国内最先端をゆくICT授業の実施や独特のコース展開で海外の大学からも注目を集め始めているという、東京都港区の広尾学園。英語教育にも力を入れており、「インターナショナルコース」では19人の外国人教員による本格的なオールイングリッシュ授業を展開している。 中学生から英語漬けの環境は、生徒たちにどのような効果をもたらしているのだろうか。インターナショナルコースのマネジメントを手掛ける植松久恵氏に、インターナショナルコースにおける授業の特徴や入試方法、卒業生の進路について聞いた。◆帰国子女向けのAGと中学から英語を強化できるSG--広尾学園のインターナショナルコースの特徴について教えてください。 中学のインターナショナルコースは、「アドバンストグループ(Advanced Group、以下AG)」と「スタンダードグループ(Standard Group、以下SG)」に分かれています。高校では両グループが統一され、インターナショナルコースはひとつになります。 AGは、帰国子女の生徒がメインで、中学入試の受験科目に英語があります。試験では、英検のような選択問題ではなく、読解力を必要とする記述問題やエッセーなどを出題します。論理的思考力と、どのような語彙を使うのかといった英語力をはかるものになっています。中学入試の受験目安として、英検2級合格以上の英語力をもつ生徒を対象にしています。--AGは、授業もすべて英語で行われるのですか。 はい。AGでは、国語以外の主要科目は中学1年生からすべて外国人教員によるオールイングリッシュの授業を行います。カリキュラムは、本科などでも使っている日本の教材を翻訳したものを使っています。進度も同様です。 ただ、社会だけは、社会人になった時に日本の常識を知らないと困るので、日本地理や日本の歴史といったものは、日本の教員から教わります。つまり、日本の河川の名前などは英語ではなく、日本名で習うというわけです。 国語は、AG用の授業もありますが、日本語を教えるようなものではありません。公立学校の授業とほぼ同じ内容と進度で、古典や漢文の授業もあります。ただし、AG用の国語の授業を受ける生徒は、AGの中でも半数以下で、それ以外の生徒はSGの国語の授業に参加していますね。