武蔵学園×TUJ「REDプログラム」で世界に羽ばたく学生を育む

 根津育英会武蔵学園は、科学的なものの見方ができる国際人育成を目的とした校外授業「REDプログラム」を都内3か所で開講している。都内の中高一貫校や進学校に通う中高校生が対象で、授業はすべて英語で行われる。

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シニアIクラスの授業風景
  • シニアIクラスの授業風景
  • REDプログラムでは担当教員(写真右)のほか、TA(写真左)が学びのサポートを行う
  • 生徒たちのインプットとアウトプットが円滑に行われるように促すネイティブ教師
  • 生徒たちはひとり1台iPadを持参し、教科書の閲覧や調査に利用する
  • インタビューに応える根津育英会武蔵学園 理事 植村泰佳氏
  • 授業後に生徒たちについて語るREDプログラム アカデミックコーディネーター Murray Tambeau氏
  • 教室の外には生徒たちが作成した研究成果物が掲示されていた
  • REDプログラム
 根津育英会武蔵学園は、科学的なものの見方ができる国際人育成を目的とした校外授業「REDプログラム」を都内3か所で開講している。都内の中高一貫校や進学校に通う中高校生が対象で、授業はすべて英語で行われる。

 REDプログラムは、武蔵学園と米国フィラデルフィアにあるテンプル大学の日本校であるテンプル大学ジャパンキャンパス(以下、TUJ)が教育と学術上で連携して生まれた中高生向けのプログラム。「Research(研究)」「Essay-writing(エッセイ、記述)」「Debate(ディベート、討論)」の3つの技能、REDを磨くことを目的とし、授業では教員と生徒が常に英語を利用することが特徴。授業内容は、科学をテーマに「英語を学ぶのではなく、英語で学ぶ」教育方式が採られ、国内に留まらない国際的な人間を育成することが目的とされている。

 プログラムは、1年間の登校を行うイブニングプログラムと、夏季の短期集中型サマープログラムに分かれる。イブニングプログラムは、中1・2年生向けのジュニアクラスと中3・高1年生向けシニアクラスの4コースがあり、それぞれジュニアクラスには週2回、シニアクラスには週3回の授業が設けられている。生徒は各々の学校で終業したのち夕方から各REDプログラム校舎に登校する仕組み。リセマムでは、中学3年生を対象とするRED九段教室シニアIクラスのようすを取材した。

◆1講座2時間、生徒が英語漬けになるクラス

 各クラスは定員24名の少人数で構成され、担任のネイティブ教師とティーチングアシスタント(コーチ、以下TA)指導のもと英語で調査、発表などを行う。ひとり1台のiPadの持参が必須とされ、生徒たちは各々のiPadで授業専用の教科書を閲覧したり、調査やプレゼンテーションの作成に取組むことが求められる。授業は1講座につき2時間で構成され、学校はもちろん、部活動や習い事などと両立しながら教室に訪れている生徒が多いようだった。

◆「なぜ」を問う教師と、英語で論理的に考え発表する生徒たち

 当日は、今学期初の授業とあってか生徒たちは多少緊張しているようにも見受けられたが、授業が進むにつれ笑顔を交えながら活発に討論と発表を行っていた。また、授業では教師が生徒の発言に対し「なぜ」を問う質問を投げかけ、生徒に自分自身の考えを英語で論理的に話すよう求める場面が多く見られた。どの生徒もまんべんなく発言できるよう、TAが各テーブルをまわり発言を促す配慮など、クラス一体となって授業に取組むようすが印象的であった。

 担当教師とTAは、TUJの教師と学生が担当する。TUJでREDを運営しているアカデミック・イングリッシュ・プログラムのアカデミックコーディネーター 小池惣氏によると、教師とTAは生徒を教えるにふさわしい人材であるか、英語力はもちろん複数の面接官による面接などにより厳選な審査を行ったうえで決定されるという。REDプログラムに適正な教師を選任することに加え、教師よりも生徒たちの年齢に近いTAも配置することで、生徒たちがより英語に親しみやすくなるように、との狙いもあるそうだ。

◆世界に通用する学生を育てるためのオリジナルプログラム

 武蔵学園理事 REDプログラム担当の植村泰佳氏によると、REDプログラムは「海外の大学に入学したその日から実践的な英語でコミュニケーションをとり、討論できる人を育てたい」という願いから発足したプログラムであるという。日本の従来の英語教育が、「読む」「書く」「筆記テスト」に注力していたことを踏まえて、REDプログラムではこれに加えてイマージョン方式を採り、さらに実践的な英語を身につけられるよう企画されたそうだ。同氏は「REDプログラムを通じて、海外の大学にチャレンジする生徒を応援したい」と、生徒たちに期待を寄せた。

 生徒たちの多くは都内の私立中高一貫校に通っており、将来的に英語を使った職業に就きたいという理由や、「両親に勧められて」「9月から留学をするのでその準備に」「英語は苦手だが、克服したい」など、さまざまな思いでプログラムに参加していた。植村氏によると、プログラム修了後に海外大学への進学を希望する生徒も多いという。

◆英語教育に精通するテンプル大学と協力

 TUJにプログラム開発協力を求めた理由を、植村氏は「外国大学日本校として長い歴史と信頼できる英語教育力をもっていたため」と語る。当日に授業を担当したREDプログラム アカデミックコーディネーター Tambeau氏は「英語で学ぶうえで求められるのは英語力だけではなく、文化的な側面に触れることも大事」であると述べ、長く英語教育に携わってきた知見を活用している姿勢が見て取れた。

 REDプログラムでは現在、イブニングプログラムのうち中学1年生対象のジュニアI、中学2年生対象のジュニアII、中学3年生向けのシニアI、高校1年生向けのシニアIIクラスの生徒を募集している。生徒は武蔵学園の生徒に留まらず、中学生、高校生、中等教育学校生なら誰でも参加できる。各プログラムは9月から翌年6月を1年として区切られており、現在募集中のクラスは9月開講のもの。4月18日には2015年度募集案内の説明会が開催される予定で、応募方法や詳細はWebサイトで閲覧できる。

 また、8月に行われるサマープログラムの受講生も、4月18日から受付を開始する。高校1年生対象のサマープログラムでは、テンプル大学のフィラデルフィアキャンパスで約1週間を過ごす。テンプル大学の協力で、オリジナルプログラムが組まれ、生徒それぞれが英語を利用して科学的な実験を行い、レポートや写真、創作物などで研修結果を発表することが求められる予定だ。

◆REDプログラム説明会
日時:2015年4月18日(土)第1回/14:00~15:00、第2回/15:30~16:30
場所:武蔵大学 1号館1101教室
費用:無料
※事前申込みは不要。2回のうちいずれかに参加する。
《佐藤亜希》

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