【大学受験】学生3分の1が社会科学系統に所属…旺文社が分析

 旺文社教育情報センターは2020年6月1日、日本の大学の学生数や所属する学部の系統など、現状を調べて結果を公表した。調査によると、学生の3分の1が社会科学系統に属し、また学生の約8割は私立大学に在籍していた。

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 旺文社教育情報センターは2020年6月1日、日本の大学の学生数や所属する学部の系統など、現状を調べて結果を公表した。調査によると、学生の3分の1が社会科学系統に属し、また学生の約8割は私立大学に在籍していた。

 文部科学省が2019年12月に公表した「2019年度 学校基本調査」をもとに調査・分析した。日本の学生数(2019年度の学部学生数)は、260万9,148人。設置者別にみると、国立大43万7,401人(占有率16.8%)、公立大13万8,653人(同5.3%)、私立大203万3,094人(同77.9%)となっており、私立大が約8割を占めている

 10年前の2009年と比較すると、国立大は17.9%→16.8%(-1.1ポイント)、公立大4.7%→5.3%(+0.6ポイント)、私立大77.4%→77.9%(+0.5ポイント)となっている。国立大の定員減少の一方、私立大の公立化による公立大数の増加、また私立大の定員増加による影響が大きいとみられる。

 男女別では、男子142万5,186人(占有率54.6%)、女子118万3,962人(同45.4%)。占有率を10年前と比較すると、男子58.3%→54.6%、女子41.7%→45.4%と、それぞれ3.7ポイントの増減となり、女子比率が増加している。

 系統別で学生数が多い順にみると、社会科学系統は83万6,408人で、そのうち私立大が73万3,977人で87.8%を占める。社会科学系統全体のうち、もっとも多いのは「商学・経済学」で55.0%を占め、ついで「法学・政治学」が19.0%となっている。系統別学生数の割合をみると、社会科学系統が全体の32.1%ともっとも多く、工学系統が14.6%、人文科学系統が14.0%、保健系統が12.8%などとなっている。これを、設置者別に学生数の多い順に系統の割合をみると、国立大は工学系統・教育系統、公立大は保健系統、私立大は社会科学系統などの割合が高く、設置者別の特徴が顕著となっている。

 志願者数を2015年度と比較すると、国立大はほぼ増減無し(1%減)に対し、公立大は12%増、私立大は30%の大幅増となっている。なお受験者数(実数)は減少傾向にあるものの、ほぼ同数で推移している。

 2019年度を2015年度の系統別で比較すると、全志願者数の約9割を占める私立大の数値が反映され、社会科学系統が41%増、人文科学系統が32%増、工学系統が23%増となっている。なお、保健系統のうち看護系統は23%増。それに対し、薬学系統は12%の減少だった。また、2020年度での私立大の一般入試(個別試験+センター試験)の志願状況は、ここ数年の難化と2021年の「新入試」を警戒した、「超安全志向」の出願となり、特に「高レベル・高倍率」のセンター試験利用入試は敬遠され、志願者が激減した。学部系統別では理工、農、芸術・体育を除き、軒並み減少した。

 2021年度の入試における志願、入学に関しては、新型コロナウイルスの影響で、学校の新年度開始の繰り下がりや経済状況の悪化により、志望校・志望系統の変更なども考えられる。人材育成が急務となっている工学系統をメインとするICT人材関連の系統は増加するのか注目される。なお、2020年度の入学状況などを調査した「学校基本調査速報」は例年であれば、8月に公表予定という。
《田中志実》

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