6割が医学部入学後にギャップ感じた…医学生調査

 川野小児医学奨学財団は2023年5月18日、「医学生の志望理由・学生生活・進路に関する意識調査」の結果を公表した。医学部に入りたいと思った時期は「高校生」(47.6%)と医学生の半数近くが回答。また、6割が医学部入学前とのイメージのギャップを感じていた。

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医学部に入りたいと思ったのはいつごろか
  • 医学部に入りたいと思ったのはいつごろか
  • 現在、奨学金制度を利用しているか
  • 医学部に入りたいと思ったのはいつごろか
  • なぜ医学部に入りたいと思ったのか
  • 医学部入学後のギャップの中身
  • 大学生活での心配ごとや悩みごとの内容
  • 現在、興味のある診療科
  • なぜ小児科に興味があるのか(小児科の回答者)

 川野小児医学奨学財団は2023年5月18日、「医学生の志望理由・学生生活・進路に関する意識調査」の結果を公表した。医学部に入りたいと思った時期は「高校生」(47.6%)と医学生の半数近くが回答。また、6割が医学部入学前とのイメージのギャップを感じていた。

 調査は、小児医学研究者への研究助成や小児医学を志す医学生への奨学金給付を行う川野小児医学奨学財団が、医学生の意識や学生生活の実態について調査・分析することを目的として実施。全国の大学医学部医学科に通う医学生を対象に、インターネットを利用して2023年3月1日~3月2日に行われた。回答数は166人(男性47人、女性119人)。

 現在、「奨学金を利用(貸与型/給付型/貸与型と給付型を併用)」している医学生は37.3%。そのうち、「貸与型の奨学金を利用」(19.3%)がもっとも多かった。医学部に入りたいと思ったのは、「高校生のとき」が約半数(47.6%)ともっとも多く、ついで「小学生のとき」(33.1%)が約3人に1人の割合となり、2割弱(17.5%)の「中学生のとき」と大きく差がついた。

 なぜ医学部に入りたいと思ったか(複数回答)については、「医師になって世の中の役に立ちたいと思ったから」(48.2%)、「医師になって患者さんの病気を治したいと思ったから」(44.0%)の回答が多く、ついで「医師になれば高い収入が得られると思ったから」(34.9%)、「自分や家族が病気になったとき、医師にお世話になったから」(20.5%)等となった。

 また、医学部に入る前と後でギャップが「あった」と回答した医学生が62.0%と、6割以上がイメージとの違いがあったと感じていることがわかった。ギャップの中身についてもっとも多かったのは「授業や試験が多い」(50.5%)、3位「授業や試験が難しい」(41.7%)となり、勉強面の負担が大きいと感じていることがうかがえる結果となった。また、2位は「医学部以外の学生との交流が少ない」(42.7%)となった。

 大学生活で心配ごと、悩みごとが「ある」(52.4%)が「ない」(47.6%)を4.8ポイント上回り、半数以上の医学生が悩みをもっていることがわかった。具体的な悩みについては、「どの診療科を目指すのがいいか決められない」(44.8%)、「授業が難しい」(43.7%)がともに多い結果となった。また、「本当に医師を目指すべきか悩むときがある」という悩みも24.1%と約4人に1人の割合となった。

 さらに、現在興味のある診療科は「内科」(43.4%)がもっとも多く、ついで「外科」(25.3%)、「小児科」(22.9%)という結果となった。小児科に興味をもった理由は、「子供が好きだから」(65.8%)がもっとも多く、ついで「自分や家族が病気になったとき、小児科の先生にお世話になったから」(26.3%)と、自らの体験から小児科医に興味をもったという回答も多かった。さらに、「映画やドラマ、本などを通じて興味をもったから」「小児科医が不足しているから」(23.7%)と続き、メディアや社会課題の影響もみられた。 

 その他、日本の小児医療の課題について、「小児科医が少ない」や「少子化によって、患者数が減少しているため将来性がない分野であるというイメージが強い」等の少子化による影響を指摘する意見が目立った。また、「指定難病と呼ばれるものの多くは先天的なもので小児に多い」と疾患の特徴・治療に関することもあげられた。

《田中志実》

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