2018年3月に刊行した「子ども・青少年のスポーツライフ・データ」に基づき、中学校と高校の運動部ごとの活動状況を分析。中学校の野球部(42名)と野球以外の運動(308名)、高校の野球部(23名)と野球以外の運動部(205名)を抽出して再分析した。調査期間は2017年6月24日~7月20日。
中高生の学校運動部活動において実施者の多かった上位種目の活動日数と活動時間について分析したところ、中学生の週あたりの平均活動日数は野球部が6.10日(ほかの運動部5.63日)、平日の1日あたりの平均活動時間は2.43時間(ほかの運動部2.22時間)、休日は5.71時間(ほかの運動部3.65時間)。
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中学生の種目別活動状況(実施者の多かった上位6種目)
高校生の週あたりの平均活動日数は6.57日(ほかの運動部5.73日)、平日の平均活動時間は3.43時間(ほかの運動部2.58時間)、休日は7.70時間(ほか運動部3.74時間)だった。また、高校生はすべての調査対象者が土日の両日活動すると回答しており、野球部はほかの運動部に比べ練習時間が長く、活動日数も多いことがわかった。
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高校生の種目別活動状況(実施者の多かった上位5種目)
野球部員が活動日数や練習時間に対し、どの程度不満を感じているか分析したところ、「休日が少なすぎる」ことに不満を感じている部員は中学生38.1%、高校生52.2%。「遊んだり勉強したりする時間がない」ことに不満を感じている部員は中学生28.6%、高校生43.5%。
一方、「練習時間が長すぎる」ことに不満を感じている部員は中学生14.3%、高校生21.7%であり、練習時間はほかの運動部よりも明らかに長いにもかかわらず、実際に活動している野球部員はそのことにあまり不満を感じていないようだ。
野球部の練習時間が長すぎることに不満を感じている者と感じていない者の平均活動時間を算出し、野球以外の運動部の平均と比較したところ、野球以外の運動部で練習時間の長さに不満を感じている者の平均活動時間(休日)は4.17時間だが、野球部では8.36時間と4.19時間も長い。平日の活動についても同様の傾向がみられ、野球部員の練習時間の長さに対する感覚はほかの運動部員と比較して異なっていることが明らかになった。
笹川スポーツ財団 スポーツ政策研究所 研究員の鈴木貴大氏は、「野球部の環境を改善するために、指導者や選手が長時間練習によるさまざまなリスクに関する知識を深め、効率的かつ効果的な練習方法を取り入れることが求められる」とし、「少子化が進む中、学生野球を維持、発展させるためにも、今後のありかたを考える必要があるのではないだろうか」とコメントしている。