子どもたちの創造性や表現力を刺激する「ワークショップコレクション11」では、取り壊しが決定しているビルそのものを利用したお絵かきワークショップが多数開催された。渋谷TODビル1階で行われた「フリーウォール」と、同ビル2階で行われた「エポンテの森」を紹介する。 国内外のアーティストによるアート集団「#BCTION(ビクション)」が企画するワークショップ「フリーウォール」では、子どもたちが解体される渋谷TODビルの壁や床、窓にターナー色彩のペイント材を利用してイラストを描いた。 汚れても良い服装での参加が勧められていた同イベントだが、創造性を刺激された子どもたちにとって汚れは二の次。保護者も、またとない機会に目を輝かせペインティングに熱中する我が子の姿を見守っていた。 建物の壁や窓にはあらかじめ#BCTIONアーティストたちのアートがペインティングされていたが、結果としてそれらのペイントは子どもたちのペイントに上書きされ一部のみが残った。しかし、#BCTION代表のOoyama氏は「一瞬一瞬が作品、常に更新されていく姿が完成系」と満足気な表情。同氏によれば、子どもによっては床の溝を徹底的に塗りつぶしたり、身体にペイント材を塗りつけてみたりと、大人の発想では思いつかないペイントが多く見られるという。芸術の誕生に、スタッフはみな笑顔を見せた。 同渋谷TODビル2階では、部屋の内部を森に見立て、スタンプで自由に絵を描く「エポンテの森」が開催された。「普段なら部屋の壁にスタンプを押すなど言語道断、でも今日は特別なので思いっきりやらせたい」と語る保護者の傍ら、子どもたちはシヤチハタのスタンプを利用し絵を描いた。 スタンプの形は、丸・四角・三角とシンプルなものが多いが、子どもたちはスタンプを組み合わせることでクマや大きな花、樹木など森をイメージするイラストを描いた。 2015年の「ワークショップコレクション11」では、自由に利用できる給水機を設置し、階段はビニールテープを用い昇降の方向で通路を分けるなど、子どもが遊びやすい工夫がなされていた。また、授乳室の設置のほかワークショップによって簡易の託児スペースが用意されるなど、子どもに対する配慮が多くみられるイベントだった。