【大学入学共通テスト】国語は「決断力」数学は「柔軟性」が点数に影響…IGS分析

 IGSは2023年3月16日、共通テストの「国語」「数学」の点数には、学力以外の資質・能力が影響しているとする分析結果を公表した。特に国語は高校1年生・2年生時点の「決断力」の高さ、数学IAは高校3年生時点の「柔軟性」の高さが、高得点に影響していたという。

教育・受験 高校生
共通テストの国語・数学の点数に、高校生の「学力以外の資質・能力」が影響
  • 共通テストの国語・数学の点数に、高校生の「学力以外の資質・能力」が影響
  • 「Ai GROW」受検画面
  • 生徒の能力成長がスコアとグラフで直感的にわかる「Ai GROW」先生向け画面

 Institution for a Global Society(IGS)は2023年3月16日、大学入学共通テスト(以下、共通テスト)の「国語」「数学」の点数には、学力以外の資質・能力が影響しているとする分析結果を公表した。特に国語は高校1年生・2年生時点の「決断力」の高さ、数学IAは高校3年生時点の「柔軟性」の高さが、高得点に影響していたという。

 IGSでは、従来の学力育成と探究型学習の双方に力を入れる、東京都内の私立高校3年生33人を対象に分析を実施した。学力以外の資質・能力のデータは、生徒の強みを可視化する評価ツール「Ai GROW」で3年間定期的に測定。生徒が資質・能力を相互評価し、評価の甘辛や忖度等の不要な偏りをAIが補正したスコアを使用した。

 共通テストの成績予測の可能性を探るため、高校3年間の「学力以外の資質・能力」と共通テストの点数の相関分析を実施。従属変数を共通テストの点数、説明変数を「学力以外の資質・能力」15項目で検討した。説明変数は、データ数から適切な数の上限を判断し、相関係数の絶対値が上位のものを使用。総当たり法で重回帰分析を実施し、自由度調整済決定係数が最大となる組合せを検証した。

 その結果、国語は共通テストを受ける約3年前(高校1年生時点)に「決断力」が高い生徒、約2年前(高校2年生時点)に「決断力」が高い生徒において、高得点だったことがわかった。重回帰分析によると国語の点数は、高校1年生時点で測定した「決断力」「表現力」の他者評価スコアで決定係数(予測精度)が0.388、高校2年生時点で測定した「自己効力」「決断力」の決定係数が0.371だった。決定係数から、国語の点数の約39%、約37%が、これらの資質・能力で説明できることがわかり、国語の高得点には「決断力」の影響が大きいと結論づけている。

 一方、数学IAでは、共通テストを受ける約1年前(高校3年生1学期時点)に「柔軟性」が高い生徒が高得点だったことがわかった。重回帰分析によると数学の点数は、高校3年生1学期時点で測定した資質・能力「柔軟性」「地球市民」の他者評価スコアで決定係数が0.618と比較的高い数値となった。数学の点数の約62%が、これらの資質・能力で説明でき、予測精度が比較的高い結果といえるという。

 2022年に別の都内私立中高一貫校でも同様の分析を行ったところ、「柔軟性」がもっとも数学IAの高得点への影響が大きいことがわかり、数学IAでは「柔軟性」が求められていることがわかったという。

 なお、「Ai GROW」では、決断力を「自分の考えと客観的な事実とを照らし合わせながら判断し、物事を決めることのできる能力」、柔軟性を「変化への対応力とともに、その場その場で機転を利かせて行動を適宜修正できる能力」と定義し、測定している。

 IGSでは、国語は文章や文章中の言葉を読み解き、適切に解釈することが求められるため、どのような意味をもつ言葉を選び、どのような解釈をするかには明確な決断力が必要となる等、国語と決断力には密接な関係があると考察。数学は、単なる計算問題を解くだけではなく、さまざまな問題に対して適切なアプローチを取る柔軟性が求められ、数学と柔軟性は密接な関係があると考察している。

 Ai GROWは、IGSが2019年4月にリリース。2023年2月末現在、国内外の小学校・中学校・高等学校250校以上、40都道府県に導入している。

《奥山直美》

【注目の記事】

特集

編集部おすすめの記事

特集

page top