東京商工リサーチ（TSR）は2021年12月、企業データベースから社長の居住地を抽出し、ランキングにまとめた。2021年の「社長の住む街」の全国トップは、2020年に続き東京都「港区赤坂」であることがわかった。 調査は、東京商工リサーチの約400万社の企業データベースより、社長（個人企業を含む）の居住地を抽出して、ランキングにまとめた。同一人物が複数の企業で社長を務めている場合は、売上高が大きい企業を採用し、重複企業を集計対象外とした。前回調査は2020年11月発表。 全国約400万社の社長のうち、もっとも多くの社長が住む街は、前回に引き続き東京都「港区赤坂」で3,739人だった。「赤坂」は都市型の商業施設や著名な飲食店も多い街で、各国大使館も点在し、大使館員や外資系企業の駐在員も多く住んでいる。 2位は、東京都「新宿区西新宿」。新宿駅の西側で、都庁をはじめ高層ビルが立ち並び、百貨店や家電量販店等の大型商業施設も多く、賑わっている。 3位は、トップの赤坂と隣接している東京都「港区六本木」。4位は「港区南青山」、5位は「渋谷区代々木」と、大学や大型商業施設に近く、高級デザイナーショップが集まるファッショナブルな地域。 続いて6位「港区高輪」、7位「新宿区新宿」、8位「港区芝浦」等、東京都内が上位を占めた。 市区郡別にみると、東京都以外では57位に神奈川県の「三浦郡葉山町」が入った。葉山町は別荘地として知られ、マリンスポーツやゴルフ等も楽しめる。 70位は大阪府「大阪市西区南堀江」。ショップが並び、オフィス街に隣接している。95位の福岡県「糟屋郡志免町」は、福岡空港に近く、福岡市に隣接するベッドタウンとして人口が増えている。周辺にショッピングセンターや球技場、公園があり、余暇を過ごしやすい環境が整っている。 全体を通して「社長の住む街」は、都心から距離のある閑静な高級住宅地の人気も高いが、「職住近接」を重視した都心部の人気も上昇してきている。 また、新型コロナウイルスの感染拡大にともない、在宅勤務が定着しつつある中で、郊外や地方に居住しながら都心の企業に勤めるスタイルも現れ始めた。ビジネスの現場で指揮を執ることが求められる社長は「職住近接」の傾向が根強い。だが、今後はワークライフバランスを前面に打ち出した生き方が、社長の住む街にも反映してくるかもしれない。
