外科医の手術経験数、男女に格差…岐阜大学

 岐阜大学は2022年7月27日(現地時間)米国の学術誌「JAMA surgery」にて、日本の女性外科医は男性外科医より執刀数が少なく、手術経験数に男女格差があることを発表した。

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 岐阜大学は2022年7月27日(現地時間)米国の学術誌「JAMA surgery」にて、日本の女性外科医は男性外科医より執刀数が少なく、手術経験数に男女格差があることを発表した。

 厚生労働省によると、外科医に占める女性の割合は増加傾向にあるが、年齢層別にみると女性外科医数は、30~34歳がもっとも多く、指導的立場にある女性は極端に少ないのが特徴だ。日本消化器外科学会認定施設の代表は、男性966名に対し、女性はわずか7名(0.7%)に過ぎず、女性が組織をマネージメントする立場に就くことは容易ではない。

 外科医の手術執刀担当の割り振りは、各施設の外科のトップが決めていることがほとんどであり、これまで海外の研究によって、研修期間中の手術トレーニングに男女格差が存在することが判明している。しかし、すべての経験年数別に比較された調査は見当たらない。

 そこで、岐阜大学の吉田和弘学長と、大阪医科薬科大学の河野恵美子助教、東京大学の野村幸世准教授らの研究グループは、手術経験はキャリアに大きな影響を与えると考え、全年代での手術経験を調査した。

 調査は、日本の外科手術の95%以上が登録されているNational Clinical Databaseのデータを用い、女性外科医が執刀した手術の数や手術難易度を経験年数別に明らかにし、男性医師と対比させた。

 その結果、比較したすべての術式において、女性外科医は男性外科医よりも執刀数が少ないことが判明。また、格差は手術難易度が高いほど顕著であり、経験年数の増大とともに拡大する傾向にあることが明らかになった。

 組織をマネージメントする立場に就くためには、手術経験を積むことが不可欠である。そのため、女性も一定以上の手術技法を獲得し、指導的立場で日本の外科診療を担っていくことが本来のあるべき姿なのではないだろうか。研究者らは「本研究結果が外科におけるジェンダー平等と女性のエンパワーメントの実現につながることを期待しています」とコメントした。

 研究の成果は2022年7月27日(現地時間)、米国の学術誌「JAMA surgery」にオンライン掲載された。

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