんけい)」と呼びます。形は主に、すじの形、かたまりの形、横に広がった形があります。

巻雲(写真・文/武田康男)
券層雲(写真・文/武田康男)
高層雲(写真・文/武田康男)
巻積雲(写真・文/武田康男)
高積雲(写真・文/武田康男)
乱層雲(写真・文/武田康男)
層積雲(写真・文/武田康男)
積雲(写真・文/武田康男)
層雲(写真・文/武田康男)
積乱雲(写真・文/武田康男)
 雲ができる空の高さは高い方から、上層(5000~1万3000m)、中層(2000~7000m)、下層(地表~2000m)と3つに分類できます。

 まずは基本となる10種雲形を習得しましょう。しかし、実際の空にはいろいろな種類の雲が混じっていて、10種の雲を簡単に区別できないことも多いもの。同じ種類の雲でも、よく見るとみんな違っていて、10種の雲をさらに詳しく見ると、波状雲(はじょううん)/さば雲、レンズ雲(笠雲)、かなとこ雲などのいろいろな形があります。

 積雲(せきうん)が積乱雲(せきらんうん)に発達したり、巻積雲(けんせきうん)が高積雲(こうせきうん)になったりと、雲形は刻々と変化していきます。

 雲の観察で大事なことは、こうした移り変わりを捉えること。雲がどっちに動いているか、形がどのように変化しているかを知ることです。観察するときは1回だけでなく、しばらく見続けるか、少し時間が経ってからまた見るかしてみましょう。

雲の観察マスターへの道2:雲は高さで読む



高さによってできる雲は違う



 巻雲(けんうん)や巻積雲ができる上層は、高さが5000mから1万3000mほどの範囲です。富士山(標高3776m)よりもずっと高く、上層の雲は、ジェット機が飛ぶ高さ(高度約1万m)にあります。小さな氷の粒でできているものが多く、氷の粒によってまっ白に輝いて見えます。

 高積雲や高層雲(こうそううん)ができる中層は、高さが2000mから7000mほどの範囲。高い山と同じくらいの高さで、富士山でよく見られる笠雲(かさぐも)も中層にできた高積雲です。小さな水の粒からできていて、雲が太陽を隠すと光が弱まるため、中層の雲は灰色に見える雲が多いです。

 層積雲(そうせきうん)や層雲(そううん)ができる下層は、地表から高さ2000mくらいまでの範囲です。低い山や東京スカイツリー(高さ634m)などは下層の雲がかかることがあります。雲が空を覆うと太陽の光は見えず、地面が暗くなります。

 それぞれの雲がつくる雨にも特徴があります。層積雲や層雲などの下層の雲から粒の小さい、ごく弱い雨がたまに降ります。中層に広がった雲から雨が降っても、比較的弱い雨です。積雲・積乱雲などの下層から中層や上層まで広がった雲からは、粒の大きな雨が降ります。

 高度と雲の形の関係は、子供の科学2019年7月号の誌面で図解していますので、そちらもあわせて見るとわかりやすいでしょう。さらに、雲の高さを知る2つのポイントを紹介します。

ポイントその1.影や飛行機を見る

 雲の高さを知る方法の1つとして、雲の影に注目してみましょう。太陽が地面につくりだす雲の影は、雲の形や大きさをよく表します。小さな積雲だと、校庭や大きな公園で雲の影を見ることができるでしょう。雲が動く速さを空で測るのはたいへんですが、影の動きから推測することができます。

ポイントその1.影や飛行機を見る(写真・文/武田康男)
 高い雲の影が低い雲に映ることも見逃してはいけません。観察者から見てずっと上空、高度2000m以上に現れる中層や上層の雲も、その影を見れば手に取るように雲の高さを比較することができます。

 さらに、ジェット機にともなう飛行機雲の影も活用できます。高度約1万mを飛ぶジェット機は、その下の雲に飛行機雲の影をつくります。薄い雲の場合、飛行機雲と影の両方が見えるときは、さらに高さの違いがわかりやすくなります。飛行機が飛ぶ高さをリアルタイムで知ることができるウェブサイトもあるので、そうした情報から雲の高さを推定することもできます。

ポイントその2.朝夕は雲の色づき方を見る

 朝夕は太陽の光が低い位置から雲に当るので、色のつき方から雲の高さの違いがわかります。夕焼け雲の場合は、まず高度が低い雲から色づき、だんだんと高い雲も色が変わっていき、最後には高い雲だけが赤くなります。

ポイントその2.朝夕は雲の色づき方を見る(写真・文/武田康男)
 地球は丸いため、太陽が地平線のかなたに沈んでいっても、高い空には光が当たり、高い雲だけが赤く色づきます。つまり、夕焼け雲の色づく順番から、下層、中層、上層の雲の高さの違いを判別できるのです。

 また、朝夕は太陽の光が低い角度から当たるので、雲の影が遠くまで伸びます。太陽の高度が下がり地平線付近にあるとき、雲の影はそれより高い雲の下から当たります。こうした影からも上下の違いがわかります。

 大きな積乱雲の影が、さらに上空にある薄い雲に伸びているようなおもしろい現象もみられるのでチェックしてみましょう。

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 「子供の科学 2019年7月号」では、さらに、
・雲の観察マスターへの道3「微妙な雲をズバリ判別!」
・雲の観察マスターへの道4「風と天気を読む」
・雲の観察マスターへの道5「最強の観察シートをつくる」
 を掲載している。すぐに自由研究に使える、子供の科学特製「雲の観察シート」も付いているので、この夏「雲の観察マスター」を目指す子どもたちの心強い味方となってくれるだろう。

<協力:誠文堂新光社>

子供の科学 2019年 7月号 [雑誌]

発行:誠文堂新光社

★特集 自由研究に使える観察シートつき めざせ! 雲の観察マスター
●はじめようジブン専用パソコン 3回連続プログラミング+工作スペシャル! ロボシャークでロボットの基本をマスターしよう
●micro:bitでレッツプログラミング! 通電テスターをつくろう!
●第二のサン業革命をおこせ!! 「生物工場」カイコ大解剖!

《編集部》

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