都立高入試、男女合同定員移行で女子合格者600人増

 男女別定員を設けている東京都立高等学校入学者選抜について、男女合同定員に完全移行した場合、女子の合格者数は現状より約600人増加し、男子の合格者は約600人減少することが2021年9月24日、東京都教育委員会のシミュレーション結果から明らかになった。

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男女別の合格者数の推移
  • 男女別の合格者数の推移
  • 男女合同定員で実施した場合との女子合格者数の差
  • 男女別定員から男女合同定員への移行イメージ
  • 学校別数値(男女合同定員と男女別定員との合格者数の差、合格最低点の差:女子-男子)
 男女別定員を設けている東京都立高等学校入学者選抜について、男女合同定員に完全移行した場合、女子の合格者数は現状より約600人増加し、男子の合格者は約600人減少することが2021年9月24日、東京都教育委員会のシミュレーション結果から明らかになった。

 東京都立高等学校入学者選抜では、47都道府県で唯一、男女別定員制を設けている。一部の学校で、9割まで性別ごとに合否判定して残り1割を男女合同で判定する緩和措置を導入し、2021年度(令和3年度)入試では対象校110校のうち42校で実施しているが、男女格差は解消されず、問題視されていた。

 東京都教育委員会では、現在の男女別定員から男女合同定員へ移行する方針を決めているが、「中学校の進路指導に与える影響が大きい」等を理由に段階的・計画的に進めるとし、第一段階として2022年度入学者選抜では対象校の全校(109校)で10%の緩和措置を実施すると発表した。今後、第二段階として男女別定員のうち男女合同で決定する割合20%を全校に拡大したうえで、第三弾として男女合同定員に移行。実施時期は2022年度入学者選抜の結果の分析等を踏まえ、検討していくとしている。

 東京都教育委員会では、2021年度東京都立高等学校入学者選抜(第一次募集・分割前期募集)において、男女別定員を設定していた学校の合格人員等のデータをもとにシミュレーションを実施した。これによると、緩和措置の割合を増やし、男女合同定員へ移行するにつれ、女子合格者数の差は縮まることが判明。男女別定員による女子合格者数と、男女合同定員による女子合格者数の差は、現状(2021年度)で最大32人差なのに対し、第一段階(全校10%措置)で最大差29人、第二段階(全校20%)で最大差18人にまで縮小するという。

 2021年度の合格者数は、女子1万10人、男子1万436人。シミュレーションによると、移行措置が進むにつれて女子合格者数は増え、男子合格者数は減り、第三段階の男女合同定員に完全移行した段階の合格者数は女子1万606人、男子9,840人。女子の合格者数は現状より約600人増加し、男子の合格者数は約600人減少すると推測している。

 学校名の記載はないが、学校別数値も公表。男女合同定員と男女別定員との合格者数の差、女子と男子の合格最低点の差を明らかにするとともに、第一段階、第二段階へ移行後の予測結果も示している。これによると、2021年度入試では計56校で女子の合格最低点が男子を上回り、もっとも点差が大きい学校で122点あった。男子の合格最低点が女子を上回ったのは18校。第二段階へ移行後、女子の合格最低点が男子を上回る学校は15校、女子が男子を上回った場合の合格最低点の差は、最大39点と予想している。
《奥山直美》

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