東京都内で子供の不幸な事故が続いている今年、警視庁運転免許本部がデスクワークをする庁舎を出て、地域住民に訴える“出張”呼びかけを始めた。30日朝6時30分、文京区後楽町会のラジオ体操に現れたのは、同本部審査登録課の山田隆司警部補。体操を終えた約80人の小学生、保護者、高齢者などを前に、横断歩道手前での左右の注意や、直前でのドライバーへの存在アピールなど5つの注意を話した。「歩きスマホって知ってますか?」「知ってる『ポケモンGO』とか、そういうの」「夢中になって前を見てないとどうなりますか?」「ぶつかっちゃう」「携帯だけでなく、途中で本を読みながら歩くのも、みんなで声をかけあってやめてくださいね」人前で話すのは、免許本部配属前の職場で経験したという山田警部補、それでも体操よりも汗だくだった。「交通安全は地域密着でできたらいい。話を聞いて記憶に留めてもらえば。私もこんな話を聞いて警察官を志しましたから」。この発案は同本部長だ。「運転免許本部は街の人と接する機会がないので、この夏初めて、まずは自分の住んでいる地域のイベントなどで呼び掛けてみようと」(警視庁運転免許本部庶務課)。運転免許本部の主業務は運転免許証の発行や管理。そのため“出前”で呼びかけを行うのは所属する職員が住む近隣地区。夏休み期間のイベントに、登庁前に参加するのだという。職員を迎えた後楽町会の篠崎紘治郎会長は「過去には冨坂署から振り込め詐欺について話してもらったこともある。集まる人にとって役立つ話が聞けたら」と、歓迎する。