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【大学受験】「下剋上」が起こる総合型選抜…偏差値40台から大逆転のカギは高校選び

 毎年、全国300塾の関係者を取材し、入試に関する「独自データ」を集め続けている西田浩史氏は、「大学入試の『軸』が変わった」と語る。総合型選抜は偏差値40台でも合格可能であり、従来の入試軸が変わって大逆転のチャンスとなっている。

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  • 合格までの流れイメージ(『総合型選抜は何を評価するのか いますぐ知っておきたい新しい大学入試のリアル』より)

 学校推薦型選抜・総合型選抜による大学への入学者が、大学入学者全体の半数を超え、注目度が年々高まっている。わが子はどんな大学・学部の入試に向いていて、いつ何を準備するべきなのか?

 追手門学院大学客員教授、教育ジャーナリストとして現在、大学入試に関する記事を大手メディア中心に執筆しつつ、毎年、全国300塾の関係者を取材し、入試に関する「独自データ」を集め続けている西田浩史氏は、「大学入試の『軸』が変わった」と語る。

 本記事では、偏差値40台から中央大学法学部に合格、「一般選抜だったら、絶対に受からなかった。総合型選抜だから合格できた」という生徒・絢斗くんの事例を、西田氏の著書『総合型選抜は何を評価するのか ~いますぐ知っておきたい新しい大学入試のリアル』から紹介する。(本記事は、西田浩史の著書『総合型選抜は何を評価するのか いますぐ知っておきたい新しい大学入試のリアル』(かんき出版)の一部を抜粋・改編し掲載している)

「下剋上」が起こる総合型選抜

 私は2024年1月から8月まで、ある調査を行いました。全国300塾の関係者に、総合型選抜において、高校の偏差値30~40程度の進路多様校からのGMARCH(学習院大学、明治大学、青山学院大学、立教大学、中央大学、法政大学)など難関私立大学への合格は可能か? という調査です。

 結果は、90%が「ありえる」と回答。つまり塾関係者は、対策次第で「下剋上」、つまり大逆転合格は起きると考えているのです。絢斗くんの「大逆転劇」は決してめずらしいわけではなく、総合型選抜では大いにあり得る事例なのです。担任の先生は、絢斗くんのとことん興味あることを追究する性格、専門的な知識をもっていることなどから、志望理由書や面接などで選抜する総合型選抜ならいける(合格)と感じていました。この強みを総合型選抜で活かせると見抜いた担任の先生がいたことは、絢斗くんにとって幸運でした。

 さらに、担任の先生は上智大学法学部法律学科卒。学校教員になる前は、弁護士をめざし、5浪していたようです。担任の先生に法律の知識があったことが、志望理由書添削や面接の練習でプラスになりました。志望理由書、面接には正解はありません。答えがないため何度も練習したりアドバイスをもらったりする機会が必要です。ですから総合型選抜は、周りに助けてくれる大人が多いほど合格率が上がると言われています。

 担任の先生は、絢斗くんが毎日書いた法律学に関する日記の内容を褒めていました。それがうれしくて、やり続ける原動力になっていたと絢斗くんは力説しています。気づいたら、高校2年生の段階で、法律を分析したノートが200冊にもなっていました。

 「このノートのおかげで中央大学に合格できた」と絢斗くんは言います。

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 絢斗くんが作った活動報告書はこのノートが“元ネタ”でした。法律を独学で学んだ過程、試行錯誤、そして、法律の諸問題を自分なりに分析してノートにまとめていました。活動報告には、このノートを作る過程を記したそうです。もちろん、面接の際に、無断でノートを持ち込むことは本来なら禁止です。ですから、事前に入試担当者に許可をもらって持ち込みをしたそうです。

 中央大学法学部を志願するまでに努力した経緯をストーリーとして語れたこと、そして、法律学の基礎知識があったこと、これが合格できた大きな要因でした。さらに副産物として、苦手意識が高かった文章や漢字、語彙力などが飛躍的に身についたことを話したことも評価されました。「高校2年生の段階で漢字(日本漢字能力)検定準1級、文章読解・作成能力検定準2級に合格していたのは想定外だった」と教授に話をしたら、熱心に話を聞いてくれました。そして、通っていた学校が進学校でなかったこと、その学校での孤独な対策が逆にメリットだったとも話します。どういうことなのでしょうか? 

 大学進学者が少ない「進路多様校」は、志望理由書などの添削の際、担任の先生を「独り占め」しやすいのです。進学校の先生は、入試時期は超多忙です。一人ひとりとていねいに接することが難しくなる場合が多くなります。ですから「独り占め」できた環境はまれだったと言えるでしょう。

 中央大学法学部の総合型選抜は「チャレンジ入学試験」という名称がついています。書類選考(一次選考)、講義理解力試験と面接試験(二次選考)で選抜される入試制度です。一般選抜(一般入試)のように英語、国語といった学力試験はありません。高校時代に打ち込んできたことの意欲、自分が好きでやってきた努力が評価される入試です。もちろん、大学で学びたい意欲があるだけではダメです。中央大学法学部の場合、二次試験に「講義理解力試験」があります。教授が話す難解な法律学の内容を聞いて、自分なりに簡単に噛み砕いて、それをまとめる高度な能力などが問われます。

 志望理由書や面接では、自分の興味を深掘りして、学問的意義に結びつけます。それが研究可能な教授が大学に所属されているのかも、面接で立証する必要があります。これだけ聞くと、すごく難しい試験のように思えてきます。もちろん簡単ではありません。しかし、絢斗くんのような高校生には「最適」な試験なのです。

 現在、総合型選抜は、あらゆる大学で実施されています。うち、過半数の大学は、学力試験なしの書類審査、小論文(志望する学科の専門的な内容)、面接のみで選抜されます。くり返します。このような試験があったことが絢斗くんの合格につながりました。対策次第で、一般選抜で合格不可能だった大学にも複数、合格の可能性があるということなのです。

合格までの流れイメージ(『総合型選抜は何を評価するのか いますぐ知っておきたい新しい大学入試のリアル』より)

「チャレンジ」したもん勝ち

 私が本書で最もお伝えしたいのは、この絢斗くんのような事例からわかること、つまり、「将来性評価型」の総合型選抜では出身高校や現時点の学力は問われない、ということです。もっと言うなら、総合型選抜はチャレンジしたもん勝ちです。もし、大学受験で今までの自分を変えたいなら、とにかく、積極的にチャレンジしてください。

 ただし、「実績評価型」の東京大学や京都大学、一橋大学、早稲田大学、大阪大学、東北大学など最難関大学は、大学入学共通テストや出願時に英検1級などハイレベルな実績が問われます。実績評価型の大学だと逆転合格は難しいと言えるでしょう。これらの試験で合格可能性が高いのは、一般選抜で問われる学力試験が得意な、トップ校の生徒と言えます。

 とはいえ、国公立大学しか進学できないという事情がある高校生もいるでしょう。そんな受験生には以下のような大学がおすすめです。共通テストがなく、書類審査、小論文、面接のみで受験が可能な東北大学、筑波大学、宇都宮大学、島根大学など、実はきちんと探せば見つかります。ですから、高校1年生の早い段階から、自分の特性に合った大学・学部を3つほど探し出すことからスタートしてみましょう。

まだまだある「下剋上」事例

【新潟県の偏差値30台の高校(評定平均 4.8)】

 高校1年から進路担当教員のアドバイスで法学検定や、放送大学の授業を受け、教授にアプローチ。法学部出身の高校の担任や、法律にくわしい父親にアドバイスを受けながら、手探りで興味のあるテーマで論文を作成。中央大学法学部合格

【埼玉県の偏差値30程度の高校(評定平均 4.9)】

 高校1年から地域の団体に参加してお手伝い。担任のすすめで、桜美林大学の「ディスカバ!」イベントに参加。青山学院大学コミュニティ人間科学部、桜美林大学リベラルアーツ学群合格。青山学院大学在籍時に起業。大手の商社から内定ももらいつつもそのまま自分の会社を経営。卒業後に大学院に進学予定

【新潟県の偏差値50台の公立高校(評定平均 4.9)】

 高校1年からコンビニでアルバイト。話すのが好き。特に外国人と関わりたいという気持ちが強かったものの英語が苦手。ゼロから英語を学習→たまたま居合わせた本部社員に口頭で商品の感想や企画など外国人受けする商品を提案。→面白がられ、本部のさまざまな人と関わる。一部企画が採用。→高校2年では、マーケティングや文化の多様性について興味を持って本を自分で買って読む、放送大学の授業やテキストも参考にした。→高校3年では、英語だけGMARCHが合格圏内に達する。→英語をゼロから学習したことなど、この流れをレポート化して、筑波大学AC入試に合格


《編集部》

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