都内でも有数の進学校として人気の高い、東京都豊島区の豊島岡女子学園中学校・高等学校。便利な立地にありながら、落ち着いた佇まいの校舎でおよそ1,800人の中高生が学ぶ。竹鼻志乃校長に、同校の特色や教育方針などを聞いた。--豊島岡女子学園の特色を教えてください。竹鼻先生:教育方針が3つあります。ひとつは「道義実践」。人として正しい道を歩み、特に思いやりの心を育てていきたいと考えています。2つめはコツコツと努力を重ねる「勤勉努力」。そして3つめは、「一能専念」です。これは第4代校長・二木謙三先生が作った言葉で、人にはそれぞれ才能・能力があり、その能力を見つけ磨いて伸ばしていこうという教育姿勢を示した言葉です。 他校にない特色は、「運針」ですね。1mの白い布を赤い糸で端から縫い、終わったらまた縫うということを毎朝5分間行います。最初は少ししか進みませんが、毎日取り組むことで針目がきれいに揃い、長く縫えるようになります。無心で行うので、集中力を鍛えることにもなり、5分間という時間の大切さを実体験できます。 また、全員参加のクラブ活動は下校時刻の関係から短時間で集中して取り組む必要があり、生徒たちは時間概念をもちながら生活しています。そんななか、コーラス部は全国優勝しています。--クラブと勉強の両立どのように行われていますか。竹鼻先生:豊島岡は「詰め込みタイプ」と思われがちですが、学校生活が楽しくないと、勉強もできません。クラブで活躍している子も難関大に進学していますし、集中と切り替えが大切です。両立はたしかに大変ですが、あれもこれもやってほしいですね。--クラブ活動以外で、生徒が学年を越えて交流する場面はありますか。竹鼻先生:生徒会のほか、5つの委員会は6学年すべて一緒に活動しています。それ以外の活動は、有志が運営委員として活動します。 たとえば桃李祭(文化祭)を担当する「桃李祭運営委員会」、新入生がスムーズな学校生活を送る手伝いをする「新入生応援スタッフ(通称サポスタ)」、高3がリーダーシップをとって盛り上げるイベントである運動会を運営する「運動会運営委員」などです。先輩たちがいい結果を残すことで、後輩がそれを追う、いい循環が生まれています。--授業カリキュラムの特色について教えてください。竹鼻先生:どの教科もバランスよく、主要5教科に時間数を多くあてています。理系進学率の高さから、豊島岡は理系教科に力を入れていると思われがちですが、そんなことはありません。どの教科もバランスよいようにと考えています。 たとえば、中学入学時の英語は、まずアルファベットからスタートします。受験生の保護者の方から「入学前に英語の勉強は必要ですか」と質問を受けますが、まっさらな状態で来てほしい、とお答えしています。英語に限らず、どの教科も授業の予習・復習にきちんと取り組めば学習の心配はありません。