◆資格は、英語系以外の大半にメリットはない 同じく「就職白書2014」によれば、資格を重視している企業は、13.3%。具体的な資格名は定かでないが、おそらくTOEICやTOEFLといった英語能力関連の資格が重視されていると思われる。 グローバル化が叫ばれる昨今、秀でた英語能力に対する視線は熱い。また、TOEICの高い点数(800~900点)は、それだけ高い目標に向かって根気強く努力できる学生であることも伝わるので、海外展開などを行っていない企業にも響くものがある。 なお、TOEICには、英語能力を正確に測定できていないとする批判もある。高得点者なのに、いざ入社してみると、英作文や対話をまともにできないといった声も多く聴く。だが現状、就職活動における英語能力を測る指標の主流がTOEICであることも、また事実であることは認識しておこう(そうあることの善し悪しは、また別の話である)。 そして、英語能力系以外の資格だが、結論から言ってしまうと、取得したことで採用が有利になるというメリットは、ほぼない。それは前述のパーセンテージからも明らかである。企業は別に資格を求めてはいない。 たとえば、総合職採用であれば、入社後でないと、どこに配属されるのかはわからない。資格を取得していても、それが活きる部署に行けるとは限らないのだ。◆資格取得の背景が評価されることはある 資格に関して付記するならば、「何を持っているのか」ではなく、「なぜ持っているのか」が企業に響くことがある。たとえば、文系の学生がITパスポートなどIT系の資格を持っていると、わざわざ文系なのにIT系の資格を取得したところに、ITに対する強い熱意が感じられる。もちろん、そう見せるために取っても意味はない。そうした「就職活動のために」取った資格に企業が魅力を感じることは、ほぼないと考えておいた方がよい。 大切なのは、その資格取得に「目的意識」があるのかどうか、である。「目的意識」のある取得には、自分で目標を立てて、それを見据えて実直に努力できる素質を感じられるため、企業にも響くだろう。※お詫びと訂正:初出時、「就職白書2014」の発表元の名称に誤りがありました。正しくは「リクルートキャリアの就職みらい研究所」です。お詫びして訂正いたします。<著者紹介>高嶌悠人(キャリアコンサルタント) 慶應義塾大学法学部政治学科卒。株式会社電通を経て、教育系ベンチャー企業の株式会社ガクーに入社。そこでは新卒学生を対象とした就職活動支援スクールの運営に携わってきた。現在は独立し、高校や大学、塾、予備校などでキャリアをテーマとしたセミナーなどを開催したり、メディアにてキャリアに関するコラムなどを書いたりしながら情報発信している。著書に、「人気NO.1「内定塾」が教える エントリーシート 履歴書の書き方(高橋書店)」や、「これだけ覚える!一般常識&最新時事(高橋書店)」、「人気NO.1「内定塾」が教える!今までなかったエントリーシート 履歴書の文章講座」などがある。