子どもの権利条約に関する意識の低さ浮き彫り「尊重されている」子ども2割弱

 国連NGOセーブ・ザ・チルドレンは、15~17歳の子どもと80代までの大人を対象に行った、現在の日本社会における子どもの権利条約の認知度および子どもの権利に関する認識の調査結果を2019年11月14日に発表した。

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十分に知られていない子どもの権利条約
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 子どもの権利条約の国連採択から30年、日本批准から25年を迎え、国連NGOセーブ・ザ・チルドレンは15歳から17歳までの子どもと、80代までの大人を対象に、現在の日本社会における条約の認知度および子どもの権利に関する認識調査を行った。

 セーブ・ザ・チルドレンは、すべての子どもにとって、生きる、育つ、守られる、参加する、「子どもの権利」が実現されている世界を目指して1919年にイギリスで設立された子ども支援の国際NGOであり、現在では日本を含む29の国と地域のメンバーが連携し、約120か国で子ども支援活動を行っている。

 今回の調査では、子どもの権利条約について十分に知られていないことが明らかとなった。「内容までよく知っている」と答えたのは子ども8.9%、大人2.2%と少なく、「聞いたことがない」と答えたのは子ども31.5%、大人42.9%であった。

 子どもの権利条約に対するイメージとして、60%以上の子どもと大人が「子どもが人間らしく生きるのに必要なもの」を選択した一方、「大人と同様、当然認められるもの」とした子どもは35.7%、大人は27.0%に留まった。

 また、普段の生活の中で子どもの権利が「尊重されている」と回答したのは子ども18.7%で、大人31.0%が「尊重している」と回答した。子どもの意見の中には、「大人の考え方を押し付けられていると感じるときがある」(山梨県・15歳男子)とあることからも、子どもと大人の間にギャップがあると言えそうだ。

守られていない子どもの権利

 さらに、80%以上の子どもと大人が守られていない権利があると感じていることも見えてきた。項目のうち特に多かったのは「親の暴力やひどい扱いからまもられること【第19条】」で、子ども50.8%と大人56.9%であった。大人が選んだ大切だと思う子どもの権利も、58.6%とこれがもっとも多かった。一方、子どもの選んだ大切だと思う子どもの権利は「生きること・育つこと【第6条】」が63.5%で最多となった。

 子どもの権利条約はあくまでも子どもが主体者であり、大人とともに社会をつくる大切なパートナーとして子どもを認めるものである。子どもがもっと暮らしやすい世の中になるように今一度、子どもの権利について考える必要がありそうだ。

◆調査概要
調査方法:調査会社によるWebアンケート
調査対象:全国15歳(中学生除く)~80代
回答者数:子ども(15~17歳)2,149人、大人(18歳以上)27,851人
調査期間:2019年8月5日~2019年8月10日
集計・分析:セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン(性別・年齢の人口構成比に合わせたウエイトバック集計)
※本調査は、「子どもの貧困と子どもの権利に関する全国市民意識調査」のうち「子どもの権利」に関するアンケート結果のみまとめたものであり、子どもの貧困に関する調査結果を含めた報告書は、2020年初旬に発表予定
《村本茉生》

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