受験のエキスパート西村則康氏に聞く(4)志望校選びのポイント

 「塾ソムリエ」として活躍する西村則康氏に、中学受験の進学塾選び、家庭学習法、志望校選び、夏休みの過ごし方について聞いた。ここでは、学校説明会の効果的な利用法について紹介する。

教育・受験 受験
西村則康氏
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 30年の長きにわたって、中学・高校受験一筋に、生徒の指導や教師の指導を行ってきた「塾ソムリエ」として活躍する西村則康氏に、中学受験の進学塾選び、家庭学習法、志望校選び、夏休みの過ごし方について聞いた。ここでは、学校説明会の効果的な利用法について紹介する。

--説明会はいつから参加すればよいでしょうか?

 学校説明会は、1回行っただけではわかりません。4年、5年、6年と3回は行きましょう。そうすると、学校の雰囲気や熱意がどう変化しているかがわかります。校長先生が頑張っている学校は、やはり伸びてくる。そういうことは説明会の話を聞くうちに見えてきます。

 また、普段はなかなか聞けないような耳寄り情報を聞けることもあります。たとえば、複数回試験がある学校は全部受けると優遇されるとか、この種の問題は来年は出さない、といった情報です。こういう情報は絶対聞いてきてほしいです。

 周囲のお母さんの反応をよく観察することも大切です。素晴らしい説明会だったし、お母さんたちの反応もよかったな、倍率が高くなるだろうな、といったことも感じ取ってほしいのです。

 合同説明会も、可能な限り参加するとよいでしょう。説明会に積極的に来ているお子さんのことは、意外に学校側でも覚えているものです。面接のときに多少なりとも有利に働く可能性はあります。

--併願校の選び方についてアドバイスをお願いします。

 併願校を決めるときに、第一志望と偏差値の似たグループの中から選ぶと失敗します。

 たとえば、第一志望が慶應、第二志望が海城というのは最悪です。試験問題の傾向がまったく違い、海城向けの勉強をしても慶應には役に立たないわけで効率が悪いのです。

 第二志望を選ぶなら、似たような偏差値で、しかも問題の傾向が似ている中から選ぶのが基本です。たとえば麻布が第一志望なら、渋幕、渋渋、海城が出題傾向の似た学校となります。こういった情報は塾が持っていますのでよく聞いてみることです。
 
--日常の様子を知るにはどうすればよいでしょうか?

 校風が、お子さんに合っているかどうかは、説明会ではわかりません。それを知りたい場合は、下校時間をねらって、校門あたりで観察をすることです。何気なく生徒たちの会話を聞いてみたり、電車の中での様子などを見てみると、だいたいわかります。文化祭もよいですが、日常の様子を見るのが一番です。

--塾の説明会も参加すべきでしょうか?

 余談になりますが、塾の説明会について留意してほしいことをお話しします。

 塾の説明会とは塾にとって営業の一環という側面があります。たとえば5月の説明会は、夏期講習の生徒をいかに集めるかが目的です。ですから、塾側は必ず「Dクラスからがんばって麻布に合格できた子」といった例を出してきます。それを聞いて「うちの子もダメかと思っていたけどいけるかも知れない」と思わせるのが目的なのです。

 もちろん、受験の傾向や、学校の情報など、有用な情報もありますから、説明会にはぜひ参加していただきたいのですが、冷静に聞く姿勢を忘れないでほしいのです。

 それから、この場合も周囲のお母さんを観察するとよいでしょう。皆熱心にメモを取りながら聞く姿に驚くはずです。こういう厳しい中に身を置いているんだという自覚とともに、だからこそ冷静な目が必要だという自覚も持ってほしいですね。
 
《石井栄子》

石井栄子

子育てから、健康、食、教育、留学、政治まで幅広いジャンルで執筆・編集活動を行うフリーライター兼編集者。趣味は登山とヒップホップダンス、英語の勉強。「いつか英語がペラペラに!」を夢に、オンライン英会話で細々と勉強を続けている。最近編集を手掛けた本:『10歳からの図解でわかるSDGs「17の目標」と「自分にできること」』(平本督太郎著 メイツ出版)、『10代から知っておきたいメンタルケア しんどい時の自分の守り方』(増田史著 ナツメ社)『13歳からの著作権 正しく使う・作る・発信するための 「権利」とのつきあい方がわかる本』(久保田裕監修 メイツ出版)ほか多数

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