ここでは、手に入れやすい素材で作成できる「ホバークラフトで摩擦について知る」の実験方法をご紹介。自由研究テーマ選定の参考にしていただきたい。
自由研究:中学生向け 小学生向け
ホバークラフトで摩擦について知る~ノンストップ! ホバークラフト!!~
第1分野【物理】実験・観察
制作時間:30分 難易度:★★★
ホバークラフトは、空気の力を使って、地上や水の上、雪の上から少し浮いた状態で進む乗りものです。身近なものを使ってホバークラフトを作ってみましょう。
用意するもの
透明な容器* プロペラ** リード線2本*** 単4アルカリ電池(2本) モーター 千枚通し
そのほかのもの セロハンテープ、両面テープ
*コンビニエンスストアで売られている「冷やし麺」などの容器。 **100円ショップの扇風機についているウレタン製のもの。 ***3cmぐらいのものを2本。両端の被覆をむいて準備しましょう。
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実験1 やってみよう 透明の容器でホバークラフトを作る
★手順 全5工程
机の上で消しゴムをすべらせるとすぐに止まります。これは、机と消しゴムが触れ合っている部分に「摩擦力」がはたらくからです。
では、触れ合っていなければ「摩擦力」がはたらかず、止まらないのでしょうか。
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容器の底に、中心の穴と用意したプロペラの直径のすぐ内側の場所にきりで通気口の穴を開ける。
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両面テープで、図のようにモーターと電池を容器の底に固定する。電池の向きに注意する。
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モーターの導線を2本の電池の+(プラス)極と-(マイナス)極にセロハンテープで固定する。
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用意したリード線を2本の電池にそれぞれセロハンテープで固定してスイッチとする。
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プロペラを容器の中からモーターにつけて、スイッチとなるリード線をつなぐとモーターが回り、容器が浮上する。
うまくいかないときには
カップとプロペラは限りなく近づけ、リード線のつけまちがえに気をつけよう
●空気の流れが「容器の中からモーター側に出る方向」になって、ホバークラフトがうまく動かないときは、モーターの導線の+と-をつけ代えてください。
●容器とプロペラは、ギリギリつくかつかないかくらいの距離まで近づけてください。
●容器の底を見て、プロペラの回転する範囲の内側に通気口があるか確認しましょう。
なぜそうなるの? ~ホバークラフトのしくみ~
ホバークラフトは床から浮いている
実験1で作ったホバークラフトも、容器の中にモーターで風を送りこまないと、床と容器のふちの摩擦によってすぐに止まってしまいます。
容器の中に空気が吹きこまれ、床の上で容器が浮くと、床と容器の摩擦が大変小さい状態が生まれます(厳密には、容器と空気、空気と床は触れあって、ほんの少しだけ摩擦力がはたらいています)。
ホバークラフトにはたらく摩擦力は小さく、一度動き始めると止める力がはたらかないため、動き続けることができるのです。
●ホバークラフトの断面図
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容器の底から通気口を通って中に空気が吹きこまれ、容器の中からあふれた空気が容器の外に出ることで、床から容器が浮きます。
実験2 やってみよう CDと風船で作るホバークラフト
★手順 全3工程
実験1では、透明な容器を使ってホバークラフトを作りました。
次の実験では、音楽用CDと風船を使って、もっとかんたんにホバークラフトを作ってみましょう。
用意するもの
不用になったCD、ゴム風船、タレビン(ポリ容器)、両面テープ、きり、はさみ
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タレビンに直径約1mmの穴を開け、両面テープでCDの裏側(反射面)に固定する。
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タレビンのフタに直径約3mmの穴を開ける。フタを風船の口に固定し、風船をふくらませる。
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風船がついたフタをタレビンに取りつけ、水平な机の上に置き、そっと押す。
そうなんだ! ~重いものをラクラク運ぶ力~
実験2で作ったホバークラフトは、指でほんの少し押すだけで動き始めましたね。これは、机の上などに置いたものを横方向に動かすためには、「机とものにはたらく摩擦力に逆らう力」の分だけ力を加えればよいからなのです。
重い物体もホバークラフトのように浮かせると、とても小さな力で横方向に動かすことができるようになります。
浮かせなくても、運ぶものに車輪をつけて摩擦を少なくする方法があります。これを利用したのが、スーパーマーケットなどに置いてある「カート」です。カートにたくさんの商品をのせても、カートと床の摩擦の分だけ力を加えれば動かすことができるのです。
身近で発見 ~船より速い!?ホバークラフト~
人が乗れる大型のホバークラフトもここで作ったホバークラフトと原理は同じです。
おもに水の上で進むように作られており、前進するためのプロペラがついています。一般の船とはちがって、水との摩擦がないので、より速い速度を出すことができます。
レポートのまとめかた
実験1で紹介したホバークラフトより、大きいものや小さいものも作って、レポートにまとめましょう。また、人が乗れるようにするには、どんな工夫をすればよいか考えてみましょう。
実験2で作ったホバークラフトは、自分自身も回転(スピン)します。どうしてスピンするのかを調べたり、スピンをしないように改良したりして、レポートにまとめてみましょう。
発行:永岡書店
<著者プロフィール:野田 新三(のだ しんぞう)>
1970年大阪生まれ。不思議に思ったことは「自分で確かめたい」という気持ちから、理科に興味を持つ。95年千葉大学大学院教育学研究科を修了後、理科の教諭として教壇に立つ。