JASSO奨学金、機関保証への重点化に向けさらに検討

 文部科学省は2020年5月8日、「日本学生支援機構奨学金事業における保証制度の在り方についての中間報告まとめ」を公表した。現行の人的保証と機関保証の課題などを整理し、将来的な方向性として「機関保証への重点化」との考えを示しつつ、さらなる検討を要するとした。

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保証制度の選択率の状況
  • 保証制度の選択率の状況
  • 新規返還者の回収率の推移
  • 出生順位別にみた父母の平均年齢の年次推移
  • 現行の保証制度におけるメリット・デメリット
  • 現行の保証制度におけるメリット・デメリット
  • 徴収保証料・代位弁済額・新規選択率の年度別推移
 文部科学省は2020年5月8日、「日本学生支援機構奨学金事業における保証制度の在り方についての中間報告まとめ」を公表した。現行の人的保証と機関保証の課題などを整理し、将来的な方向性として「機関保証への重点化」との考えを示しつつ、さらなる検討を要するとした。

 現在、日本学生支援機構(JASSO)で奨学金を申し込む際には、連帯保証人と保証人を選任する「人的保証」、機関保証に加入する「機関保証」のいずれかを選択する必要がある。機関保証制度は、保証料を支払うことで、連帯保証人や保証人を立てることなく、自らの意志と責任で貸与を受けることができる仕組みで、日本国際教育支援協会が制度を担っている。

 しかし、「人的保証」は、連帯保証人の高齢化や保証人を選任しづらい状況などの課題に加え、事業規模の大幅な拡大に伴い、返還が滞った場合に奨学金貸与を受ける本人、連帯保証人、保証人と段階的な請求を行うことによる返還請求業務が増大。「機関保証」についても、加入率が半数程度にとどまっていることや自己破産・モラルハザード防止といった課題が指摘され、人的保証、機関保証それぞれに課題が生じてきている。

 そのため2019年3月、文部科学省に「日本学生支援機構奨学金事業における保証制度の在り方に関する有識者会議」を設置。これまで7回にわたって議論を行い、中間的な取りまとめを行った。

 中間報告まとめによると、機関保証が導入された2004年度の選択割合は、人的保証90.9%、機関保証9.1%だったが、2019年度は人的保証43.7%、機関保証56.3%と、ほぼ同じ割合となっている。一方、2018年度の回収率は、人的保証98.2%、機関保証96.2%と、人的保証選択者のほうが新規返還者の回収率が高い状況にある。これは、機関保証が本人への通知・督促にとどまるのに対し、人的保証は本人のほか、連帯保証人や保証人への通知・督促を行っていることが影響していると考えられるという。

 奨学金を取り巻く社会の変化については、晩婚化により人的保証において原則として連帯保証人となる父母の高齢化が進み、連帯保証を担う経済的能力が厳しくなると予想。保証人に選任されるケースが多いおじ・おばなど(両親を除く4親等以内の者)についても、少子化に伴い、連帯保証人である親に兄弟姉妹がおらず、保証人を選任しづらい状況が懸念されているという。

 これらの状況などを踏まえ、中間報告では「保証制度の在り方に関する検討にあたっては、現行の『人的保証』『機関保証』それぞれのメリット・デメリットを踏まえる必要がある」と指摘。2020年4月開始の高等教育の修学支援新制度(授業料等減免・給付型奨学金)による変化についても「注視する必要がある」とした。

 今後の方向性としては、「将来的には機関保証への重点化を図ることが適当だと考えられる」としたうえで、「現時点において保証制度の在り方に係る結論を得るにはさらなる慎重な検討が必要」などと記載。機関保証に関して検討を要する具体的案件として、「保証料算定の基本的考え方」「保証料率の設定方法」などをあげた。
《奥山直美》

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