未就学児のアレルギー、入学までにできること【子どものアレルギー12】

生活・健康 未就学児

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  • 株式会社ウィルモア 代表取締役 石川麻由氏
  • 食物アレルギーのある園児・児童の受入れ体制
  • エピペンの預かり体制(処方されている園児・児童の受入れ施設 n=3,277)
  • 資料:現在、保護者からの申し出(文書や診断書の提出、口頭等)によりアレルギー疾患のある園児・児童の実態を把握していますか
 あと数週間もすれば、春の卒園・入学シーズンだ。特にアレルギー疾患のある子どもを保育施設や学校、学童保育に通わせる場合、保護者は「アレルギー対応」が気になるところだろう。

 アレルギーに関連する情報発信やサービスを提供している「ウィルモア」代表取締役の石川麻由氏に、東京都を例として、保育施設や学童保育でのアレルギー対応状況と、小学校入学前に取り組んでおきたいことを聞いた。

就学前児童のアレルギーの状況…東京都の例



 子どものアレルギー疾患の罹患状況や施設における取組を把握するため、東京都は2014年(平成26年)9月に東京都内の認可・認証保育所、認定こども園、幼稚園、家庭的保育やベビーホテル、学童保育などを含むすべての保育施設、計7,405施設を対象に、アレルギー疾患に関する施設調査を行いました。今回はこの調査から、就学前児童のアレルギーの状況をご紹介したいと思います。

罹患状況



資料:現在、保護者からの申し出(文書や診断書の提出、口頭等)によりアレルギー疾患のある園児・児童の実態を把握していますか
画像:アレルギー疾患のある園児・児童の実態を把握していますか

 アレルギー疾患のある園児および児童を把握している施設の割合を見ると、食物アレルギーは93.0%、ぜん息は80.8%、アトピー性皮膚炎は77.4%、アナフィラキシーは75.1%、アレルギー性鼻炎は64.0%、アレルギー性結膜炎は59.2%でした。

 2009年度(平成21年度)に東京都が実施した施設における把握状況の変化を見ると、2009年度に比べ、2014年度には食物アレルギーやアナフィラキシー、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎の把握率が上昇しています。

食物アレルギーのある園児・児童の受け入れ状況



 食物アレルギーのある園児・児童を「預かる」施設は、全体の89.8%にあたる4,805施設であるものの、「預かる」と回答した施設でも、「対応可能な場合のみ」「重症者やアナフィラキシーの既往がある児は預からない」と回答した施設があります。

食物アレルギーのある園児・児童の受入れ体制
画像:食物アレルギーのある園児・児童の受入れ体制

 一方、「預かる」とは回答していなくても、状況に応じて受け入れると回答した施設もあり、「軽度であれば預かる」「保護者と相談のうえ」「弁当持参であれば」「一定数以下の児までなら対応する」などが141件ありました。

 また、アナフィラキシーに備えるための「エピペン(アドレナリン自動注射器)」を処方されている園児・児童を受け入れる」と回答した3,227施設のうち、エピペンを施設で預かると回答した施設は68.7%、預からないと回答した施設は11.7%でした。なお、エピペンを預かると回答した施設のうち、583施設(26.3%)では741人のエピペンを預かっていました。ただし、「エピペンを処方されている園児・児童を受け入れない」と回答した施設や、「受け入れるがエピペンを預からない」と回答した施設でも、実際にはエピペンを預かっている施設があり、全5,348施設中595施設(11.1%)で、759人のエピペンを預かっている状況となっています。

エピペンの預かり体制(処方されている園児・児童の受入れ施設 n=3,277)
画像:エピペンの預かり体制

施設内での食物アレルギー症状出現状況



 それまでに原因食物と診断されておらず、初めて症状を経験した初発例は64.9%(658施設)、誤食による症状出現は34.1%(346施設)でした。0~3歳においては施設内でも初発でのアレルギーが多くみられるものの、4歳以降も初発例は発生しています。また、小学1年生~3年生の割合が多い学童保育、4~5歳児の割合が多い認定こども園では、初発より誤食による症状出現の方が多くなっています。

 なお、施設内で食物アレルギーの症状出現を経験している施設は、全体の19.0%にあたる1,014施設ありました。そのうち、給食を提供している施設は88.2%(894施設)、給食以外での食物提供施設は8.2%(83施設)でした。給食を含む食物提供に際しては、前もっての確認や注意が必要になります。

保護者は何ができる?入学前の準備



 給食や食物・食材を扱う授業・活動においては、献立や食材―たとえばヨーグルトの具材やパックに付着する食物など―を確認し、確認および伝達の漏れを防ぐことと、緊急連絡先への連絡を受け取れるようにしておくとよいでしょう。

 給食で初めて食べる食物への症状出現に備え、給食よりも前に摂食可能かどうかを確認しておくことも望ましい対応です。

 また、アレルゲンやアレルギーについてお子さまと直接話す機会を設け、お子さま自身のアレルギーについて理解を深めておくとよいでしょう。クラスメイトからアレルギーついて聞かれた際などに、お子さまも話がしやすくなります。アレルギーは当事者だけでなく周囲の協力を得る局面もありますが、クラスメイトの協力により、給食の献立や配膳の確認を二重、三重にもできたり、異変に気付くもこともあります。

 加えて、食物アレルギーの症状出現においては、初めて食べる食物での症状出現例も少なくありませんので、給食よりも前に家庭で食べておけるようにしておきましょう。

 都の調査によると、アレルギー症状が出現した園児・児童に対し、アレルギー症状が重症であるほど「緊急時を想定したシミュレーション、訓練の実施」を行っていたことが役立っていると回答しています。

 あまり対応ができなかったと回答した施設では、その理由としてシミュレーションや訓練、マニュアルなどの不足だけでなく、「所・園内でのアレルギー対策に関する話し合いの機会がなかった」「施設と保護者との連携・情報不足」をあげています。

 施設と協力をしながら、対応していきたいですね。

石川 麻由(いしかわ まゆ)株式会社ウィルモア 代表取締役
岐阜高等学校、日本女子大学卒業後、大手インターネットサービス企業での事業統括、コンサルティング会社、医療情報ベンチャー等を経て、ウィルモアを創業。バーコードにかざすだけでアレルゲンを含む食品かがわかるスマートフォンアプリ「アレルギーチェッカー」や、アレルゲンを含まない食品を検索・購入できるWebサービス「クミタス」の開発・運営を行っている。

《編集部》

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