東京都足立区、返済不要の給付型奨学金を新設…上限826万円

 東京都足立区は2022年11月22日、返済不要の給付型奨学金を新設すると発表した。約826万円を上限に入学金・授業料・施設整備費の全額を年間40人に給付する。現行の貸付型は撤廃し、今後はすべて給付型にするという足立区育英資金条例の改正案を区議会定例会へ提出する。

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貸付型を撤廃し、給付型奨学金を新設
  • 貸付型を撤廃し、給付型奨学金を新設
  • 返済支援助成制度の拡充と相談体制の強化

 東京都足立区は2022年11月22日、返済不要の給付型奨学金を新設すると発表した。約826万円を上限に入学金・授業料・施設整備費の全額を年間40人に給付する。現行の貸付型は撤廃し、今後はすべて給付型にするという足立区育英資金条例の改正案を12月の区議会定例会へ提出する。

 足立区の現行の貸付型奨学金制度では、「卒業後15年間で返済」「連帯保証人2名必要」等の条件があり、利用者から「返済が不安・大変」「国の奨学金のほうが使いやすい」という声があったという。

 新設する給付型奨学金では、入学金・授業料・施設整備費を全額給付する。上限額は、国が公表している私立大学等の平均額の1.5倍にあたる約826万円。私立理系へ進学した場合にかかる4年間の費用をシミュレーションした入学金(25万1,029円)、授業料(454万4,296円)、施設整備費(71万6,636円)の合計額(551万1,961円)の1.5倍を上限額に設定している。

 2023年度予算では、給付対象者として40人程度を計上予定。足立区によると、入学金・授業料・施設整備費を年間40人規模で全額給付するのは、全国の自治体で初めてだという。

 応募資格は「大学等に在学または入学予定」「成績4.0以上(5段階評価)」「年収800万円以下(4人世帯の目安)」「生計維持者が直近3年以上区内在住」等。2023年1月4日から2月28日に第1期、3月1日から4月14日に第2期の募集を行い、各期20人に給付予定としている。

 財源については、特別区競馬組合からの分配金等をあてる想定。足立区では、現行の育英資金制度でも分配金を投入している。

 給付型奨学金の新設にともない、貸付型奨学金は現在の利用者で終了。足立区育英資金条例の改正案を12月の第4回区議会定例会へ提出する。

 この他、対象となる奨学金の借入総額の半額(上限100万円)を助成する足立区奨学金返済支援助成制度を拡充。国の給付型奨学金利用者についても、返済支援助成の対象に追加する。奨学金制度に特化したWebサイトを開設する等、教育資金相談体制も強化していく。


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《奥山直美》

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