【大学受験2023】受験生サポート歴10年以上の代ゼミスタッフに聞く、共通テスト直前直後にすべき行動&NG行動

 「講師の代ゼミ」と評され、講師の質に定評がある大学受験予備校の代々木ゼミナールで、スタッフとして毎年受験生たちをサポートしてきた教務管理本部 進学指導部 部長 山上佳那子氏に、共通テストの直前期・直後にすべきことについて話を聞いた。

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共通テスト直前直後にすべき行動&NG行動
  • 共通テスト直前直後にすべき行動&NG行動
  • 代々木ゼミナール 教務管理本部 進学指導本部 部長 山上佳那子氏

 2023年度の大学入学共通テスト(以下、共通テスト)の直前期に入った今、いよいよ突入する受験シーズンに、緊張と不安が入り混じるご家庭が多いかもしれない。前回の共通テストでは平均点の大幅ダウン等の波乱があったが、予測しがたい状況でも落ち着いて成果を出すために、保護者や受験生本人が意識すべきこととはどのようなものだろうか。また、意外と忘れがちな共通テスト受験直後の動きについても、今一度確認しておきたい。

 編集部では、「講師の代ゼミ」として、講師やスタッフの質、サポートの充実に定評がある大学受験予備校の代々木ゼミナール(以下、代ゼミ)を訪ねた。取材に応じてくれたのは、10年以上スタッフとして毎年受験生たちのサポートをしてきた教務管理本部・進学指導部部長の山上佳那子氏。受験生本人、そしてもっとも身近な保護者が、共通テストの直前直後にすべきことと心構えについて聞いた。

取材に応じてくれた代々木ゼミナール 教務管理本部・進学指導部の山上佳那子氏

直前期の受験生の悩み、大半はメンタル面

--共通テスト直前期に入り、どのようにわが子をサポートするべきか悩む保護者の方も多いと思います。この時期に受験生から受ける相談や悩みで、多いものを教えてください。

 直前期に入ると、勉強の方針というよりも、やはりメンタル面での相談が増えますね。集中できなかったり、「上手くいかないんじゃないか」とネガティブになってしまうという相談がほとんどです。近年は、SNSで全国のライバルの状況や、過去の先輩の体験談をいくらでも見ることができてしまいます。試験1、2か月前なら 「自分もマネしてみよう」とポジティブに解釈できたり、「気にしないようにしよう」と受け流せたりしたことも、直前期に差し掛かると「あの人に対して自分は全然できていない」「もっと勉強すれば良かった」と不安に感じてしまうものです。

 また、予備校に通って受験に挑む受験生のほとんどは一般選抜を目指していますが、ここ数年は総合型選抜や学校推薦型選抜等の特別選抜で進学先を決める子の割合がぐっと増えています。特別選抜に失敗して一般選抜にチャレンジする子をはじめ、学校のクラスにすでに進路が決まっている子がいると「あの子はもう合格して遊んでいるのに」と悔しい思いを募らせて、気が散ることもあるようです。

--つい他人と比較してしまうのですね。「コロナ禍の受験生活」ということに関しての相談はありますか。

 今の現役生は、高校生活3年間を丸々新型コロナウイルスの流行下で過ごした子たちです。実際に本人が罹患したり、濃厚接触者になったりして勉強を中断せざるを得なかった子もいますし、コロナ禍での暮らしが日常になっているので、取り立ててパニックに陥ることは少ない印象です。

 ただ、修学旅行等の学校行事や課外活動、部活動の自粛を余儀なくされ、自分たちの努力ではどうしようもない現実を感じ続けてきた世代なので、どことなく無力感や諦めのようなものを感じている子が多いように感じます。とはいえ、全国の受験生も同じ状況ではあるので、割り切って、行きたい大学を目指して頑張ってほしいですね。「大学に行ったら楽しいことがあるよ」と励ましています。

 一方、入試直前期の感染症予防という点では、不安なご家庭がほとんどだと思います。インフルエンザ等を含め、ウイルスを家に持ち込まないことが大切ですので、直前期は人混みの多い場所への外出を控える等、本人だけでなく家族全員で充分に気を付けていただきたいですね。

自宅で受講可能、代ゼミ「高3生向け冬期直前講習会」

--勉強法からメンタル維持まで、生徒の悩みを網羅的にサポートされているのですね。

 代ゼミでは、生徒1人ずつに担任スタッフが付き、入試直前までサポートします。入試問題の解き方や解釈等に関しては講師や教科の専門スタッフに質問してもらいまますが、学習のスケジュールや出願校に関する相談は担任スタッフが受けます。また、定期的にホームルームも実施しています。長く受験生に接している担任スタッフも多いですし、何より代ゼミとして蓄積してきたデータが豊富にあるので、生徒の学力に応じた受験校を提案したり、性格や特性に合わせて学習法を勧めたり、その子に合わせてアドバイスをしています。

直前期には「安心感を得られる」勉強と環境づくりを

--共通テストまで1週間を切りました。今、受験生がすべきこと・してはいけないことを教えてください。

 まず、勉強面に関して。もう「今から新しく何かを始める」という時期ではありません。わざわざ新しい問題に挑戦して、できないと不安を増やすよりも、「これだけやってきたから大丈夫」という安心感や自信を得られるような勉強を重ねてほしいです。具体的には、暗記ノートを見直したり、過去に解いた問題集の解き直しがお勧めです。新しく手を付けるなら共通テストを模した形式・難易度の予想問題がお勧めですね。難問ではなく、志望校合格に必要なレベルの難易度の問題を確実に解いておくことです。

--この時期は「繰り返し」「見直し」にこそ意味があるんですね。

 受験生は新しい問題に取り組んで達成感を得たくなりがちですが、直前期はぐっと堪えて、何度も同じ問題集をやり直して、地盤を固めることで、本番でも確実に得点できるようになるでしょう。ネットやSNSで、「3日で完成」等と謳う勉強法をよく見かけますが、飛び道具的な成績アップの方法は求めず、これまでの総まとめに徹することを重視してほしいです。

--健康管理やメンタル維持に関してはいかがでしょう。

 受験生と保護者、いずれも念頭に置いてもらいたいのは、試験当日に向けて、受験生にとって心身ともに最大限のパフォーマンスが発揮できる状態を作るということです。特に、国公立大学志望の場合、共通テストでは2日間を通して集中力を維持する必要があるので、その分大変です。たとえばお腹が弱い子は1週間前からいつもと違う食べ物を控えたり、風邪をひきやすい子は外出を控えてウイルスをもらわないようにしたり、いちばん身近でみてきた保護者の方だからこそわかる、お子さんの体質に合ったフォローをしてあげてください

 メンタル面に関しても、たとえば真面目なお子さんほど直前に詰め込みたくなってしまいますので、あえて保護者の方が「もう寝たほうが良いよ」とリラックスできる声かけをしてあげてほしいですね。

--冒頭お話しいただいた、SNSとの付き合い方について。気をつけるべきことはありますか。

 直前期に限らず、ここ数年で受験生のSNSの使い方は大きく変わりました。ほんの5年ほど前は、ここまでSNSは浸透していませんでしたね。SNSを活用して、自分にとってのロールモデルを見つけられる人もいますが、学習環境も、科目の得意不得意も、境遇も1人1人異なることを前提に考える必要があります。「その人の人生はその人のものでしかない」ということです。SNS上にあふれている体験談は、あくまでもその人個人に限定されたもので、あなたにとって正しいものとは限りません。一例として参考にするのは良いですが「信者」になって他の意見を聞き入れられなくなるのは避けたいですね。

 SNSは便利な面もありますが、いわゆる「時間が溶けてしまう」コンテンツも多くあります。SNSが気になって、勉強時間が圧迫されてしまう子も珍しくありません。生徒たちには、使用する時間やアプリを決めることをお勧めしています。なかには、受験が終わるまで、予備校や学校に行く際に自宅にスマホを置いてくるようにした子や、通話の契約だけに変更した子もいました。

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共通テスト後も試験は続く…事務手続きは保護者がサポートを

--共通テストの受験後に、保護者が注意すべきポイントを教えてください。

 共通テスト受験翌日には自己採点を高校や予備校に提出し、その週末には判定結果が返却され、国公立志望の場合はそこで最終的な出願校を決めます。それと並行して、私立の一般選抜も始まります。この時期の受験生は疲労も重なり、考えることも多いので非常に大変な時期です。予備校でも「出願等の事務手続きは手間がかかるから事前に用意しておくように」と伝えていますが、いくら準備をしていても余裕がなくて対応しきれなくなる子も多いです。その後に控える入試に備えなくてはならない受験生にとって、出願手続きのすべての責任を負うのは負担が大きすぎます。保護者の方が積極的にサポートに入るのがお勧めですね。

保護者がサポートしてあげてほしいポイント

・出願方法の再確認(Web出願か、紙の願書提出か)
・必要書類の準備(Web出願でも追加で書類を郵送で提出する場合が多い)
・大学ごとの受験料の振込締切日の確認

--自己採点後、判定結果が出るまでに気を付けることはありますか。

 2022年度の共通テストは、数学をはじめ多くの教科が難化しました。自己採点で「取り返しがつかない」「2次試験も無理だ」と絶望を感じた子が多かったです。特に、理系の生徒でショックを受けた子が多く、2、3日の間予備校に来られなかった子もいたほどでした。

 予備校には大勢の受験生のデータが集まってくるので、分析を担当する講師やスタッフ陣は、判定結果や中間発表のニュースが出る前から、おおよその状況を把握できます。現に2022年度の共通テストに関しては、代ゼミでも全国的に平均点が低いことが予測できたので、落ち込んでいる受験生に対し「得点できていないのはみんな同じ、2次試験に向けて気持ちを切り替えれば大丈夫」という話をしていました。

 共通テストは難易度と平均点によって全体における自分の立ち位置が変わってくるので、自己採点だけで決めてしまわず、高校や予備校の先生の見解を聞きながら気持ちを切り替え、冷静に先のことを考えることが必要です。

1点の差で未来の可能性が広がるのが共通テスト

--出願校を決める際のポイントはありますか。

 特に医学部等の難関国公立大学志望者は、出願期間中に大学から発表される志願倍率によって自身の出願校を決めたがる子が多くいます。ところが「出願締切日直前のギリギリまで倍率をみて検討したい」という同じ考えの受験生は全国にたくさんいるので、結局のところ、締切日直前の志願倍率が低い大学に出願が殺到する傾向があります。

 そうこうして出願を踏みとどまっている間に、2次試験対策に着手するのが遅くなってしまうのです。0.1倍の倍率の違いやライバルの出願動向を事細かに気にするよりも、志望大学の2次試験の傾向と、自分の得意不得意を照らし合わせ、潔く出願校を決めて、2次試験対策に取りかかる方がよほど価値があります。自分が行きたいと思える大学を目指して、最後まで頑張り続けられるかというモチベーションにも関わるので、少しでも早く一歩先に進む方が良いと思います。

--最後に、2023年の共通テストに臨む受験生に、エールをお願いいたします。

 共通テストは他の資格試験や検定試験と異なり、その点数そのものが合格・不合格を決める試験ではありません。最後の1秒まで問題にかじりつき、1点でも多く得点することで、より多くの大学に合格できるチャンスが広がるのが共通テストです。特に、レベルの高い大学にチャレンジする場合は、1点の差が後々響いてくることもあります。私立大学の共通テスト利用方式でも、得点によって合格できる大学の幅が広がるので、上手くいかなかった科目があってもヤケにならず、最後まで取り組んでほしいです。

1点でも多く得点することで、より多くの大学に合格できるチャンスが広がるのが共通テスト

 模試や予想問題で思うように得点できなくても、共通テストの本番で自己最高得点を更新できたという子も珍しくありません。その子たちの共通点は、受験勉強中も試験本番も、決してあきらめなかったということ。頑張ってきた自分を信じ、科目ごとに気持ちを切り替えて、最後まで頑張ってきてほしいですね。

自宅で受講できる直前講習でラストスパートを

--代ゼミでは、共通テストの直前・直後にさまざまな対策講座を出されていますね。

 「冬期直前講習会」の中で開講する2次試験や私大対策の講座は、志望校の対策を立てられる有意義な機会です。共通テスト終了後の申込みも可能ですし、1講座単位で受講できるので、ぜひ活用してほしいですね。多くの講座が自宅のスマホやパソコン、タブレットで申し込みから授業まで完結できるので、効率良く受講できます。

 また、高1・2生には、実際の共通テストの問題を自宅解く「共通テストチャレンジ」を実施します。さらに本部校では「親子ではじめる現役合格作戦」というイベントを定期開催しており、共通テスト2週間後の日曜日には、2023年の共通テスト全体の傾向と、今から取り組むべき対策を代ゼミスタッフや英語・国語・数学の講師が解説する「親子ではじめる現役合格作戦~共通テスト対策編~」を開催します。こちらも全国どこでもオンライン受講が可能で、親子で空き時間に視聴することができます。次年度以降の受験に向けてこれから勉強を本格化する人、さらに勢いをつけていきたい人の両方に活用してもらえる内容だと思います。

--ありがとうございました。


 SNSをはじめ、情報収集を受験生自身ができるようになっている昨今、他人の状況が気になってしまうことは安易に想像できる。山上氏の話から、家庭では健康管理やメンタル維持、SNSとの付き合い方まで、トータルで受験生をサポートする大切さが感じ取れた。揺れ動きやすい受験生の心を支えながら、3回目となる共通テストを家族でベストな形で乗り越えてほしい。

高1・2生向け「共通テストチャレンジ」
親子ではじめる現役合格作戦(共通テスト対策編)
《土取真以子》

土取真以子

関西在住の編集・ライター。教育、子育て、ライフスタイル、お出かけのジャンルを中心に、インタビュー記事やイベントレポートなどの執筆を手がける。教育への関心が強く、自身の出産後に保育士資格を取得。趣味が旅行とハイキングで、目標は親子で四国お遍路&スペイン巡礼。

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