今年も残すところあと2か月。いよいよ受験シーズンが近づいてきた。東京都では、近年公立高校の人気が高く、特に日比谷高校をはじめとした進学指導重点校に注目が集まっている。東京都の進学指導重点校(以下、重点校)は、日比谷、西、戸山、青山、国立、八王子東、立川の7校。重点校には、過去3年間の生徒の学力伸長度として、センター試験の成績や難関国立大学への合格者数といった細かい基準が定められている。 平成28(2016)年におけるこれらトップ高校の入試予想および、入試当日までのアドバイスなどを、SAPIX(サピックス)中学部 教育情報センター部長の高橋淳氏に聞いた。◆特色を出したオリジナル問題を取り入れる学校が急増--東京都の「進学指導重点校」の公立高校入試の特徴を教えてください。 現在、東京都の重点校は、2014年から始まった「グループ作成問題」が大きな特徴です。グループ作成問題は、重点校などがグループとなり、共同で英・数・国の入試問題を作成しており、「記述」に重点をおき、数学でも解答だけでなく、その途中経過である解法を書かせる傾向になっています。どれだけきちんと理解しているかが大切。同時に、問題を解くための読解力も強く求められています。 また、入試問題では、グループ作成問題以外に各教科大問の1問だけは、その学校独自の問題にさしかえてよいことになっています。初年度の2014年はグループ作成問題のみの高校がほとんどでしたが、2015年よりほとんどの学校が、大問1問をオリジナル問題に差し替えるようになりました。2016年も、多くの学校が独自のカラーを出すため、オリジナル問題の採用を検討しています。 2015年の出題を見ると、数学で西や日比谷、戸山など、理数系にこだわりのある学校が、オリジナル問題を出題しています。一方、青山などのグローバル性を重視した学校では、英語のオリジナル問題が出ていますね。◆都立高を目指すなら実技系科目もおろそかにしない--2016年の高校入試で、大きな変更点はありますか。 2016年入試から、本番の試験と調査書(内申)の比率が7:3に統一されました。といっても、重点校は今までもそうでしたので、特に変更はありません。 また、調査書300点のうち、保健体育、音楽、美術、技術家庭科の実技系科目が、これまでの1.3倍換算から2倍に変更になりました。また、調査書によらない学力の点数のみで選抜していた「特別選考枠」が廃止されました。 つまり実技系科目を1点上げるのと、本番の試験を7点ほど上げることがほぼ同じ扱いになります。これをどう捉えるかは人によりますね。実技の時間に積極的に授業に参加していない生徒には大きいでしょうが、実はシミュレーションしてみると、この7:3になったことで、合否が逆転する生徒はほとんどいないという声もあります。とはいえ、小さくはない点数なので、都立高校を目指すのであれば、きちんと実技科目もやっておくべきだと思います。【次ページ】「入学したいという熱意を答案にぶつける」へ