安部氏によると、全国に40以上ある学習塾団体組織の中で唯一の公益社団法人として官公庁からの要請を受け、公益社団法人全国学習塾協会が2017年3月にスタートさせた「安心塾バイト認証制度」において、800事業所以上まで認証塾が拡大。また、認証塾の好事例、文部科学省への近況報告の面会においては、労働環境改善の取組みが高く評価されたという。
学習塾を取り巻く労働環境
学習塾を取り巻く労働環境については、過去3年間で、アルバイト講師の労働環境について5回にものぼる要請が出されているという。賃金未払いや契約書不交付、急なシフト変更等による学業とアルバイトの適切な両立への影響といった問題だ。
2018年7月には労基署業務の一部を弁護士、社労士等の民間委託が開始した。労基署が人手不足で対応できていなかった業務を民間が行うことになり、監督や指導件数は今後、増加すると見られている。
労働時間法制の見直し
2019年4月には、労働時間法制の見直しが行われる。その目的は、働き過ぎを防ぎ、ワークライフバランスを実現することとされている。
アルバイト講師の管理で重要なのが、何時から何時まで何時間勤務したという「労働時間の客観的な把握」だという。これまでは、ガイドラインだったものが法令に格上げされ、必須となる。
安心塾バイト認証制度
そこで必要となるのが「安心塾バイト認証制度」だと安部氏は説明する。公益社団法人全国学習塾協会では、大学生などに対する労働基準関係法令の周知・啓発や相談への的確な対応など、学生アルバイトの労働条件の確保に向けた取組みの強化を目的に「安心塾バイト認証制度」を制定。認証基準をクリアした塾を認定塾に指定している。
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安心塾バイト認証制度
認定塾はスタートから約1年半の8月時点で、53社818事業所まで増え、毎月3社45事業所のペースで拡大していることになる。認定塾になった塾には、学生アルバイトの応募が増えたとか、コスト減につながったなど、実利的な効果も出ているようだ。
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安心塾バイト認証制度の認証塾数推移
ブラックバイトという言葉が2013年に誕生し、学習塾はその筆頭といわれている。学生に学習塾が魅力的な業界だと印象付けるには、多くの塾が認証を取得するということが一つの手段であり、業界の信頼性回復のためにも「安心塾バイト認定制度」が必要であると安部氏は語り、セミナーを終えた。