企業の救世主は「外国人留学生」グローバル人材の働きぶり

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Zoff西武新宿ペペ店で働く海外留学生のゼン・ソウイクさん。リクルートスタッフィングの外国人留学生派遣サービス「Japaning(ジャパニン)」に登録~派遣という流れ
  • Zoff西武新宿ペペ店で働く海外留学生のゼン・ソウイクさん。リクルートスタッフィングの外国人留学生派遣サービス「Japaning(ジャパニン)」に登録~派遣という流れ
  • Japaningでは独自システムによるタイムリーな勤務管理を行っているので、クライアント企業、留学生も安心してビジネスに集中できる
  • Zoff西武新宿ペペ店 店長 角田大祐氏
【記事のポイント】
▼販売職や事務職の領域での人手不足に外国人留学生派遣サービスは有効な手段
▼登録留学生は日本語、在留資格、マナーなども含めチェック済み。また就業時間も適法に管理
▼派遣サービスを受けるクライアント企業は面倒な手続きなしに、マネジメントに集中できる
▼外国人留学生派遣は即戦力としてだけでなくグローバルな視点を得る上でも貴重な人材


 企業の人手不足が深刻化している。サービス業界の一部では「絶望」という言葉さえ使われ始め、企業経営への影響が取りざたされている。労働力が確保できないために業務が維持できなくなる、いわゆる「人手不足倒産」のケースも増加傾向にあり、帝国データバンクの調査によると人手不足による倒産数は4年前の2.9倍となっている。今後人口が減少していく日本において、人材の確保は企業にとっての死活問題である。しかしそんな状況のなかでも様々な方法で人手の確保を行い、成功への扉を開く企業もある。新連載「人手不足の解決法」では、シルバー雇用、外国人の登用、他社との連携、IT活用など、企業が生き抜くための人材についての選択をどのように行ったのかを現場の声でリポートする。

 第1回は(株)インターメスティックが運営する眼鏡量販店の「Zoff(ゾフ)」の「外国人留学生派遣活用」に着目する。Zoffでは(株)リクルートスタッフィングの提供する外国人留学生派遣サービス「Japaning(ジャパニン)」を使い、近年増えているインバウンド顧客への接客対応で成果を上げている。Zoff西武新宿ペペ店の店長、角田大祐氏に話を聞いた。

■外国人留学生派遣サービス、その仕組み

 まずリクルートスタッフィングの外国人留学生派遣サービス「Japaning(ジャパニン)」とは一体どのようなサービスなのかを紹介しておこう。Japaningは、販売職や事務職の領域で人手の必要な企業に、日本で働きたいと考えている外国人留学生を派遣するサービスだ。Japaningに登録されている約1000名の外国人留学生(うち約8割が中国人留学生)はほぼ大学生・大学院生であり日本語も堪能。在留資格や在留期限、資格外活動許可証などもチェック済み、さらに基本的なマナー教育も受けている。

 何かと問題となりがちな就業時間(週28時間以内、休暇期間中は週40時間以内
と法律で定められている)についても、独自のシステムを使い適法に管理。クライアント企業側は面倒な手続きをすることなく、派遣された外国人留学生の教育、マネジメントに集中できるという仕組みだ。

 そもそもこのサービスをリクルートスタッフィングが始めた背景にはどのような社会分析があったのだろうか。

「サービス業の人材不足、特に販売業についてはインバウンド消費の高まりもあり、『訪日客のニーズを理解している人材が欲しい』というクライアントからの要望が数多く寄せられました。一方、増加している外国人留学生に話を聞くと、『日本の企業で働きたい』『語学を生かして働きたい』と答える学生が多いことがわかりました。そこにはマッチングが生まれる可能性があると考えたことから、Japaningをサービスとして始めました」とリクルートスタッフィングの担当者は話す。

 2020年に向けてインバウンド客が増えることは間違いない販売業にとって、外国語を話すことができるスタッフの雇用は重要なテーマだ。しかし外国人留学生を雇うことに不安がある企業も少なくないだろう。その課題を解決するために、Japaningではいわゆる有名大学に籍を置く優秀な外国人留学生を数多く登録・紹介することで信用を得ている。また、就業コンプライアンスを徹底管理している点においても、高く評価されているという。

■Zoffでは留学生はこんな風に働いている

 Zoff西武新宿ペペ店ではどのように外国人留学生派遣を活用しているのだろうか。まずはなぜ外国人留学生の派遣受け入れを決めたのか、またどのような業務を担当してもらっているのかを角田店長に聞いてみた。

「外国人留学生派遣を受け入れた決め手はやはり人材不足です。2015年以降、外国人、特に中国からのお客様が増えてきました。長い間、片言の英語と筆談で対応していたのですが、これ以上は厳しいということで、10ヶ月前から中国人留学生に派遣として働いてもらっています。中国からのお客様対応を中心に店頭で接客にあたっています。もともと日本語も堪能なので、いまでは中国人のお客様だけでなく、日本人のお客様にも対応できるようになりました。できるところはどんどん任せるようにしています」

 外国人留学生ならではの特徴やくせといったものを気にする経営者も多いかもしれないが、どうやらそれはこちらのお店では杞憂のようだ。

「とにかく真面目に何でもやってくれます。変な言い方かもしれませんが、日本人の従業員が面倒臭がるような作業でもきちんと自分の仕事ととらえて真摯に働きます。あとは技術の習得スピードが非常に高いですね。難易度の高い特殊なパーツ交換修理も3日ほどで誰よりも上手にできるようになりましたし、最近では視力測定ができるレベルまで成長してきました。その結果、インバウンドのお客様の売上が月あたり7%だったものが10%まで上がりました」



■留学生との接し方やコミュニケーションのコツ

 外国人留学生の派遣で気になるのが言語や文化の違いによるコミュニケーションの摩擦だろう。角田店長はどのように接することを心がけているのだろうか。

「当店で働いているゼン・ソウイクさんは派遣スタッフであり、一方、学業がメインの学生でもあります。ですから勤務時間の希望は通すようにしています。もちろん定時になったら速やかに退社してもらっています。文化の違いと言えば、たとえば風邪をひいたときに日本人なら『まわりに迷惑をかけられない』と多少無理してでも出勤することがありますよね。ところが彼は『風邪を引いて戦力にならないので休みます』と配慮した結果、病欠という形をとろうとします。人間の関係性を重視する日本人と仕事本位で判断する中国人という違いがあるんですね。彼自身は今後も日本で働き続けたいという気持ちが強いので、いまでは“郷に入っては郷に従え”という風に変化してきました」

 これまでに衝突などはなかったのだろうか。

「最初の頃に一度だけありました。まだ信頼感が築けていなかったのでしょうね。でもそこでうやむやにせず、問題発生後の早い段階でいうべきことをハッキリと伝えることが大事だと思います。納得してくれれば同じ問題を起こすことはありません」

 最後に「外国人留学生だからといって構えるのではなく、雑談なども含め普通にコミュニケーションをとるようにしています。派遣という形をとっていますが自分のスタッフとして接していますし、彼自身もそれに応えてくれています。今、彼に抜けられるとちょっと困ってしまいますね(笑)」と締めくくった。

 現在、日本に約24万人いるという外国人留学生。2020年に向けて30万人の外国人留学生受け入れを目指す政府の取り組みもあり、今後その数は一層増えていくことだろう。日本語の習得や日本での就職などを希望し、仕事に対して真摯に取り組む彼らは、人手不足にあえぐ日本企業にとって貴重な戦力といえる。角田店長の話からもわかるように、外国人留学生派遣はビジネスとしての戦力補強だけでなく、文化的な側面においても企業にとって貴重な人材となっているようだ。なかなか解決しない日本の「外国人労働者問題」だが、今回紹介した「外国人留学生派遣」は、その突破口になる可能性を秘めているのではないだろうか。

(インタビュー/加藤陽之 構成/川口浩樹)

人手不足の解決法:1 外国人留学生をスタッフに/Zoff

《HANJO HANJO編集部》

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