STEAM教育に多様性を…初心者向け人気イベント「Sony STEAM Studio 2018」

教育イベント 小学生

2018年7月28日・29日に開催された「Sony STEAM Studio 2018」のようす
  • 2018年7月28日・29日に開催された「Sony STEAM Studio 2018」のようす
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 2020年に小学校で必修化されるプログラミング教育や、次世代に必要な基礎能力を養う「STEM/STEAM」教育への関心が急激に高まっている。「STEM」は、Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Mathematics(数学)の頭文字をとった造語で、「STEAM」はそれにArts(芸術)を加えたものだ。

 世間の注目が高まる一方で、漠然とした概念のみが先行し、教育現場や家庭教育での実践に落とし込みきれていない現状もある。

 そのような危惧もある中、2018年7月28日・29日の2日間、ソニーは「Sony STEAM Studio 2018」を開催した。AIやロボティクス、プログラミングなど、具体的なSTEM/STEAM教育に触れる機会を提供するイベントだ。

理数系学力だけではない、STEAM教育で養うべき力



 開催までの経緯について、Sony Global Education社長の礒津政明氏は「現在世の中で浸透しているSTEAMは、どことなく理数系の学力や論理的思考の育成のみに解釈されてしまっているような印象があります。科学技術発達の目的を単なる『最適化』というところに集約するのではなく、あくまでもそれぞれの個性やアイディアの多様性を大切にしながら進めていくべきと考えています。ソニーならではのSTEAM教育の形を提案したいと思い、このイベントの開催に至りました」と話す。

2018年7月28日・29日に開催された「Sony STEAM Studio 2018」のようす
本日のテーマの発表とともにワークショップがスタート


現代版「3匹の子ぶた」どうやってオオカミから身を守る?



 募集開始後、あっという間に満席となったという今回のイベント。その倍率は10倍にもなったという。大型台風の影響もあり、一部プログラムが中止となったものの、小学3年生から6年生までの90名が抽選により参加した。

 参加者は3人1チームに分かれ、提示された課題を解決するためにグループワークを行う。ファシリテートを行うSony Global Educationの清水輝大氏によって発表されたテーマは「さんびきめのこぶた」。襲ってくるオオカミから身を守るため、1匹目の子ぶたは藁の家を、2匹目は木の家を、3匹目はレンガの家を作るという、よく知られた物語の“続編”だ。

 「今の技術を使えば、きっとそれ以上に強力な良い家が作れるはず。今日はみんなが3匹目の子ぶたになってください。」(清水氏)

2018年7月28日・29日に開催された「Sony STEAM Studio 2018」のようす
タブレットを覗き込みながらアイディアを出し合う

 最初は不安そうにしていた子どもたちも次第に納得の笑顔に変わり、早速グループワークに取りかかった。

 逃げる、隠れる、戦う、驚かす。襲ってくるオオカミから身を守る方法はいくつもある。ソニー社員が務めるチームのグループリーダーのサポートのもと、子どもたちは自分たちの方向性の決定やその具体的な対策を考えていく。

KOOVを使ってデザイン



 前半は「KOOV」を使って、3匹目の子ぶたの家をつくるデザインワークショップ。色鮮やかなブロックを触りながら、まずは大枠の方向性を決定し、組み立てながらプロトタイプを作る。そのうえで、タブレット上でアプリを起動し、実際にパーツを動かしたり、チームメンバーと話し合ったりしながらプログラミングしていく。

 まさにデザインシンキングの流れを体験できる仕組みだ。初対面にも関わらず、ひとつのプロダクト(3匹目の子ぶたの家)について、アイディアを出し合うことで、見る間に子どもたちの目が輝いていく。ワークショップのようすを参観していた保護者も、「はじめてプログラミングの体験会に参加しましたが、思ったより楽しそうに取り組んでいて安心しました」と嬉しそうだ。

2018年7月28日・29日に開催された「Sony STEAM Studio 2018」のようす
チームリーダーからプログラミングの仕組みをレクチャーしてもらう


MESHを使ってプログラミング



 後半は「MESH(メッシュ)」を使ったワークショップが行われた。課題は、日常にあるうちわ、ゴミ箱、ビニール傘、ハエ叩き、ピコピコハンマーなどにブロック形状の電子タグ「MESH」を取り付けてプログラミングし、オオカミから身を守るための道具をつくる、というもの。LED、ボタン、人感センサー、動きセンサー、温度湿度センサーなどのMESHを組み合わせ、動きをプログラミングしていくなかで、loTの概念を自然と身に付けられる仕組みだ。

 後半のワークショップのファシリテーターは、「MESH」を開発した新規事業創出部事業準備室・統括課長の萩原丈博氏。開発者から直接話を聞くこともでき、子どもたちも良い刺激を受けたよう。オオカミが接近すると録音した叫び声が流れて追い払う道具、オオカミを誘き寄せるための罠、オオカミと戦うための威嚇機能付きの武器など、チームごとに独創性あふれる道具が完成した。

2018年7月28日・29日に開催された「Sony STEAM Studio 2018」のようす
他チームの作品も熱心に撮影する子どもたち

 ワークショップの最後には、パネル形式で各チームの作品を展示した。1人1台貸与されたカメラを手に、ほかのチームの展示を見学する。仕組みについて詳しく解説を求めたり、気に入った作品を写真におさめたり、「この道具でこんな動きができるんだ。すごい」と感銘を受ける姿も。

 「Sony STEAM Studio 2018の参加者は、はじめてプログラミングに触れるお子さまを想定しています。プログラミングを身近なものに感じてもらうことが、まず最初のゴールです」とソニー広報の多田謙介氏は話す。

海外からの参加者も 「KOOV Challenge 2018」同時開催



 この日、隣のセミナールームでは「KOOV Challenge 2018」も開催されていた。対象は小学1年生から中学1年生(6歳以上、13歳以下)で、「Sony STEAM Studio 2018」とは異なり、プログラミング既習者をおもな対象としている。

 この日は2日間のプログラムのうちの2日目。会場に足を踏み入れると、参加者の集中力と活気に圧倒された。

 会場には中国語のアナウンスも流れ、中国から参加した子どもたちの姿もあった。「KOOV」を使ってチームごとに車をデザインし、最終的にその車をプログラミングで運転し、ルート上に配置された花をできるだけ多く摘みながらゴールを目指すという、チーム対抗戦だ。タブレットを覗き込みながらメンバーとの白熱したディスカッションを繰り広げるチームや、真剣な眼差しでテスト運転を繰り返すチームなど、大人顔負けの“エンジニア魂”を垣間見ることができた。

2018年7月28日・29日に開催された「KOOV Challenge 2018」のようす
活気と熱気と緊張感のある「KOOV Challenge 2018」の会場


ソニーならではの「STEAM教育」を提案



 礒津氏は「今回のワークショップで使用している「MESH」や「KOOV」は、当初から多様性を意識して開発したものです。創造力を最大限発揮して、直感的に表現できるので、同じテーマで実施されるワークショップであっても、成果物がそれぞれまったく異なるおもしろさがあります。プログラミングの学習ツールとしてだけではなく、STEAM教育が本来担うべき役割の根底にある、多様な創造性の醸成にも寄与できたらと考えています。」と語る。

 「STEM/STEAM」への注目度はこれからますます高まっていくだろう。おそらくそれを学ぶための機会も増えてくるはずだ。とは言え、言葉だけがひとり歩きすることなく、日常に寄り添う形で子どもたちに「STEM/STEAM」分野の学びを伝えることはなかなか容易でない。あくまでも子どもたちにとって何が必要なのかを考えながら、学ぶことのおもしろさを伝えることのできるイベントの拡大に期待したい。
《野口雅乃》

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