【自由研究】ワラジムシの動きを観察して規則性を見出そう(中学生向け)

 毎年夏休みに小中学生の宿題に出される「自由研究」は、普段はなかなか時間をかけて取り組むことが難しい研究や実験に挑戦できるチャンス。ここでは小さな虫を観察し、動きの規則性を調べる。発展研究もあるので、体系的に知識を深めてみよう。

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中学生の理科自由研究 完全版(学研)
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  • ワラジムシとダンゴムシ
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 毎年夏休みに小中学生の宿題に出される「自由研究」は、普段はなかなか時間をかけて取り組むことが難しい研究や実験に挑戦できるチャンス。ここでは小さな虫を観察し、動きの規則性を調べる。発展研究もあるので、体系的に知識を深めてみよう。

虫の動きに決まりはあるの?


かかる時間:3時間 難易度:★★



 小さな虫を観察していると、興味深い行動が見られることがある。ワラジムシに迷路を歩かせ、角を曲がる方向に規則性があるかどうかを調べてみよう。

用意するもの


ワラジムシ数匹 紙コップ ラップフィルム 氷か保冷剤 布 割りばし 工作用紙 カッターナイフ 両面テープ セロハンテープ 

実験の手順 準備




ワラジムシをつかむときはやさしく、傷つけないようにね。

基本情報
ワラジムシとダンゴムシ

 ワラジムシは昆虫ではなく、カニやエビと同じ甲殻類のなかまです。また、ダンゴムシもワラジムシのなかまです。どちらも体長は15mmほどで、落ち葉の下や石積みのすきま、植木鉢の下などでくらし、おもに落ち葉などを食べ、よく似ています。ダンゴムシがつやのある丸みを帯びた体をしているのに比べ、ワラジムシはつやがなく平たい体をしています。この実験は、どちらの虫でも行えますが、ダンゴムシは刺激を与えると体を丸めてしまうので、少しやりにくいかもしれません。




実験を始める前に、曲がり角の番号を決めておき、記録用紙を用意しておくといいよ。



実験の手順 1



T字を2回曲がるパターンを調べる

手順
ワラジムシは何匹も用意して、交代させながら実験しよう。データをとるときには個体差なども考えてなるべく多くのワラジムシを使うことも必要だよ。

実験の手順 2



複雑な迷路でのパターンを調べる


実験の注意とポイント



●迷路の壁が低すぎると、ワラジムシがすぐに逃げてしまうので気をつけよう。

●ワラジムシがあまりに元気な場合は、実験の前に、ワラジムシを入れた容器の外側に氷などを置いて少し冷やしておくほうがよいかもしれない。寒いと行動がにぶくなるからね。

●ワラジムシをやさしくつかむのが難しかったら、割りばしに布を巻くなど、使う道具を工夫してみよう。

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交替性転向反応



 生物が、1つの角を曲がると、その方向を記憶し、次には反対の方向に曲がる行動のことを「交替性転向反応」といいます。ワラジムシのほか、ダンゴムシでも同じような行動が見られます。

 ワラジムシやダンゴムシは、湿ったうす暗い落ち葉の下のような環境に落ち着く性質があり、実験の迷路のような異なる環境に置かれると、そこから逃げようとします。このとき、T字路を左、右、左と交互に曲がれば、同じ場所にもどる可能性が低くなり、出発点から遠ざかることができるというわけです。

 一方、最近では、方向を変える際にかかる左右のあしの負担を均等にするため、交互に進むのだという説もあります。また、ダンゴムシを使った実験で、直線の道を歩くより、ジグザグに曲がった道を歩くほうが、速く進む結果が出たそうです。

 いずれにしても交替性転向反応は、その場から速く遠ざかるために役に立つ行動のようです。


発展研究



ワラジムシが妨害されたときの進み方



 ワラジムシが迷路を進むとき、妨害された場合はどうなるのかを調べます。

準備
ワラジムシ数匹、工作用紙、ピンセット、セロハンテープ、ストップウォッチ

方法

1)先に行った実験の手順1にあるような、角を2回通る迷路を用意する。

2)下の図のような妨害用具をつくり、角を曲がったところにセットしておく。

3)ワラジムシをスタートさせ、角を曲がったところでワラジムシに妨害用具をかぶせる。

4)10秒後に妨害用具を外し、その後の動きと曲がる方向を調べる。


結果
 妨害して時間がたっても、前にどちらに曲がったかを覚えているらしい。


時間は、妨害用具を外してから、動き出すまでの時間。単位は「秒」。

道の色とワラジムシの進み方



 ワラジムシは色にはどのように反応するのでしょうか。迷路の色を変えて実験します。

準備
ワラジムシ数匹、工作用紙、ピンセット、セロハンテープ、ストップウォッチ、黒・赤・黄色の色紙

方法
1)上の発展研究と同じ実験迷路を用意する。

2)道の幅に入るように色紙を切っておく。

3)下のA~Dのように、色紙を置く位置を変えてワラジムシの曲がる向きを調べる。


結果
 赤色や黄色のときは、その方向に進むのをためらうような行動が少し見られる。特に決まった色を選んで進むような動きは見られない。

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《リセマム》

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