広尾学園の中高生が東大でアプリ開発に挑戦、夏野剛氏講演も

 広尾学園中学高等学校は3月23日から28日の6日間、同校の中高生を対象としたアプリ開発講座「テックキャンプ」を東京大学本郷キャンパスで実施した。約150名の生徒は、2期に分かれて参加し、3日間に渡りiPhoneやAndroidアプリなどの開発を行った。

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夏野氏の講演
  • 夏野氏の講演
  • iPhoneアプリ開発コース、作業風景
  • iPhoneアプリ開発コース、作業風景
  • Androidアプリ開発コース、Android端末はKDDIが提供
  • Androidアプリ開発コース、ピスチャーのスタッフがアドバイス
  • ゲームデザインコース、作業風景
  • ゲームデザインコース、オリジナルゲーム作成中
  • アニメーション制作コース、作業風景
 広尾学園中学高等学校は3月23日から28日までの6日間、同校の中高生を対象としたアプリ開発講座「テックキャンプ」を東京大学本郷キャンパスで実施した。約150名の生徒は、23日から25日の第1期と、26日から28日の第2期に分かれて参加し、3日間にわたりiPhoneやAndroidアプリなどの開発体験をした。

 テックキャンプは、プログラミング初心者の中高生が3日間でアプリなどの作品を完成させることが目標。指導は、プログラミング講座に実績のあるピスチャーのスタッフが担当し、中高生の指導に当たった。講座は4つのコースに分かれており、iPhoneアプリ開発、Androidアプリ開発、ゲームデザイン、アニメーション制作の中から興味のあるコースを生徒が選択する。

 キャンプの第2期には約100名の生徒が参加し、iPhoneアプリ開発コースに約50名、そのほかの3コースに約15名ずつ分かれた。iPhoneアプリ開発と、Androidアプリ開発コースでは、まず時計アプリとカウンターアプリを作成しながら簡単なプログラミングを覚え、2日目以降は電卓アプリ、クイズアプリ、メディアプレーヤーアプリなど、生徒個人が興味をもつアプリを作っていた。3日間のキャンプで、アプリを3作開発するという充実した内容だ。

 ゲームデザインコースでも、車のレーシングゲームの作成と、タイミングよくスクリーンをタップするゲームの2種類を教材として利用。2種類のゲームでプログラミングを学びながら、3作目にオリジナルデザインやアイディアを取り込んだ作品を作り上げていた。コードを少しでも間違えるとエラーが出るため、参加者は作業に没頭していた。

 アニメーションコースでは、ペンタブレットを活用し、何十枚ものイラストを描く作業に集中する参加者が多かった。その後、描いたイラストをソフトでつなぎ合わせて初めて動画として完成するという。イラストを何枚も書き続ける作業に、肩が凝ると笑顔を見せる生徒もいた。

 最終日の28日午後に行われた発表会では、人気キャラクターの画像を使った電卓アプリや時計アプリ、好みの洋楽バンドの動画が見られるメディアプレーヤーアプリなど、機能だけでなく、個性溢れるデザインが多かった。ゲームコーナーからは、プロサッカーチームに関するクイズアプリなどが紹介された。Android用とiPhone用アプリでは、プログラミング方法が異なるため、発表をしながらお互いが苦労したコードなどを紹介していた。

 アニメーション制作コースの発表では、棒人間がスケートボードに乗る作品や、まばたきをする女子学生、口の動きに合わせて音声を入れた作品などが発表された。スケートボードのアニメーションを作成した男子中学生は、4秒の動画のために70枚のイラストを書いたと説明し、音声を入れた生徒は、アニメーションと音声のリンクが難しかったと話す。同じアニメーションコースで、各生徒のこだわりが見られた発表だった。

 発表会が終了すると、テックキャンプ修了生としての表彰式がチームごとに行われ、写真やメッセージが入ったアルバムがプレゼントされた。iPhoneのアプリ開発コースを体験した中学生男子は、家に帰ってもプログラミングを続けたいという。1つの入力間違いでたくさんのエラーが出てしまうのが大変だと言いながらも、アプリが機能したときの達成感が好きだと話す。

 今回のテックキャンプでは、アプリ開発などの講座のほか、慶應義塾大学特別招聘教授の夏野剛氏の講演や、東大探検宝探し、最先端の研究室の見学など、さまざまなイベントも行われた。夏野氏は、1998年をビジネス革命、情報革命、ソーシャル革命が起こった年だとし、ビジネスの行い方、個人の情報収集力と情報発進力が大きく変わったと説明する。その中で、今求められる能力は、情報を収集し、自分の頭で考え、行動する能力だという。

 インターネットに溢れている間違った情報の見分け方を学生が問うと、匿名の情報は当てにならないと説明。関心のある情報は、誰の情報なのか、根拠を探し裏とりする必要があるという。また、アプリ開発に励む参加者の学生に対し、アプリが作れることは、言語が話せることと同じくらい必要な能力だと説明した。夏野氏の言葉は、プログラミングを学ぶ生徒たちのよいモチベーションとなったに違いない。

 ピスチャーが100人規模のテックキャンプを実施したのは初めてだという。代表取締役の水野雄介氏は、「今回の体験をきっかけとして、参加者には今後もなんらかの形でプログラミングに関わってほしい」と話していた。
《湯浅大資》

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