ここでは、家庭ですぐにできる「水圧のふしぎ」を調べる方法をご紹介。自由研究テーマ選定の参考にしていただきたい。
水の力のふしぎを調べる~水圧を体感しよう~
第1分野【物理】実験・観察
制作時間:20分 難易度:★★
水が周囲におよぼす力のことを「水圧」といいます。この水圧は、水深の深いところではたらく力です。長いプラスチックパイプを使った実験で、水深の深い場所を再現し、水圧を体感しましょう。
用意するもの
プラスチックパイプ* きり 布ガムテープ ラップ
そのほかのもの 輪ゴム、水、ペットボトル
*直径20mm前後、長さ1m。ホームセンターで買えます。
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実験1 やってみよう どの穴からの水が一番遠くに飛ぶ?
★手順 全4工程
何千mもの深い海中には、水圧が高いため機械でも使わないかぎり行くことはできません。
そこでこの実験では、プラスチックパイプを海に見立てて、水深ごとにかかる水圧のちがいを見比べます。
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プラスチックパイプに、図のように4カ所の穴を開け、布ガムテープでふさいでおく。
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4枚重ねて折りたたんだラップを、パイプの下にしき、輪ゴムでとめる。
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風呂場や屋外など、水にぬれてもよいところで、パイプの上から水を入れる。
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上から順に布ガムテープをはがす。出てくる水の中で一番遠くに飛ぶのはどの穴かを調べる。
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うまくいかないときには
きりでパイプに穴を開けるときは必ず2人で行い、けがに注意する
●プラスチックパイプの端から水がもれる場合は、輪ゴムの数を増やし、きつく巻くようにしてください。
●穴を開ける作業は大変危険です。必ず2人で行うようにしてください。1人がパイプを固定し、もう1人がきりでゆっくりと穴を開けましょう。きりが貫通してしまったら、反対側にできた穴は布ガムテープでふさぎましょう。
なぜそうなるの? ~水圧はどこからくるの?~
上に乗っている水の重さが水圧の大きさに関係する
水には、重さがあります。そのため、水槽の底の部分には、水面からの水の重さがのしかかっています。下の穴ほど、上にのしかかっている水の量が増えます。この水の量(重さ)が増えると水圧も大きくなり、穴から水を押し出します。その結果、一番深いところにある穴から出てくる水が、一番勢いよく飛ぶことになるのです。
●それぞれの穴にはたらく水圧
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実験2 やってみよう 手の平や口で水圧を感じる
★手順 全3工程
実験1で水圧が深さに関係することを調べました。
実験2では、細いプラスチックパイプをストローのように使って水圧について調べてみましょう。指や口でプラスチックパイプに吸いこまれる感覚を感じることができます。
用意するもの
長さ1mのストロー*、コップ、ビニール袋、水
*ホームセンターで手に入ります。直径5mmのプラスチックパイプでも代用できます。
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ビニール袋で包んだ手をお風呂の浴槽に少しずつつける。手を動かして、水圧を感じとる。
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コップに水を入れ、ストローで口の手前まで少しずつ吸ってみる。
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水が入ったストローの口を指でおさえ、少しずつ離すと、指がストローに吸いつく力が変化する。
そうなんだ! ~コップとの水面の差~
ストローを吸うときに、水面と口の高さに差があるほど大変です。これはストローに入っている水の量だけではなく、コップの水面と、ストローの中の水面との高さの差が関係しています。
ストロー内の水のうち、コップの水面の高さから、ストロー内の水面の高さまでの水が重力の影響で落ちようとします。そのため、ストロー内の空気が下がり、ストローの口を押さえている手に圧力がかかります。
一方、実験1で使ったプラスチックパイプの底をラップでふさいだもの(深さ1m程度の「コップ」になります)に水を入れ、底の水をストローで吸っても大変ではなくあまり圧力を感じません。これは、ストローの中の水面とプラスチックパイプの水面の高さがあまり変わらないためです。
身近で発見 ~工事現場で活躍するピストンの力~
閉じこめた水の一部に力を加えると、全体に力が伝わります。この力を「ピストン」に伝えることで、重いものを持ち上げることができます。身のまわりでは、水の代わりに油を使った「油圧ポンプ」があり、パワーショベルやクレーンなど大きな力が必要な場面で多く使われています。
近年では、「油圧ポンプ」に変わる、「水圧ポンプ」も注目され開発が進んでいます。
レポートのまとめかた
実験1で、プラスチックパイプの穴の位置(水面からの深さ)と、穴から飛んだ水の距離の関係をグラフにしましょう。水が飛ぶ位置に紙をしくと、結果がわかりやすくなります。
実験1の結果は、プラスチックパイプの太さと何か関係があるのでしょうか。パイプの直径を10mm、20mm、40mm と変えて実験をくり返し、太さと水が飛ぶ距離の関係が変化するか調べてみましょう。
発行:永岡書店
<著者プロフィール:野田 新三(のだ しんぞう)>
1970年大阪生まれ。不思議に思ったことは「自分で確かめたい」という気持ちから、理科に興味を持つ。95年千葉大学大学院教育学研究科を修了後、理科の教諭として教壇に立つ。