<国語>講評
(練成会 提供)
昨年より、標準問題は平均点がやや高くなり、裁量問題は同程度と予想。
大問四題という出題構成は例年とほぼ同様である。小問一題あたりの記述問題の指定字数は増えているが、設問の意図に沿った論理的な表現が求められている点では例年と同様である。ただし、裁量問題では十字程度の字数でまとめるという難度の高い記述問題も出題されている。以下が出題の特徴。
大問一は、漢字の読み書きや敬語表現、筆順、部首および説明的文章の読解という基本的な問題での構成。敬語表現は設問の意図を理解できているかが求められた。
大問二は、熟語の構成、誤字訂正が出題。正確な語句事項の知識が問われている。問三(1)および(2)の作文は、資料の内容を分析し、条件にしたがって、自分の言葉で表現するという良問。ただし、中間点がない分、表現内容を吟味する必要がある。
大問三は、小学生が川で魚をつかまえる場面を描いた作品。人物の様子の描写と魚の描写を対比して読みとることが求められている。また、人物の心情の変化を物から伝わる感触の違いから読みとる問題もだされている。問三の記述問題は具体的な状況を説明し、そこから導かれる心情を表現するという問題である。これは表現力を見るうえでは良問である。
大問四は同じ人物の動作を全て選ぶという問題がだされている。また、出来事の内容を並びかえるという問題もだされた。いずれの問題も古文内容を的確に把握できているかを試す問題であった。
学校裁量問題(大問三)の記述問題での配点は、昨年と同様に10点であった。具体的な例を通して筆者が述べたかったことを読みとるやや難しめの文章といえる。問二(記述問題)は十字以内と少ない字数でまとめる難度の高い問題であった。問四(記述問題)は字数が百五字程度と過去最多の字数であったが、ポイントとなる部分を二つおさえ表現する問題であった。問五の段落どうしの関係をとらえる問題は配点が四点と高くなっている。これは説明的文章の読解手順の基本である段落ごとの要点をおさえられているのかを見る問題と考えられる。
記述問題の配点については、標準問題の読解で総配点 60点中20点(条件作文等も含む)、標準との共通部分も含めた裁量問題の読解では総配点 60点中30点と、文章表現力が重視される傾向は続き、さらに問題も多様化している。豊かな語彙のもと、使用すべき表現の取捨選択や柔軟で論理的な思考が重視された出題といえる。
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このレポートは令和3年3月4日(木)に速報として練成会により作成されたもの。
協力:練成会