ここでは、家庭ですぐにできる実験「静電気を集めて蛍光灯をつける」方法をご紹介。自由研究テーマ選定の参考にしていただきたい。
自由研究:中学生向け 小学生向け
静電気の性質を確かめる~静電気を集めて蛍光灯をつけよう~
第1分野【物理】実験
制作時間:40分 難易度:★★★★
乾燥した冬の日に、セーターを勢いよく脱ぐと「パチパチ」と音がするのは静電気のいたずらです。でも、どうして静電気は起こるのでしょうか。この実験では、静電気を集めて、蛍光灯をつけてみましょう。
用意するもの
透明なプラスチックコップ(3個) 両面テープ アルミはく 蛍光灯 直径2cmの塩化ビニル製のパイプ(50cm)*
そのほかのもの クッキングペーパー、油性ペン、カッター
*ホームセンターで買えます。

実験1 やってみよう 静電気を集めて蛍光灯を点灯する
★手順 全6工程
ものをこすり合わせると静電気が発生します。しかし、この静電気は手を伝わり、すぐに逃げてしまいます。
この実験では、静電気を集めることができる「ライデンビン」を作って、静電気の性質を確かめます。

アルミはくをきれいに巻きつけるため、コップを切り開く。

コップの型紙にそってアルミはくを切りぬく。

残りのコップ2つに両面テープをはり、その上から、アルミはくを図のように巻きつける。

アルミはくを折って細い帯を作り、2つのコップのあいだにさしこむ。これでライデンビンが完成。

数枚かさねたクッキングペーパーで、パチパチ音がするまで塩化ビニル製のパイプをよくこする。

部屋を暗くして蛍光灯の片方の端子を手で持ち、もう片方の端子を帯に接触させる。
うまくいかないときには
きれいなコップを使おう
●コップがよごれていたり湿っていたりすると、静電気が集まりにくくなります。コップはよく洗って乾かしてから使いましょう。
●パソコンやデジタルカメラなどの精密機器は静電気に弱いので、ライデンビンを近くに置いてはいけません。
●セロハンテープは電気を少し通すため、使ってはいけません。
なぜそうなるの? ~蛍光灯に伝わって逃げた静電気が光らせる~
摩擦によって発生した静電気は、ライデンビンの中にたまる
異なる2つの物質をこすると、摩擦によって物質中の電子が活発になり、電子が移動したほうがマイナス、電子がいなくなったほうがプラスの電気を帯びます。これが静電気が発生するしくみです。
また、下の表のように、物質によって帯びやすい電気にちがいがあります。
実験1は、クッキングペーパーでこすった塩化ビニルのパイプが、マイナスの電気を帯びます。このパイプをライデンビンの帯に近づけると、帯に触れたアルミはくがマイナス、コップをはさんでもうひとつのアルミはくがプラスに帯電します。
静電気を集めたライデンビンの帯に蛍光灯をつけると一瞬光ります。これは、たまった電子が蛍光灯を伝わって人の体に逃げ出したためです。
蛍光灯は内部の水銀ガスに、電子が衝突することによって光ります。つまり、その瞬間、電子が移動して光るのです。
●管とクッキングペーパーの接触面のようす

●プラスかマイナスに帯電しやすい物質


上の図のどれか2つをこすり合わせると、左よりにある物質はプラスに、右よりにある物質はマイナスに帯電しやすい。位置が離れているものとこすり合わせるほど、静電気の発生量が大きくなる。
実験2 やってみよう 静電気を起こしてストローを動かす
★手順 全4工程
静電気は、磁石と同じで、プラスどうしマイナスどうしだと反発します。また、プラスとマイナスでは引き合う性質をもっています。この性質を利用して、紙コップの上にのせたストローを動かしてみましょう。
用意するもの
紙コップ、針、つまようじ、蛇腹ストロー、ティッシュペーパー

紙コップの底の中央に針で小さな穴を開け、中からつまようじをさしこむ。

蛇腹ストローの中心に針で直径約1mmの穴を開け、つまようじにのせる。蛇腹部分を曲げて、うまくつり合わせる。

ティッシュでこすり、ストローをマイナスに帯電させる。

マイナスに帯電したストローが反発するものはあるか、たとえばビニール袋などで、確かめてみよう。
レポートのまとめかた
実験1ではライデンビンで蛍光灯をつけたとき、蛍光灯はどのような光りかたをしたか、まとめましょう。
実験1では、パイプをこする回数を多くしたら、蛍光灯の光りかたがどうなるか試してみましょう。
実験2では、身のまわりのさまざまなものをこすり合わせて、どのような組み合わせで静電気が発生しやすいかを調べてみましょう。
発行:永岡書店
<著者プロフィール:野田 新三(のだ しんぞう)>
1970年大阪生まれ。不思議に思ったことは「自分で確かめたい」という気持ちから、理科に興味を持つ。95年千葉大学大学院教育学研究科を修了後、理科の教諭として教壇に立つ。