緊急事態宣言後の東京・大阪・名古屋、データで見る人の動き

緊急事態宣言発出以後の人出、混雑についてはさまざまな報道がなされている。通勤電車はまだ過密状態という声から、人出がまばらな銀座や渋谷の街並みを放送するニュースもある。実際のところ平日の自粛要請の効果はどうなのだろうか。

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4月11日、東京新宿
  • 4月11日、東京新宿
  • 名古屋エリアの人口動態
  • 新宿エリアの人口動態
  • 天神エリアの人口動態
緊急事態宣言発出以後の人出、混雑についてはさまざまな報道がなされている。通勤電車はまだ過密状態という声から、人出がまばらな銀座や渋谷の街並みを放送するニュースもある。実際のところ平日の自粛要請の効果はどうなのだろうか。

そのひとつの目安となる調査データがレイ・フロンティアの公式ブログで発表されている。同社は、自社のライフログアプリから得られる位置情報の統計データを、新型コロナウイルスの感染拡大防止に役立てるため、参考情報を適宜、リリース、公式ブログで発進している。

14日付け公式ブログのデータもそのひとつだ。データは、愛知県が、国の緊急事態宣言とは別に、独自の緊急事態宣言を発したことの理由の参考となるものとして分析されたものだ。2020年1月1日から4月13日までの移動データのうち、愛知県、東京都、福岡県の代表的な繁華街のものを抽出し、時系列で人口動態(人の移動)をグラフ化したもの。

それぞれの繁華街は、愛知県で名古屋駅周辺、西木三丁目、栄町のデータ、東京都は新宿駅周辺、歌舞伎町一帯、福岡県は天神地区一帯のデータとしている。

グラフの縦軸は、2020年1月1日の各エリアの標本数をベースライン(100)として、折れ線は、1月1日以降の人出の増減を示している。

グラフを見ると、3エリアともに正月休みが明けると指標値で200~300(1月1日の2~3倍の人出)くらいとなり、土日に落ち込むという繰り返しが続く。2月くらいから、徐々に人出が減っていく傾向も見られた。一見して3エリアの人口動態に差異はないように見える。

ただし、名古屋エリアは、2月後半から人口の減り始めが少し顕著に見える。名古屋は比較的初期の段階に感染者数が多かったエリアのひとつなので、県民、市民の意識が他より早く移動自粛に向かった可能性がある。3月末から4月第一週にかけての人口は1月1日と同レベルの100前後に下がっている。

これだけをみると、政府が緊急事態宣言に愛知県を外したのも合理的に思える。しかし、国が緊急事態宣言を発出した4月7日からその週末までの名古屋の動きを見ると、東京や福岡との違いが確認できる。

東京と福岡は、緊急事態宣言の翌日からすぐにエリアの人口が減少している。平日でも人口が減ったということは、政府や都道府県の要請どおり、出社や通勤を抑えた企業、店舗が増えたことがうかがえる。しかし、名古屋エリアのグラフは、その前の週とほぼ同じ動きを見せている。

もちろん、国の要請には含まれていなかったので、積極的な自粛が発生しなかったと考えれば当然なのだが、依然として感染リスク、発症リスクの高いエリアである。4月8日時点で、陽性患者数は神奈川県に次ぐ第5位だった。愛知県として、人出や接触機会が変わらないなら、この数字の改善は難しいと判断したと考えることができる。

緊急事態宣言の効果は? 東京・大阪・名古屋を比べる

《中尾真二@レスポンス》

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