乳幼児のボタン電池誤飲、大事に至る可能性…東京都が改善案提案

 乳幼児の誤飲による化学やけどの事故などが起きているボタン電池。東京都商品等安全対策協議会は10月22日、第2回協議会において、安全対策についての取組みを関係団体に提言。特に、コイン型リチウム電池について、パッケージや注意表記の改善を求めた。

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 乳幼児の誤飲による化学やけどの事故などが起きているボタン電池。東京都商品等安全対策協議会は10月22日、第2回協議会において安全対策についての取組みを関係団体に提言した。特に、コイン型リチウム電池について、パッケージや注意表記の改善を求めた。

 東京都商品等安全対策協議会では、都民の安全な消費生活の確保を目的として、消費者・事業者・学識経験者等が商品やサービスの安全性について検討を行っている。平成27年度は「子どものボタン電池等の安全対策」をテーマとしており、10月22日の協議会において事故再現実験結果などが報告された。

 ボタン電池については、乳幼児の誤飲による化学やけどの事故などが起きており、国や自治体による注意喚起などを発しているが、誤飲事故は後を絶たない状況にある。同協議会が実施した誤飲による再現実験から、いずれの電池でも「びらん(ただれ)」が発生する可能性があり、特に電圧が高いコイン型リチウム電池は、「びらん」の進行が早く危険性が高いという。

 また、コイン型リチウム電池のパッケージを子ども(20人:1歳0か月~3歳6か月)に自由に扱ってもらい、そのようすを動画で記録・検証。プラスチック、袋型など5種類のパッケージのうち、2歳以上の子どもはいずれかの種類のパッケージを開封でき、3歳の子どもでは6人中2人がすべてのパッケージを開封した。パッケージ全体を折り曲げる、フック状の部分をねじるなど想定をしていない方法で開けており、パッケージを開ける動作を見せないといった注意だけでは、事故を防ぐことはできないことがわかった。国内で販売されている電池パッケージはさまざまな工夫が施されているが、幼児が開けにくい構造にはなっておらず、誤飲から死に至る可能性があるコイン型リチウム電池については、特に早急な対応が求められている。

 現在、同協議会をきっかけに、製造事業者団体らはコイン型リチウム電池のパッケージの改良について検討し、平成28年度の市場展開を目指しているという。また、パッケージの注意事項の表示について、文字を大きくする、重要な事項は目立つ表記をするなどの工夫と、コイン型リチウム電池の注意表記に、誤飲は「死に至ることがある」を明記するよう求めた。

 また、消費者の安全意識の向上のため、コイン型リチウム電池の誤飲の危険性の周知徹底をあげた。さらに、ボタン電池等の誤飲に関する事故情報は、ヒヤリ・ハット経験を含め、報告や相談がされにくく、商品の改善や基準の改定につながりにくい状況にあるという。業界としての相談窓口の周知徹底と事故情報データの活用をあげ、事故を消費者の意識不足や誤使用で終わらせず、収集した情報を商品改善などを図ることを求めた。
《黄金崎綾乃》

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