このレポートでは、10歳の小学生が「codey rocky」で遊んだようすから、AIを使ったプログラミング体験、親が感じた学習効果までを紹介していく。
子どもが夢中になる簡単お手軽なプログラミングロボット
「codey rocky」は、中国のMakeblock社が開発した最新のプログラミング教育用ロボットだ。Makeblock社の製品はグローバル展開されており、中でもフランスでは6,000校以上の公立学校で使用されている。フランスの中学校でのマーケットシェアは約30%が同社のプログラミングロボット「mBot」が占めている状況だ。日本でも「mBot」シリーズは、学校や民間のワークショップなどに採用されており、プログラミング学習ができるドローン「Airblock」など、さまざまなプログラミング教材が開発されている。
この「codey rocky」は、Makeblockの教材の中でも、「より手軽にプログラミングを学ぶことができる教材」として開発されたという。「ジャイロ」「光」「音声」「色識別」「グレースケールセンサー」「IR距離識別センサー」を搭載し、色・光・音・角度・距離を応用して多くの遊び方が可能だ。AIで人間の表情を読み取る機能や、ネットの情報を取得して反映するIoT機能なども対応されている。
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カラーカードのほか、USBケーブル、専用ストラップも同梱
「codey rocky」で最初に驚いたのが、パッケージのコンパクトさ。ロボットプログラミング教材というと、ブロックやパーツを組み合わせて作る製品が多いため、パッケージも大きくなりがちだ。「codey rocky」はその点とてもコンパクトなため、パッケージごとカバンに入れて持ち歩くことができる。
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真新しい箱を開けるワクワク感…「codey rocky」と初対面
すでにパッケージを見ただけで興味津々の10歳の息子が箱を開けてみると、中には白黒でパンダの顔をかたどった「codey」と、取り付けて移動できる車型の「rocky」が収録されていた。そのほかにも、充電やデータ転送を行うマイクロUSBケーブル、「codey」を取り付けられるネックホルダー、カラーパネル、マニュアルなどが同梱されている。
「パンダみたい!かわいい!」
と、まず「codey」を取り出し、手に取ってしげしげと見つめる息子。次に、「rocky」を取り出し、マニュアルも見ずに、サッと「codey」を取り付けた。これでセッティングは完了。ブロックなどを使ってロボットを一から組み立てる工程も楽しいが、プログラミングが目的であれば、パッケージを開けてすぐに始められる「codey rocky」は、非常に手軽で良い。
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顔の部分が「codey」、車体が「rocky」
スマホアプリならリモート操縦で遊べる
「codey rocky」にはいくつかの遊び方があるが、もっとも簡単なのが、スマホのアプリで楽しむ方法だ。まず無料の専用アプリ「Makeblock-Play STEM Robots」をダウンロードする。次にアプリを起動して「codey rocky」を選び、スマホと「codey rocky」本体を近付けるだけ(このとき、Bluetooth接続をするため、スマホ側のBluetoothはオンにしておく)。数秒で「codey rocky」を認識し、すぐに遊ぶことができた。
アプリではプログラミングもできるが、最初に息子が挑戦したのは「ドライブ」モードだ。アプリ画面のコントローラボタンをタッチして前後左右に動かすと、リモートで「codey rocky」を操縦することができる。音を鳴らしたり表情を変えたりでき、これだけでもかなり楽しそうだ。
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アプリでメガネの顔を早速プログラミング。僕とお揃いの「codey rocky」にカスタム
アプリで自由自在に「codey rocky」を動かしていた息子だが、今度は何やらスマホ画面をポチポチといじり始めた。と、思ったら、「codey」の顔が突然メガネになった!
アプリでは、「codey」の顔にあたるLEDディスプレイの表示を自由に変えられるのだが、いち早くその機能に気付き、自分でアレンジしていたらしい。自分とおそろいの「メガネ」フェイスになった「codey rocky」を得意そうに走らせている。
「codey rocky」のファーストインプレッションはとても良いようで、パッケージを開けてから10分も経たないうちに、子どもはすっかり慣れたようすで使いこなしていた。
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無料の専用アプリ「Makeblock-Play STEM Robots」画面
センサーを使って障害物をよけるプログラムを組んでみた
次に試したのがプログラミングを応用した迷路だ。本や箱を持ってきて床に並べ、簡易的なコースを作り、「codey rocky」を走らせてみた。「codey rocky」は、搭載されているセンサーによって障害物をよけ、テーブルから落下をしないプログラムを組むことができる。その機能を知った息子は、「障害物にあたったら左に向きを変える」というプログラムを即座に組み、楽しそうにコースを走らせていた。
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家にある本や箱でオリジナルコースをつくって手軽に遊べる
これだけでも驚いたのだが、息子の好奇心はそれだけではとどまらなかった。「もっとプログラミングしてみたい」という欲求に答え、次はパソコンの専用ソフトを使い、AIを使ったプログラミングに挑戦してみることにした。
PCでプログラミングするともっと楽しい
パソコンでプログラミングする最大のメリットはパソコンのカメラ機能を利用できることだ。「codey rocky」自体にはカメラ機能がないため、人の表情などを読み取ることができないことが少々残念だが、「codey rocky」とパソコンを接続してカメラ機能を使用することで、「表情読取り」や「年齢当て」といったプログラムを組むことができるようになるわけだ。
パソコンでは「mBlock 5」という無料の専用プログラミングソフトをインストールして使用する(このレポートでは2018年8月現在の最新バージョンv.5.0.0.beta.4を使用)。Scratchをベースにしたビジュアルプログラミングのため、多少プログラミング経験のある小学生であれば、比較的簡単にプログラムを組むことができそうだ。独学でScratchを遊んでいた息子は、画面を見ただけで大体の操作を把握したようで、すぐに慣れた手付きでプログラミングを始めた。
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付属のUSBケーブルでPCに接続、AIプログラミングに挑戦
「mBlock 5」では、「codey rocky」にあわせて、「ディスプレイ」や「動き」といったものから「制御」「変数」まで、さまざまな命令が用意されている。プログラムを組んだら、付属のマイクロUSBケーブルでパソコンと「codey rocky」を接続し、作成したプログラムをアップロードする。これがちょっと手間なのだが、転送時間は数秒もかからないので、接続作業にあまりストレスは感じないようだ。
ディスプレイに表示される顔を変えてみたり、「ニャー」といった声を出してみたりと、息子はどんどんプログラムを組み、楽しんでいる。ひととおり遊んだところで、いよいよカメラ機能を使ったAIプログラミングに挑戦した。
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PCのカメラを使って表情を認識。AI体験をしながらプログラミングを学ぶ
「AIって簡単だね」という感想が
試してみたのは、AIを使った表情認識だ。いきなり一からプログラムを組むのは難しそうだったので、「mBlock 5」にあらかじめ用意されているサンプルプログラムを参考にすることにした。サンプルでは、どんな風にプログラミングされているか、どんな風に動くのかを実際にチェックしてみた。なかなかプログラムを組むのは難しいようすで、プログラムを組む、アップロードして実行する、という工程を何回か繰り返していた。トライ&エラーを繰り返し、プログラムを書き換えて確認していくと、カメラに写った子どもの表情によって「codey」が次々と表情を変えた。
サンプルプログラムをもとに、いろいろとプログラムを改造しだした息子に、「AIって難しそうじゃない?」と問いかけると、なんと、こんな答えが返ってきた。
「これってAIなんだ。簡単だね」
親世代の私は、AIと聞くと反射的に「難しそう」と思ってしまう部分があるのだが、スマホやスマートスピーカーなどでさまざまなAIに触れている息子にとっては、AIは特別なものではないようだ。もはや馴染み深いものになっているAI技術を、こうして教材で手軽に使える時代になったんだなと、あらためて感じた瞬間でもあった。
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「これってAIなんだ。簡単だね」もはや今の子どもには馴染み深い技術
Python対応で高学年になっても楽しめる
AIプログラミングに加え、実は、親として「codey rocky」に非常に期待しているのがプログラミング言語「Python(パイソン)」に対応しているというところだ。Pythonといえば、今一番熱いプログラミング言語のひとつであり、大人向けのAI講座なども人気を博している。子どもが「好き」や「おもしろい」の延長で習得すれば、いろいろなものづくりをしたいと思ったときに役に立つだろうと目論んでおり、ぜひ習わせてみたいと思っていたのだ。
といっても、Pythonをいきなり独学で学ぶのは難しい。「mBlock 5」は、ブロックプログラミングで作ったプログラムを自動的にPythonに変換し、ボタン1つでそのコードを画面に表示できる機能を備えている。この機能を活用し、「codey rocky」でまずそのとっかかりを作れればいいなと考えていた。
息子が自分で組んだプログラムも、その場ですぐにPythonに変換することができるので、さっそくやり方を教え、Pythonの画面を見せてみた。
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右側に表示されているのが「Python」のコード
「これがパイソンっていうの? へー。こんな風になっているんだ…」さすがにまだ自分でPythonを書くのは難しいようだが、自分の書いたプログラムが他の言語に変換されたことに対しては興味津々なようすで画面に見入っていた。現時点ですぐにやるつもりはないが、高学年になってプログラムへの興味がさらに高まっていけば、Pythonも学んでいけるのでは…と、ひそかに期待している。
学んだ成果をまとめれば夏休みの自由研究に
今回「codey rocky」を使って体験したことは、さまざまなプログラミングトイを活用している我が家にとっても、新鮮で非常に興味深いものだった。スマホでのリモート操縦に始まり、AIを使ったプログラミングに挑戦し、最後はPythonを少しだけ体験するまでに至った。特に良いと感じたのが、最初から高難易度に挑戦する必要はなく、子どもの関心や興味に従って、段階的に難易度を上げて、次のジャンルへ挑戦できる点だ。
こうしてせっかくいろいろと新しいことを学んだので、ぜひ何かしらの形でまとめたい…と思いついたのが、夏休みの宿題で手つかずに残っていた自由研究。さすがに「codey rocky」自体を自由研究として持っていくことはできないが、AIの活用方法をはじめ、今回プログラミングを体験して学んだことや考えたことをまとめてレポートを作れば、非常におもしろいものになりそうだ。
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付属のストラップで「codey」を連れて歩ける
「codey rocky」は単なる目新しいロボットに留まらない。使う子どもたちの好奇心を刺激し、そして「もっとプログラミングしてみたい」という意欲をかきたててくれる。親としては非常にありがたいデジタルトイだ。
価格も14,904円と、ロボットプログラミング教材としては比較的手に入れやすいものなので、これから家庭でロボットプログラミングを始めてみたいという方にも、ぜひお勧めしたい。