4歳以下のコロナワクチン接種「推奨」日本小児科学会

 生後6か月から4歳の乳幼児に対する新型コロナワクチン接種について、日本小児科学会は2022年11月2日、「接種を推奨する」との考えを示した。メリットがデメリットを上回ると判断し、基礎疾患のある小児に限らず、健康な小児にもワクチン接種を推奨するとしている。

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生後6か月以上5歳未満の小児への新型コロナワクチン接種に対する考え方
  • 生後6か月以上5歳未満の小児への新型コロナワクチン接種に対する考え方
  • 小児におけるインフルエンザと新型コロナウイルス感染症の同時流行に備えて~お子様の保護者の皆様へ~

 生後6か月から4歳の乳幼児に対する新型コロナワクチン接種について、日本小児科学会は2022年11月2日、「接種を推奨する」との考えを示した。メリット(発症予防)がデメリット(副反応等)を上回ると判断し、基礎疾患のある小児に限らず、健康な小児にもワクチン接種を推奨するとしている。

 2022年7月から始まった第7波では感染者数の急増にともない、小児の患者数が増え、重症化する小児患者も増加。日本小児科学会では、8月10日に「5~17歳のすべての小児に新型コロナワクチン接種を推奨する」という方針を提示している。

 生後6か月以上5歳未満の小児への新型コロナワクチン接種についても今回、これまでの5~17歳の小児におけるワクチンの有益性を考慮したうえで、メリットがデメリットを上回ると判断。11月2日、生後6か月以上5歳未満の小児への新型コロナワクチン接種を「推奨する」という考えと知見を示した。

 ワクチン接種の考え方については、小児を新型コロナウイルスから守るため、周囲の成人への接種が重要とし、周囲の成人が適切な回数(3回目または4回目)受けることを推奨。重症化リスクが高い基礎疾患のある小児に対しては、重症化予防効果の観点から、年齢にかかわらず接種を推奨している。

 生後6か月以上5歳未満の健康な小児への新型コロナワクチン接種についても「推奨する」と明記し、メリットとデメリットを養育者が十分理解することが重要と記している。ワクチンは3回接種が必要。1~2回目は3~8週、2~3回目は最低8週間あけて接種するスケジュールとなる。

 日本小児科学会によると、小児への感染は周囲の成人からの伝播が多くを占めていたが、オミクロン株流行後、小児同士で感染する機会が増加。オミクロン株流行前は1割程度だった感染源不明の小児症例が、オミクロン株流行後は2割以上まで増えており、2022年6月以降の2か月では約3割を占めていたという。

 2022年の冬は、インフルエンザと新型コロナウイルス感染症の同時流行も危惧されており、日本小児科学会は11月2日、保護者や医療機関に向け、同時流行に備えるよう注意喚起した。

 保護者に対しては、インフルエンザと新型コロナウイス感染症は異なるウイルスによる病気(感染症)だが、症状はとてもよく似ており、症状だけで区別するのは難しいと説明。熱を出した子供が発熱外来のある小児科や小児救急外来に殺到し、通常の小児科診療が行えなくなる事態を防ぐため、インフルエンザと新型コロナウイルス感染症の予防が重要であり、ワクチン接種がもっとも有効だとしている。

 また、インフルワクチンは流行が始まるまでに接種を完了させておく必要があり、例年の流行は12月以降だが、今シーズの南半球の流行状況から流行が早まる可能性があるとし、早めの接種を勧めている。インフルエンザワクチンと新型コロナウイルスワクチンは同時接種も可能で、接種間隔の制限がないことから、積極的にワクチン接種を受けることを検討してほしいとしている。


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