大学生数学基本調査、4人に1人が「平均」の意味わからず

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「大学生数学基本調査」に基づく数学教育への提言
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  • 大学生数学基本調査報告書(概要版)
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 日本数学会は2月21日、昨年、約6,000人の大学生を対象に行った「大学生数学基本調査」における報告書の概要をまとめホームページに公開。あわせて、調査によって明らかになった問題点をふまえ、改善のための提言を公表している。

 同会によれば、1990年代の初頭よりすでに、大学の初年次における数学の学力低下が問題視されていたという。同会では、ワーキンググループを設けて教員を対象としたアンケートを実施するなど調査を進めてきており、ここ数年多くの会員や大学教員から寄せられている「論理的文章を理解する力、論理を組み立て表現する力が学生から失われつつある」との危惧の声を受け、「大学生数学基本調査」を実施するに至ったという。調査は2011年4月1日から7月20日にかけて行われた。

 調査の対象は、調査への協力を得た48大学90クラスの学生5,934名。テスト形式により、(1)文章に含まれる論理を的確に読み取れるか、(2)論理的に正しい記述ができるか、(3)数学の基本である比例と作図を理解しているかの3問を出題している。なお、出題範囲は小・中学校、および高校の「数学I」の範囲に留めた。

 調査結果では、学生が所属する大学・学部を、偏差値により国S・国公A・国公B・私S・私A・私B・私Cの7グループ、および、系統により理工・文学・社会科学・教育・保健衛生・学際・混合の同じく7グループに分類し、それぞれの正答率を算出している。

 問1-1として出題された、平均の定義とそれに関する初歩的な推論を求める問題(小学校6年生の履修範囲)では、全体の正答率が76.0%となり、4人に1人が平均の意味を正しく理解していない結果となったという。特に偏差値による私B・C群では約半数近くが不正解となっている。また、理工系でも約2割が不正解となっており、「平均を計算できる」のに「平均の正しい意味がわからない」という層がかなりいる状況がうかがえるという。

 問題1-2の命題と条件の論理的な読み取りを問う出題では、全体の正答率は64.5%となり、3人に1人が論理的読解に課題ありという結果となった。偏差値群ごとの正答率では、国S以外はすべて75%を下回り、私B・Cでは5割に満たなかった。

 テストでは他に、問2で整数の性質に関する論証および、二次関数の性質を列挙する記述式の問題、問3で平面図形と作図アルゴリズムの表現に関する記述問題が出題されており、報告書でそれぞれの正答率の分析を行っている。

 日本数学会では、調査によって明らかになった問題点をふまえ、中等教育機関に対し「充実した数学教育を通じ論理性を育む。証明問題を解かせる等の方法により、論理の通った文章を書く訓練を行う」こと、および大学に対し「数学の入試問題はできるかぎり記述式にする。1年次2年次の数学教育において、思考整理と論理的記述を学生に体得させる」との提言を発表している。

 また、今回の調査結果の詳細については、3月29日に東京理科大学において開催するシンポジウムにて報告を行うとしている。

◆日本数学協会教育委員会主催教育シンポジウム
「大学生の数学力はいま 第一回 大学生数学基本調査の結果報告」
日時:3月29日(木) 14:30〜17:00
場所:東京理科大学11号館 11-2教室
[プログラム]
14:30〜14:45 開会の挨拶(宮岡洋一 日本数学会理事長・東京大学)
14:45〜15:55 第一回数学基本調査の結果報告
  問題の紹介と出題意図(宇野勝博 大阪教育大学)/結果の統計的分析(尾崎幸謙 統計数理研究所)/結果の分析(新井紀子 国立情報学研究所)
15:55〜16:15 日本数学会からの提言(坪井俊 東京大学)
16:15〜17:00 質疑応答および討論(司会: 竹山美宏 筑波大学)
《田崎 恭子》

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