「普通」ではないのはリスク? それでも僕たちがオルタナティブスクールで学ぶ理由

 教育情報サイト「リセマム」では、インフィニティ国際学院高等部とワオ高等学校の2校の在校生に協力いただき、座談会を実施。進学先に悩んだ当時の思い、進学を決めた理由、受験期の親や先生とのコミュニケーション、現在の学校での学びのようすなどを語ってもらった。

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「普通」ではないのはリスク? それでも僕たちがオルタナティブスクールで学ぶ理由
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  • インフィニティ国際学院では共同生活をしながら約1か月単位で各地を旅する
  • インフィニティ国際学院高等部の研修のようす
  • インフィニティ国際学院高等部の研修のようす
  • インフィニティ国際学院高等部の研修のようす

 あと1か月で今年も終わる。年が明ければ、あっという間に時間が過ぎ、気付けば受験日当日。冬休み前に受験校の見直しや志望校の最終検討をしているご家庭も多いのではないだろうか。

 「全日制普通科」が、未だに進学先としては主流だ。一方で、オンライン学習が身近になったことで、より個別最適化が期待されている今、その「普通」の枠にはまらずに学ぶ選択肢が増えている。

 とりわけ注目したいのが、通信制高校をはじめとするオルタナティブスクール。昨今のオルタナティブスクールは著しい進化を遂げ、起業やデータサイエンス、eスポーツ、世界中を旅しながら学ぶグローバル教育など、従来の全日制普通高校のカリキュラムにはない新しい学びを展開。子供が自分の特性や関心、やりたいことに沿って自分らしいスタイルで学習できると評価されている。

 本企画では、オルタナティブスクールに在学する高校生に集まってもらい、オンライン座談会を実施。協力してくれたのは、インフィニティ国際学院高等部とワオ高等学校の2校の在校生たち。

インフィニティ国際学院高等部

(通信制サポート校・2019年開校)
 2019年に開学した、国内外を旅しながら学び合う新しいグローバルスクール。特定のキャンパスを持たず、オンライン学習および世界を舞台にしたフィールドワークを通じて「問う力・考える力」を習得する探求的学習を展開。現在は1・2年次に海外・国内の拠点・テーマを4週間ごと変えながら集合型研修を実施。高校ではなくサポート校の位置づけで、フィリピン語学学校CNE1や八洲学園大学国際高等学校と連携し、英語力や高校卒業資格も習得できる。2022年春に初等部・中等部を開学予定。


ワオ高等学校

(通信制高校・2020年開校)
 2021年4月に開校した広域通信制高校。学習塾の「個別指導Axis」「能開センター」などを展開するワオ・コーポレーションが母体。全国から入学を受け入れ、通常の授業はすべてオンラインで行う。年2回の岡山本校でのスクーリングがある。通常の基礎科目に加え、オリジナル科目として教養探究(哲学・科学・経済)や、オプションプログラム(起業、データサイエンス、留学、大学受験)など幅広い学びを提供。対話を通じて学びを深めるオンライン・アクティブ・ラーニングを授業スタイルに取り入れている。


 今回協力してくれたのは、インフィニティ国際学院高等部のしげさん(3年)、こーがさん(1年)、ワオ高等学校のてんしさん(1年)、ののかさん(1年)の4名。進学先に悩んだ当時の思い、進学を決めた理由、受験期の親や先生とのコミュニケーション、現在の学校での学びのようすなどを語ってもらった。

進学理由は十人十色、導かれるべくして出会った「自分のための学校」



--今日はお集まりいただき、ありがとうございます。さっそくですが、今の学校を進学先として選んだ理由を教えてください。

ののか:私がワオ高等学校(以下、ワオ高)を選んだのは、中学校時代の生徒会での活動を通じて、皆で議論することの難しさを実感し、そういった共通のテーマで語り合える学びの場を求めていたからです。当初から通信制高校に絞って進学先を検討していて、母に連れられてワオ高の学校説明会に行きました。もともと哲学に興味があったこともあり、ワオ高の教養探究の授業には惹かれましたし、将来の選択肢として起業にも関心があったので、「これは私のために作られた学校だ」と思ったんです。1期生として入ることができたので、タイミングもよかったです。

てんし:昨年は全日制の高校に通っていたのですが、違和感を感じて、ワオ高に転入しました。学校が決めたカリキュラムをこなす生活よりも、自分でじっくり考えて納得して行動する時間が欲しかったんです。もともと理系科目が好きで、それを将来にどうつなげようかというときに、これからの時代は情報・IT系がますます発展すると思い、データサイエンスを学びたいと思ったのも、ワオ高への進学を決めた大きな理由でした。

しげ:僕は以前は幼稚園から高校までの全日制一貫校に通っていたんですが、中学3年と高校1年でベトナム・カンボジア・インドの3か国に行く機会があり、そのとき外部の認識と自分たちの中の認識はこんなにずれていたんだと衝撃を受けたんです。このままではだめだと思い立って、高校2年でインフィニティ国際学院(以下、インフィニティ)への編入を決めました。

こーが:僕は中学のころから、いわゆる普通の学校が肌に合わなかったんです。そのこともあって、中学時代は世界各国に留学する生活をしていました。どこか良い高校がないかと探して見つけたのがインフィニティでした。よく調べたら「旅する学校」がキャッチフレーズで、世界への旅が好きな自分にぴったりだと思いました。出席日数では判断せずに、その人自体をみてくれることも魅力でした。

応援してくれる人は必ずいる、情報を調べてアドバイスをくれる存在は大事



--皆さん導かれるべくして導かれたのですね。いわゆる全日制高校とは違う学びをするという点で、家族や先生の反応はどうでしたか。

てんし:当時在学していた学校の先生は、意外とすんなり理解してくれました。僕のことを分かってくれる先生で、従来の学校との違いから多少なりともリスクがあることを示したうえで「そういうことをしたいのなら」と僕の意見を尊重してくれました。一方、家族からは「全日制高校に行った方が安定しているし、通信制を選ぶのはハイリスク・ハイリターン」という理由で、はじめは反対されました。何度も話し合う中で僕の意向を優先してくれました。

ののか:私の家族は通信制高校に対して好意的で、行くと決めたときも「良いんじゃない?」という反応でした。当初は違う通信制高校に行こうと思っていたものの、母に促されてワオ高の説明会に行ったら、運命を感じました。中学校の先生は、まだワオ高が新設校で情報がなかったこともあり、「大丈夫なの?」と懐疑的な先生もいました。でもワオ高に限らず、新設の学校の情報や今の教育業界のことを十分に調べたうえで背中を押してくれた先生も多かったですね。

しげ:僕も母の影響が大きかったです。母に「海外に行きたい」「学校が合わない」と話していたときに、母がたまたまSNSでインフィニティ国際学院の広告をみつけて、勧めてくれました。学校のWebページにあった情報に惹かれて、いざ入学してみたら、まさにドンピシャの学校だったので、今とても楽しいです。母からの一押しはありがたかったですね。

自分でじっくり考える時間・人と関わる時間のバランス



--この学校を選んで良かったと思う瞬間を教えてください。

ののか:生徒同士の話し合いのときに、入学して良かったといつも思います。ワオ高では、みんなが当たり前のように自分の意見を言うのですが、中学校の経験から考えると不思議なことなんです。先生も余計な口を挟まずに、私たちにしっかり話をさせてくれる。話がそれたときも生徒だけでも軌道修正ができて、自分たちだけで話し合いがちゃんとできる。中学校では生徒会長をやっていたんですが、人をまとめたり、議論を活性化させたりするのに苦労していたので、学ぶことがたくさんあります。同じ志をもっている人が近くにいて良かったと思います。

てんし:通信制で自由な時間が増えたので、何かしてみたいと思ったことや興味があることをすぐ行動に移せる状況なのが楽しいですね。前の学校では寮で生活にいたこともあって、1人の自由時間がほとんどなかったんです。

 ワオ高の授業の中身のことでいうと、データサイエンスという将来につながりそうな勉強を、高校1年生の今から取り組んでいます。結構難しくてボリュームも多く、やりがいを感じています。前までは「これをやっていて意味あるのかな」と思う教科書中心の授業が多かったので、教科書的な学習をオンラインで効率良くこなして、その他の時間を自由なことや専門的な勉強に使えるのは良いことだと思います。ののかさんも言うように、教養探究の授業で、「お金とは何か」「愛とは何か」といった共通のテーマで生徒同士話し合う中でいろんな気づきが得られたり、社会の流れとのつながりも自然と見えてきたりするのも面白いです。

しげ:僕は人との出会いがとても大きいです。インフィニティは「旅する学校」というキャッチフレーズのとおり、固定の校舎がなく、1か月ほどの単位で日本各地・世界各地をめぐりながら研修してまわります。現地の人との出会いや、そうした外部とのつながりがインフィニティの特徴的な部分です。フィリピンで会った同年代の子とも今でも関係が続いているし、僕がギターを始めたのも、同じくフィリピンで出会った音楽教室の先生がきっかけなんです。毎回の研修で、人とつながり、大きな学びを得ることができますし、「井の中の蛙」とは無縁の世界です。

インフィニティ国際学院高等部の研修では現地の子供たちとの交流も


こーが:僕も人とのつながりを多く得られるところだと思います。今は新型コロナの関係で海外研修はストップしていますが、1か月ごと日本の全国各地に研修に行っていて、行く先々で現地の人と仲良くなるんです。駅まで車に乗せてもらったり、現地のお店を紹介してもらうこともあります。漁師や農家の方など、都会の学校にいては接することができなかった方とも出会えて、自分の価値観が広がっていくのが面白いですね。

「1人の人間」として尊重してくれる安心感



--どちらの学校も、社会や人とつながることを大事にしていますね。卒業後の進路はどう考えていますか。

しげ:僕は将来の夢をいくつかの段階に分けて考えています。長期的には音楽活動をやっていきたいと思っていますが、その前に大学でリベラルアーツについて学ぼうと思っています。ミュージシャンの夢自体もインフィニティでギターに出会ったことがきっかけですが、他の出会いを重ねるうちに自分に音楽の才能はあまりないと自覚してしまって、歌詞や音楽を通して伝える内容の深さで自分らしさを出したいと思っているんです。リベラルアーツや社会問題について大学で知識を蓄えて、自分の主張を音楽で表現するとか、大学での学びを音楽につなげていきたいと考えています。

--ほかの皆さんはまだ1年生なので少し先の話になりますが、いかがですか。

てんし:ワオ高のデータサイエンス教育は、高校卒業時には働けるくらいのレベルになると言われているので、ボリュームは多いし内容も難しいですが、今はがむしゃらに取り組んでいます。卒業してすぐ働くこともできると思うんですけど、その時点で知識量や経験が足りないと自分で感じたら、大学進学しようと今は考えています

ののか:しっかり決めているわけではないですが、大学受験をする方向で考えています。起業にも関心がありますが、将来の選択肢が狭まらないよう手に職は付けたいと思い、今は薬学部に進学して薬剤師資格を取得しようと思っています。ワオ高に在学している間、起業に関する学びも深めつつ、どの程度社会で通用するのか試しながら、大学受験にも臨みたいです。

--「この授業、意味あるの?将来の役に立つの?」と言う声は、全国の学生から良く聞かれますが、ここに参加してくれたメンバーは皆、今の学びそのものも楽しみつつ、自分自身で社会や将来と結びつけながら学校生活を過ごしている印象です。

しげ:日々の学びが自分の将来につなげやすく、それぞれの進路にあった学びや相談ができるのがオルタナティブスクールの魅力だと思います。先生方も「先生」というよりも1人の人間としてそこにいてくれるイメージで、僕らのことも1人の人間として扱ってくれます。指導的な教育をするのではなく、僕たちの意見や人生を尊重して、最適なプランを出してくれるというところに魅力を感じています。

--インフィニティの「サポーター」の方は必ず海外経験をおもちで、ワオ高の先生方は学習塾での塾講師や企業での社会人経験のある方が多いと聞いています。

ののか:授業の議論でも、先生はあくまでも見守る立場にいてくれます。いわゆる先生とは違う、いち大人としてアドバイスをくれる感じです。先生方も「学校の教師」という職業以外の経験をしてきたからこそ、広い視野で意見をくれます。

ワオ高等学校岡山本校でも好きなスペースで好きな時間に、自由に学べる

「違って当たり前」の土壌、オルタナティブスクール自体も千差万別



--自分の学校や、オルタナティブスクールにはどんな生徒が合うと思いますか。学校選びのアドバイスをお願いします。

しげ:「今通っている学校」が合わないと思う人は、オルタナティブスクールにも目を向けると良いと思います。大学受験をしている今になって、5教科をはじめとした基礎科目はあらためて重要だと感じています。高校で学ぶ勉強の内容自体は大事だと思うんですけど、そのカリキュラムや勉強のスタイルが合わないとか、自分の能力が生かしきれない、苦しいと感じている人って多いと思うんですよね。

こーが:インフィニティの場合は、5~10人ほどの少人数グループで共同生活しながら各地をまわります。「通信制」と聞くと、オンラインで画面に向かってひとりで黙々と学習する印象をもたれる方もいると思いますが、インフィニティはむしろ真逆。人との関わりや共同生活を楽しめる人におすすめです。オルタナティブスクールと一口に言っても、今回のワオ高とインフィニティの学びの違いのように、多様な学校があるので、調べて検討してみると良いと思いますね。


てんし:今の環境に息苦しさを感じている人には向いていると思います。ワオ高の場合は、オプションプログラムも幅広いので、大学受験対策をしっかりしたい人、留学したい人、僕のように最新のデータサイエンスを学んでみたい人など、学びに関する多様な関心もカバーできると思います。特にワオ高はもともと学習塾を運営している「ワオ・コーポレーション」が母体なので、大学受験対策に関しては他校よりも手厚いサポートが得られると思います。

ののか:自分で考えて決めるのが好きな人は合っていると思います。学習の進捗も自主性に任されている部分も多いですが、先生方や学校側からのサポートもあるので1人で塞ぎ込むことはありません。

 あとワオ高の場合は、基本はオンラインでのコミュニケーションになるので、対面のコミュニケーションで気を使いすぎて疲れてしまう人も向いていると思います。適度に人と距離を取って、会いたいときに会える。裏を返せばワオ高にはそんな人が集まっていて、お互いの人格を傷つけることのない優しい人が多いように思います。



--在学生同士や先生との関わりについて、ワオ高は適度な距離感を取りながら学べるし、インフィニティは共同生活で密に関わって学ぶことができるんですね。

しげ:多様な視野をもっているせいか、インフィニティにはちょっと変わっている人が多く、時には馬が合わないこともあります。普通の学校だったら同じクラスでも仲良くならないようなメンバーとも、共同生活を通じて、自分とは違う部分があるからこそ、補え合えたり、理解しあったりして家族のような関係になれます。密に関わる分、違いを認め合う意識や適度に心理的な距離をとるスキルも身に付く気がします。

ののか:ワオ高の授業でも、生徒としての同じ目線で、人それぞれ違う角度からの意見を言い合う場がたくさんあるので、お互いの意見の尊重に関しては常に意識しています。オンラインであっても発言するには勇気がいりますが、それをあえて伝え合うことで、いろいろな角度からの見方があるということが知ることができます。

てんし:そう思います。ワオ高で話し合いをするときは、まず自分の意見をもつことが大事なので、自分だけで考える時間も大事にしている感じですね。オルタナティブスクールには「違って当たり前」という土壌があるので、自分の考えをもったり、意見を言ったりすることに躊躇しなくなりました

既存の枠組みにとらわれないことで広がる可能性



 座談会に参加した4人とも、自分の中の軸をもって進学先を選択し、今の環境を最大限楽しんでいるようすが伝わってきた。両校は教育方針もカリキュラムも大きく異なるものの、どちらも生徒の自主性を尊重し、自分らしいスタイルの学びを叶えている。オンライン学習を取り入れながら、社会や人との接点をつくり、たくさんの体験から生徒の成長を促すという点でも共通している。

 そして何より魅力的なのは、子供を「1人の人間」として尊重していること。冬休みを目前に、進学先選択や受験勉強の場面で、つい親と子・教師と生徒の主従の関係に陥ってはいないだろうか。少し距離をおいて、子供と1人の人間として接したとき、そののびやかな表情や穏やかな態度がみえたら、それはオルタナティブスクールへの誘いなのかもしれない。高校3年間、目一杯「今」を楽しみ、それ以降広がっていけるような学びのできる学校を、納得のいく形で見つけられることを願っている。

インフィニティ国際学院高等部の詳細はこちら
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「オルタナティブスクール」とは
 従来の伝統的な全日制学校とは異なり、独自の教育理念と教育方法を取り入れた教育を実践している学校。個人を尊重する教育が多く、新しい学びの形として、従来の教育システムに疑問をもつ生徒・保護者などから注目を浴びている。高校課程においては、学校教育法に基づき高校卒業資格が得られる「通信制高校」や、通信制高校と連携して学習支援や独自教育を行う「サポート校」、通信制高校と連携しながら専門的な勉強をする「技能連携校」などを指すことが多い。
《羽田美里》

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